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秋冬に泊まりたい憧れの日本旅館3選
【中国エリア編】

2019.11.14
<strong>秋冬に泊まりたい憧れの日本旅館3選<br>【中国エリア編】</strong>

古くから愛される日本旅館で歴史に想いを馳せるというのも、大人の旅の賢い選択だ。ただのんびりと時を過ごすだけでも、癒しのひとときになるはず。さらに美味しい料理とよい温泉があれば格別。今回はこんな極上の時間が過ごせる、中部エリアの日本旅館をご紹介。

棟方志功も愛した
「名泉鍵湯 奥津荘」

女将が出迎えてくれる玄関にも、棟方志巧の作品が描かれた衝立が置かれている

岡山県北部、かつて「美作国(みまさかのくに)」と呼ばれた地にある奥津温泉。古くは津山藩主専用の湯であった。奥津荘は昭和2年創業。棟方志巧に愛され、その作品が残る宿だ。「名泉鍵湯 奥津荘」。この宿の名を聞いて、必ず目に浮かんでくるものがあり、それは、谷崎潤一郎の『鍵』という小説。小説の内容よりむしろ、棟方志功の手による表紙絵と挿絵。

温泉街というには鄙びすぎているが、旅人の心を癒そうとする、何軒かの宿が肩を寄せ合い、その目印となるバス停が、ぽつりと寂しげに立つ。奥津荘はその真ん前にある。唐風の小屋根を軒先に設え、かつての日本旅館がどこもそうだったように、宿の中を見透かすガラスの引き戸で客を迎え入れる。上がり込んでまず目に入るのが、棟方志巧の衝立の絵。谷崎の著『鍵』の表紙をはじめ、挿絵に描かれた女性と同じ顔立ち、身体つきで横たわり、嫣然としている。奥津渓の宿と谷崎がここでつながる。

この宿において、川と湯は一体であって、それを強く実感できるのは、地下の「鍵湯」だ。深い湯船の底から湧き出る湯は、あぶくを立てて湯を揺らす。ごつごつとした石が、自然の恵みであることを、足裏から感じさせてくれる。心地よく、浸り続けたくなる湯には、谷崎の『鍵』にも相通じる、濃密な空気が漂っている。

名泉鍵湯 奥津荘
住所:岡山県苫田郡鏡野町奥津48
Tel:0868-52-0021
E-mail:info@okutsuso.com
客室数:8室
料金:1泊2食付2万520〜3万2400円(税込)
カード:AMEX、MASTER、VISA
IN:15:00 OUT:10:00
夕食:会席料理(食事処) 朝食:和食(食事処)
温泉:奥津温泉(アルカリ性単純泉/源泉掛け流し/加温なし/加水なし/神経痛、筋肉痛、慢性消化器病など)
風呂:大浴場男女別各1(15:00〜10:00)、貸切風呂2(無料)、部屋風呂2 ※すべて温泉
アクセス:車/中国自動車道院庄ICから約20分 電車/JR津山線津山駅からバスで約1時間、奥津温泉バス停下車
館内施設:ラウンジ、食事処
Wi-Fi:あり
http://okutsuso.com

日本庭園が主役の旅館
「庭園の宿 石亭」

遊遷の1階。和室からは庭が一望。縁側からすぐに庭に出られる

日本三景のひとつ「宮島」を対岸に望むロケーションにある「庭園の宿 石亭」。この宿の特徴は美しい日本庭園。この庭園を囲むように客室は配されている。名物の穴子やカキをはじめ、瀬戸内名物の美味が待つ美食の宿でもある。

客室すべてがこの庭に面して窓を開いているから、部屋の中にいると、時折り、庭を歩く目線が届くことがある。すぐ部屋にこもりたがるイマドキのカップルは苦手とするかもしれないが、それを補って余りある魅力がこの庭には秘められている。手入れの行き届いた芝を踏みしめ、池で跳ねる鯉の水音に心を騒がせる。庭のそこかしこにある東屋でしばしまどろむ。思い立ってフロントに連絡すればスプマンテなぞを運んで来てくれる。池のすぐ前にあるライブラリーやラウンジで、ぱらぱらとページをめくるのもいい。ゆるゆると流れる時間は、この庭があればこそだ。

そして料理。実はこの宿の母体は宮島口で行列の絶えない店として知られる「あなごめし うえの」。日本一の駅弁とも称される“あなごめし”はいつ、何度食べても美味しい。そんなわけで、宿の食にも抜かりはない。穴子はもちろん、冬のカキをはじめとする瀬戸内の幸や、地の野菜を洗練の技で調える。

庭園の宿 石亭
住所:広島県廿日市市宮浜温泉3-5-27
Tel:0829-55-0601
E-mail:info@sekitei.to
客室数:12室
料金:3万1470円〜(税込)
カード:AMEX、DC、JCB、MASTER、UC、VISAほか
IN:15:20 OUT:10:20
夕食:会席料理(部屋食) 朝食:和食(食事処または部屋食)
温泉:宮浜温泉(単純弱放射能泉/源泉掛け流しではない/加温あり/加水あり/神経痛、筋肉痛、慢性消化器病など)
風呂:大浴場男女別各1(14:00〜12:30、温泉)、露天風呂1(温泉)、貸切風呂(無料、温泉)、部屋風呂全室アクセス:車/山陽自動車道大野ICから約10分 電車/JR山陽本線大野浦駅から送迎あり(要予約)
館内施設:サロン、カフェ、ライブラリー、庭園
Wi-Fi:あり
www.sekitei.to

宮島に佇む温故知新の旅館
「岩惣」

日本三景のひとつ宮島。いまでは宮島のほうが通りがいいが、「斎く島」という語源から本来は厳島と呼ばれる神の島だ。世界でも類を見ない海上に建立された嚴島神社があるこの島は、世界遺産にも指定され、世界中の旅人が憧れる、日本を代表する名所だ。この神の島にも名旅館がある。江戸末期に創業した「岩惣」は、少しでも歴史をかじったことがある人ならば知っている数多くの政財界の要人をはじめ、皇室の方々も訪れている宿だ。

離れの秋錦亭は昭和3年に建てられた伝統的な建築の部屋だ。障子格子、欄間、火灯窓など精緻な細工が目を引く。古い装飾は生かしながら、洗面所や浴室などは現代的な使い勝手のよさがある。新しさを取り入れつつも、昔からのものと調和しているのが見事だ。もみじ谷を見下ろす部屋で寛いだら温泉へ。若宮温泉と名づけられた透明な湯だ。露天風呂は鹿の通り道に面しているため、入浴中に鹿と出合うこともあるとか。

みやじまの宿 岩惣
住所:広島県廿日市市宮島町もみじ谷
Tel:0829-44-2233
E-mail:info@iwaso.com
客室数:38室
料金:1泊2食2万2000円〜4万4000円(税別)
カード:AMEX、DINERS、JCB、MASTER、VISA
IN:15:00 OUT:10:00
夕食:会席料理(部屋食) 朝食:和食または洋食(離れは部屋食、新館と本館は食事処)
温泉:若宮温泉(単純弱放射能冷鉱泉/源泉掛け流しではない加温あり/加水あり/慢性皮膚炎、神経痛、筋肉痛、冷え性、痛風など) 風呂:大浴場男女別各1(15:00〜24:00、6:00〜9:30)
アクセス:車/宮島口桟橋まで、山陽自動車道大野ICまたは廿日市ICから約10分 電車/宮島口桟橋まで、JR山陽本線宮島口駅から徒歩5分。宮島口桟橋から連絡船で10分。宮島桟橋から送迎あり
館内施設:食事処
Wi-Fi:あり
www.iwaso.com

伝統的な建築、極上のおもてなし、温泉と美味しい料理、全てが揃った名宿ばかりをご紹介。秋冬の旅では、歴史を感じる日本旅館で、しばしの間忙しい日常生活を忘れて癒しの時間を過ごしてみてはいかがだろう。

≪秋冬に泊まりたい憧れの日本旅館3選【中国エリア編】≫

棟方志功も愛した鄙びた温泉街の足元から湧く名湯「名泉鍵湯 奥津荘」

日本庭園が主役の美意識が行き届いた日本旅館「庭園の宿 石亭」

宮島に佇む温故知新の旅館「岩惣」

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