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「すし処 ひさ田 |岡山」寿司で表現する瀬戸内海の恵み【前編】
犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン

2021.3.26
「すし処 ひさ田 |岡山」寿司で表現する瀬戸内海の恵み【前編】<br><small>犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン</small>

地方の寿司店は侮れない。そこに行かなければわからない“味”がある。わざわざ車を飛ばして行くべき、旅の目的になる寿司店へ。今回は、岡山県赤磐市にある「すし処ひさ田(ひさだ)」を前後編記事でご紹介します。

犬養 裕美子(いぬかい・ゆみこ)
東京を中心に世界のレストラン事情を最前線で取材する。新しい店はもちろん、実力派シェフたちの世界での活躍もレポート。また、日本国内各地にアンテナを張り、料理や食文化を取材。農林水産省表彰制度「料理マスターズ」審査員

久田 和男(ひさだ・かずお)
1970年、東京生まれ。大阪の調理師学校在学中から、叔父が営む江戸前寿司の名店「すし豊」でアルバイト。卒業後も修業を続け、1994年、23歳で独立。その後は自身で研究を重ね、瀬戸内海の魚を使った「おまかせコース」で評判を上げる。丁寧な素材の扱い方、緊張感のある所作、熱の込もった素材の説明など、3時間の寿司ライブは満足度120%

普通の寿司店が、全国から
お客が訪れる店になるまで

店主の久田和男さんはいまから24年前、23歳の若さで独立した。店がある場所は岡山駅からローカル線でおよそ分、さらに車で20分ほどかかる。そんな不便な場所で無名の若者がはじめた寿司店が、なぜ岡山を代表する店になったのか。

はじめて訪れた「すし処ひさ田」は、住宅街の奥の奥に佇む一軒家だった。実はここ、久田さんの両親がリタイア後に移り住んだ家。久田さんは大阪の調理師学校でイタリアンを学ぶと同時に大阪の叔父の鮨店で修業をはじめた。そのときから実家での独立を決めていた。「住宅街で需要があるのは、イタリアンよりは寿司だと思って」ひとまず、ごく普通の鮨店からスタートした。

それまで修業してきた江戸前寿司を出すのか、それとも瀬戸内の魚を積極的に出すべきか、最初は悩んだという。ただ、休日に九州や瀬戸内周辺の店をめぐるうちに人気店の魅力は地の魚だと気づく。「うちに来なければ味わえない瀬戸内の魚を中心にしよう」と決心する。同時に大きな転機が訪れた。28歳で大病を患ったのである。手術の結果次第では味覚に障害が出る可能性もあると医師から伝えられて「成功したら〝おまかせ〞1本にしよう」と手術に臨んだ。

すし処ひさ田のコース ~つまみ~

瀬戸内海の幸をさりげなく
モダンに仕上げる

10人いっせいスタート!一品出るたびに感嘆の声が漏れる。シンプルなのにはじめて出合う味。海の幸に斬新なハーブや香辛料使い。18年前から吉田牧場のチーズを使うのも寿司ファン垂涎の一品。

瀬戸内海のミル貝と土佐酢のジュレ
瀬戸内海も春先は貝が美味しくなる。鰹の出汁に酢を加えた土佐酢をジュレにして和える。

煮帆立とハラペーニョ
香りがよく、甘い煮帆立をより引き立てるのが、ハラペーニョ!兵庫県の若い生産者がつくる国産。

小ふぐの湯引きと自家製ポン酢
小フグ(ショウサイフグ)を湯引きして、スダチでつくる自家製のポン酢でさっぱりと。

吉田牧場のモッツァレッラの漬け
フレッシュさを味わうモッツ ァレラを醤油を入れたホエー(乳清)に漬けて“ヅケ”に。10日前後がベストの状態。

店主の仕事を語るひと皿
握り13カン

①太刀魚の炙り
②サワラの炙り
③トリ貝
④赤貝
⑤ミル貝
⑥〆サワラ
⑦サワラの辛味大根
⑧車エビ

⑨イカ
⑩鯛
⑪サヨリ
⑫キス
⑬青ウナギ
⑭ハーブ巻

握りは1カンずつ出される。その日の魚の状態で品数も違うが、一通り食べた後、気になるネタを追加できる。この日は13カン。この中からでも、別のネタもある。

 

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すし処ひさ田
住所|岡山県赤磐市桜が丘西9-1-4
Tel|086-955-8585
営業時間|金曜
19:00~土・日曜13:00~、19:00~
定休日|月~木曜
コース2万4000円(税込)
席数|カウンター席10席 ※完全予約制。
キャンセルは4日前までに。以降のキャンセルは食事代全額支払いのこと。カード不可。予約受付は3カ月前よ
り金~日曜の16:00~18:00に

text:Yumiko Inukai,photo:Muneaki Maeda
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