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広島・三原《瀬戸内醸造所》
瀬戸内にしかない自然、風土、文化を発信。

2021.12.18
広島・三原《瀬戸内醸造所》<br><small>瀬戸内にしかない自然、風土、文化を発信。</small>

広島県南部に位置する三原市。瀬戸内の温暖な気候に恵まれ、海、山など豊かな自然に囲まれた場所に、多島美を眺めながらワインを楽しめるワイナリー「瀬戸内醸造所」はある。また、『SETOUCHIを旅する』と銘打った、レストラン「瀬戸内醸造所 mio」がワイナリー内に設けられ、ワインに合う瀬戸内料理が味わえる。醸造を通して、瀬戸内の食文化を継承しながら新しい価値を届ける瀬戸内醸造とは・・・・・・・。

瀬戸内の歴史や文化を次世代へ継承

左から)太田さん、農家さん

「日本の農業を次の世代に継承するために瀬戸内の情景、食文化を世界に発信したい」
そう語るのは、三原市出身で瀬戸内醸造所代表の太田祐也さん。太田さんはかねてから、高齢化などによってブドウ栽培を続けることができず、次世代へブドウ栽培の歴史や文化の継承が難しくなってきたことについて問題視してきた。

そうした経緯から、太田さんは「ワインを通して世界中の人たちが瀬戸内の食文化を楽しんでもらえるようになれば、ブドウを始めとした食材の生産者、醸造や料理に携わるさまざまな人たちが、瀬戸内で新しく仕事ができるようになるはず」と考え、自社でブドウ作りをしながら、農家さんとフェアに取引をしたいという思いから、買い叩かず適正な価格で瀬戸内の色々な地域のブドウを仕入れ、その土地土地の味わいを表現し、瀬戸内地域の食文化の継承を目標に立ち上げた。

歴史や文化を継承しながら、新たにその魅力を伝える。瀬戸内醸造所は地域の魅力のストーリーテラーとして、地域に貢献していくと語る。

紡がれる新たな物語と風景をつくる

建物の設計を手がけたのは、建築家・菅原大輔さんが主宰するSUGAWARADAISUKE建築事務所。「物語る風景」をコンセプトに掲げ、外壁には瀬戸内の塩害対策から生まれた焼杉を採用。レストラン棟を特徴付ける片流れの大きな屋根の内部空間は、前面の島なみから背面の山なみの風景へと視点を誘い、瀬戸内の自然と醸造所のストーリーを感じられる空間づくりがされている。

海に向かって開けたガーデンは「多島をめぐる」というコンセプトで、株式会社TREEFORTE ランドスケープデザイナー・石川洋一郎さんにより整備されたもの。敷石を渡し、造船所のクレーン跡をはじめとしたガーデン内を回遊できるよう設計。造船所跡地の荒々しさを表現するため整備に手をかけすぎず、自然に育つ植生により、経年で育つ庭となっている。

瀬戸内の地元食材による新しい食体験ができる
レストラン「mio(澪)」

水面を船が走る航跡という意味から名付けたレストラン「mio(澪)」。

瀬戸内海の海の幸を始め地元の旬の食材を使い、素材の味を最大限に生かした、やさしい味わいで、日本ワインに合うよう工夫されている。

東京・代々木上原「アトリエフジタ」のオーナーシェフ・藤田善平さんがメニューを監修し、5回ひろしまシェフ・コンクールの成績優秀者としてフランスで研鑽を積んだmioのメインシェフ・外山和己さんが作り上げる、新しいSETOUCHI料理を楽しめる。

メニューのコンセプトは「ワインに合うSETOUCHI料理」。瀬戸内の食材を使い、洋食をベースにした味わいのなかに、和を始めとしたさまざまな要素が融合されている。野菜や魚介を中心とした、身体にやさしいコース料理を用意し、フードマイレージの観点により、仕入れは近隣を中心に。地元の生産者との近さから、規格外や市場での値が付きづらい食材も活用することにより、サステナブルな料理に取り組んでいる。また、フードロスを可能な限り減らしたいという思いから予約優先*し、数日前より食材を準備している。

レストラン内に置かれているカウンター、テーブル、椅子は地元の三原市久井町で家具・建築工房を営む「サクラサク」が、出来上がりのビジョンを想像しながら、材料、木目の向き、曲線の美しさにこだわり、一つひとつ職人の手で仕上げている。クラシックな工法を交えつつ、現代の技術を使ってより良いものを次世代へ伝えたいという、ものづくりへの思いが込められている。

そんなブドウの生産地として豊かな歴史を持つ、瀬戸内醸造所のワインやシードルを紹介しよう。

※数日前より食材を準備するためキャンセル規定ありでの受付。
(当日も仕込みの状況によって受付可能。詳しくは電話にて問合わせ)

広島県三原産のぶどうを使用した
「2019 三原 ニューベリーA」

2019年に収穫した広島県三原市高坂町産のニューベリーAを、ACEc(No.1)と同じ瓶内二次発酵によるスパークリングワイン。ベリー種の特徴である華やかな香りを活かすため、樽熟成は経ずに瓶詰している。

三原の名物タコのカルパッチョや、瀬戸内海産のサワラの塩たたきなど、淡白な味付けの魚介料理やサラダなどのフレッシュな野菜料理との相性抜群。

価格|3850円(税込)
形態|瓶内二次発酵
原料|ニューベリーA
容量|750ml
産地|広島県三原市

明治初期から続く高品質なぶどうを使った
「2020 竹原 キャンベル・アーリー」

瀬戸内海沿岸の広島県竹原市は、かつての干拓地跡でブドウ栽培が行われている。この土地のブドウの原種となるのはキャンベル・アーリーは、芳醇な香りとかすかに海を感じる風味を活かした、瓶内二次発酵によるスパークリングワイン。

やや強めの気圧が口中をすっきりさせてくれるので、竹原市吉和町のじゃがいものフライドポテトなど、揚げ物、こってりとした料理とよく合う。華やかな香りと心地よくのびるスッキリした酸を楽しめる。

価格|3520円(税込)
形態|瓶内二次発酵/ロゼ
原料|キャンベル・アーリー
容量|750ml
産地|広島県竹原市

食事と一緒に楽しむことができる
「2019 東城シードル」

広島県の北東に位置する庄原市東城町。収穫期にはりんご狩りで賑わう観光りんご園が点在し、多様な品種が栽培されている。周囲を田んぼに囲まれ里山の風景が広がる、岩本観光りんご園産の数種類のりんごをブレンドしたシードルは、りんごの優しい酸味とドライな飲み口。

価格|3410円(税込)
形態|瓶内二次発酵
原料|りんご(ジョナゴールド、紅玉など)
容量|720ml
産地|広島県庄原市東城町

辛口に仕上げた
「2019 徳佐シードル」

西日本で最大規模のりんご農園が広がる、山口市阿東徳佐。山口県の北東部に位置し、中国山地に囲まれる地域で栽培されるりんごは、「徳佐りんご」として親しまれている。土づくりにこだわるふじい林檎園産のふじの凝縮感を楽しめる、瓶内二次発酵でドライに仕上げたシードル。

価格|3410円(税込)
形態|瓶内二次発酵
原料|りんご(ふじ)
容量|750ml
産地|山口県山口市阿東徳佐

瀬戸内醸造所は、海、山などの瀬戸内らしい敷地特性を活かし、見学ツアーやカフェ、ガーデンでのバーベキューやコース料理など、さまざまな過ごし方を展開。そんな瀬戸内の原風景の中で流れる時間を体感してみはいかが。

瀬戸内醸造所ワイナリー/レストラン「mio(澪)」
住所|広島県三原市須波西1-5-26
Tel|050-3749-9902
営業時間|ランチ(要予約)平日12:00〜14:00、土日祝11:00〜12:30/13:00〜14:30(2部制)、ティータイム15:00〜17:00、ディナータイム 18:00〜22:00※完全予約制
※バーベキュー準備中
定休日|火曜日、毎月第3水曜日(祝日は営業)
https://setouchijozojo.jp/

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