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秋の京都をもっと楽しむ、民藝をめぐる旅

2019.9.30
秋の京都をもっと楽しむ、民藝をめぐる旅

柳宗悦・河井寬次郎・濱田庄司の3人が京都で出会ったことをきっかけに民藝運動が始まりました。京都という環境が民藝の誕生に深く関わっているようです。京都で巡りたい民藝ゆかりの地をご紹介します。

民藝のはじまりの地
「河井寛次郎記念館」

民藝がはじまる少し前、一人の天才陶芸家が五条坂に窯を開いた。それが河井寬次郎だ。自宅兼窯場は、民藝運動に共感した人々が集った。現在は河井寬次郎記念館として公開されている。

河井寬次郎記念館
住所:京都市東山区五条鐘鋳町569
Tel:075-561-3585
開館時間:10:00~17:00(入館受付~16:30)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日休)、夏期休館8/11~8/20頃、冬期休館12/24~1/7頃
料金:大人900円、大高学生500円、中小生300円、年間パス3000円
www.kanjiro.jp

京都随一を誇る民藝同人のコレクション
「アサヒビール大山崎山荘美術館」

アサヒビール大山崎山荘美術館 1996年に開館。民藝運動由来の作家の作品が、モネの『睡蓮』等の西洋美術とともに収蔵品の中核。年4回の企画展を開催、コレクションからの展示も替わる

京都駅から東海道本線を西へ5つ目、山崎駅の北にそびえるのが天王山だ。その中腹に建つアサヒビール大山崎山荘美術館は民藝の収集で知られる。市内からピクニック気分で訪ねよう。

アサヒビール大山崎山荘美術館
住所:京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
Tel:075-957-3123(総合案内)
開館時間:10:00~17:00(入館受付~16:30)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日休、ただし2019年11月18日、25日は開館)、年末年始、臨時休館あり
料金:一般900円、大高学生500円、中学生以下無料
www.asahibeer-oyamazaki.com

陶芸家・上田恒次の最高傑作空間を堪能
「松乃鰻寮」

上田恒次設計の全容が見渡せる吹き抜けロビー ロビーの車箪笥は江戸後期のもので富山から運んできた。上に飾られているのは上田恒次作、直径50㎝超の大皿

松乃鰻寮の本家は、祇園の松乃である。先代女将が、陶芸家で建築にも造詣が深かった上田恒次と懇意で、住居として上田邸近くの「竹やぶに家を建てないか?」ともちかけた。こうして誕生したのが現在の松乃鰻寮の建物である。設計は上田恒次がすべて行った。

松乃の住居は、上田の自宅同様、民藝の精神を反映させたものだった。天井には、元の竹やぶの竹を並べ、廊下はケヤキの一枚板。階段箪笥を設け、重厚な木材をふんだんに使ったがっしりとしたつくりの家だった。後に民藝様式と称される建築の走りである。小さいながらもきちんとした書院もしつらえた、非常に品のある建物だ。

松乃鰻寮
住所:京都市左京区岩倉木野町189
Tel:075-701-1577
営業時間:11:30~15:30(L.O.14:30)、17:00~21:00(L.O.19:30)
定休日:木曜、最終週のみ水・木曜 ※変更の場合あり
https://unagi-matsuno.com/rakuhoku

ギャラリーのように民藝品が並ぶ料理店
「十二段家 本店」

民藝運動家たちの作品がズラリ 飾り棚は黒田辰秋の弟子によるもの。棚に置いてある陶器類は、河井寬次郎、濱田庄司、上田恒次など、民藝運動に共感した作家たちの作品

戦前、後に十二段家 本店2代目となる西垣光温が大阪で「十二段家書房」を営んでいた。そこは、美術書などを扱い、当時の文筆家や画家、文化人のサロン的存在だった。この頃に光温は棟方志功の大阪展覧会の売れ残りを買う機会があり棟方は大変喜んだ。

しかし、大阪の書房は戦災で焼け、一家は光温の妻の実家の京都へ移った。そこはお茶漬けの店で、戦中に閉店していたが、光温は戦後これを再開。民藝と料理は通ずると河井や棟方の言葉に後押しされて料理屋として営業をはじめた。

十二段家 本店
住所:京都市東山区祇園町南側570-128
Tel:075-561-0213
営業時間:11:30~14:00(L.O.)、17:00~20:00(L.O.)
定休日:木曜、第3水曜(祝日の場合は営業)
※営業時間・定休日は予告なく変更する場合あり
http://junidanya-kyoto.com

「松乃鰻寮」や「十二段家 本店」は民藝が並ぶ料理屋で、食事をしながら「民藝」を味わうことができる。当時に想いを馳せながら、100年の歴史がある「民藝」をテーマに京都巡りをしてみるのもおもしろいのではないだろうか。

2019年10月特集「京都 令和の古都を上ル下ル」

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