佐賀《おにぎり神谷》
美味しいおにぎりコースのご紹介
鍋で炊いた熱々のご飯を、湯気を抱き込むように握る……。おにぎりは日本人の心に訴えかけるソウルフードだ。佐賀・嬉野で開催される「おにぎり神谷」は、おにぎりのために遠方からゲストが押し寄せるいま人気のアクティビティ。にぎりびとの神谷よしえさんにある日のおにぎりコースの紹介と美味しいおにぎりの作り方を教えてもらった。
幸福感に満たされる、おにぎりコースを紹介!
「おにぎり神谷」では、カウンターに座ると、くつくつと土鍋で米を炊く音や漂う香りに心が躍る。割烹着を着た神谷さんが醸し出す心地よい空気の中、コースは幕を開ける。
まず登場するのは味噌汁だ。酒粕を加えた米味噌の味わいにほっとする。
いよいよご飯の登場。神谷さんが土鍋の蓋を開けると、湯気とともに粒が立ったつやつやの米が現れ、思わず身を乗り出し歓声を上げてしまう。
「湯気はご馳走」を信条に、神谷さんは炊きたてのご飯を手でくるくるっと気持ちのいいリズムで握ってくれる。「はい、どうぞ」と手から手へ渡されたおにぎりは、ふわっとほどけるような食感。米の熱さと甘さが染み渡るように広がり、腹の底から「あぁぁ、しあわせっ」と幸福感に満たされていく。
土鍋ご飯の後は、嬉野茶で炊いた煎茶ごはん、そして水出しの煎茶をいただく。そうしているうちにも、神谷さんはどんどんおにぎりを握ってくれるので、お代わりが進むこと進むこと!
一緒に提供されるにんじん、ごぼう、しいたけ、煮〆、神谷さんお手製の奈良漬もしみじみ味わい深く、またおにぎりに旬のカボスを搾ってみると、ハッとするほど美味しくて驚くほど。
「シンプルなおにぎりを前にすると、身体の反応もシンプルになるようです。特に旬の味は身体が欲するようで、お代わりがほしいとダイレクトな反応になりますね」と神谷さん。
イベントで1日何百個、一人でおにぎりを握ることもあるという神谷さん。「おにぎりで喜ぶ皆さんの顔を見るとパワーをもらえます。きっとおにぎりを通してエネルギーの交換をしているのですね」。米に寄り添い、人に寄り添う神谷さん。これからもおにぎりで、人々に、地域に元気を届けていく。
コースで堪能できるおにぎり
〈12:00〉
まずは土鍋の白おにぎり
神谷さんが目の前で握ってくれるおにぎりに胸が躍る。ひと口食べると、塩なしのシンプルな美味しさが口いっぱいに広がり、心にも染み渡るよう!
〈12:20〉
土鍋ご飯の塩あり
次のおにぎりは、土鍋ご飯を塩ありで握ってもらおう。塩が米の風味や甘みをさらに引き出し、また違った味わいに。おにぎりの奥深さをあらためて感じる。
〈12:45〉
塩っけのある煎茶おにぎり
「永尾豊裕園」の煎茶で炊いたご飯は、淡い黄緑色。口に入れると、お茶の豊かな風味と香りがふわり! 日本有数の茶処・嬉野の風土を感じられるおにぎりだ。
〈12:55〉
味変しながらお代わりを満喫
煎茶おにぎりをお代わりして、今度は醤油を垂らした茶葉をのせてパクリ。季節によって登場する薬味も変わり、お代わりもどんどん進む!
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おにぎり神谷
開催場所|佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙738 和多屋別荘内「李荘庵」
Tel|0954-42-0210(8:00~20:00)
料金|5500円~
おにぎり神谷プレミアム
開催場所|和多屋別荘内「サヴール・ドゥ・スイメイ」
料金|1万1000円~
※開催日時や予約は問合せもしくウェブサイトから
https://wataya.co.jp/facility/onigirikamiya
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text: Nozomi Kage photo: Kousaku Kitajima
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