TRADITION

美しい所作 – 礼

2021.1.2
美しい所作 – 礼

相手に対する感謝や敬意を体現するのが礼。下記の伝書の言葉にもあるように、何度も儀礼的に頭を下げるのではなく、時と場所に合わせた心の込もったお辞儀を心がけたいところ。こころを伝えるには、手の動きと身体の傾斜が連動して、流れるような動きを意識することが大事です。また「礼三息」という息遣いがありますが、これはお辞儀をする際、息を吸いながら上体を傾け、動きが止まったところで息を吐き、再び息を吸いながら上体を起こすもの。相手と呼吸を合わせることで、心あるお辞儀が生まれます。

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教えてくれた人
小笠原 敬承斎(おがさわら・けいしょうさい)
東京都生まれ。小笠原忠統前宗家(小笠原惣領家32世)の実姉・小笠原日映門跡の真孫。聖心女子専門学校卒業。英国留学の後、副宗家を経て、平成8年に小笠原流礼法宗家に就任。礼法の普及のため、各地で指導・講演、執筆活動を行っている
https://www.ogasawararyu-reihou.com

「人に式対の事さのみ繁きは返りて狼藉(ろうぜき)なり」
=お辞儀は何度もするものではなく、一度のお辞儀に心を込めるもの

立礼

いずれも日常よく用いられるお辞儀だが、どれだけ上体が前傾するかで、礼の意味するところが変わる。立礼も座礼も、正しい姿勢が基本となり、腰を据えて行うこと。

「会釈」
両脇の手が腿の前にくる程度まで、上体を倒す。角度にすると15度程度。部屋の入退室、道や廊下で人と行き交う際など、日常頻繁に用いられるお辞儀である。頭のみを下げてしまいがちなので注意
「浅めの敬礼」
両脇の手が会釈よりも膝頭に近づく程度まで、上体を倒す。角度にすると30度程度。相手と対面する、またお暇する際などに用いられ、会釈と同様に日常的なお辞儀である
「深めの敬礼」
両脇の手の指先が膝頭に届く程度を限度として、上体を倒す。角度にすると45度程度。頭だけを深く下げるのではなく、腰から上体を倒すイメージで感謝やお詫びを伝えるときなどに用いる

座礼

座礼には、このほかにも目礼、首礼、合手礼など全部で9種類あるが、日常的に使われるのはこの3種。上半身と腕の動きが自然に美しく連動することが肝心である。

「指建礼」
立礼の会釈程度の軽いお辞儀。指を軽く伸ばして自然に膝脇に下ろし、指先が畳につくまで身体を倒す。このとき、指と指が離れたり、反ったりしないように。お茶が運ばれてきたときに給仕してくれた方に対し、お礼を伝える際などに用いる
「折手礼」
手のひらは畳につく状態で、指先が膝頭と一直線に並ぶ。両手はまだ八の字をつくらず、腿の線と平行にする。祝い事やあいさつの口上、床の間の掛軸や花を拝見する際に用いる
「双手礼」
立礼の敬礼にあたり、時・場所・状況によって深さが異なる。身体が前傾するとともに両手は前方へと動くが、基本は左右の手の間は握りこぶしひとつ分開ける。友人や知人宅を訪問した際、部屋に通されて最初に交わす挨拶やお暇するときの挨拶に適している

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美しい所作
所作の基本3種 1/6公開予定
姿勢

食事 1/5公開予定

text:Ayano Nomizu photo:Akito Ochiai
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