小豆島《島湯》
観光客と島民の出会いを生む
|建築家・長坂 常が考える、湯と建築。

離島を盛り上げる温泉、のどかな郊外で生まれ変わった銭湯を起点とした次世代のまちづくりとは――。観光客と島民の出会いを生む、小豆島の「島湯」をご紹介。
異なる3つの施設を整え、出会いをクロスオーバーに

©Kenta Hasegawa
2024年4月にリニューアルオープンした「小豆島 オーキドホテル」内の「島湯」も、長坂さんがローカルに寄り添いながら改修を手掛けた温泉だ。「地域全体を盛り上げ、街との共存共栄を目指すために滞在の機能をひとつに集約させるのではなく、温泉の『島湯』と食堂の『島飯』、宿の『島泊』といった異なる3つの施設を整えます。開発は、島のゆるやかなスピード感に合わせて少しずつ変化させ、いい意味で期待を先延ばしにしながら段階的に進めています」

その第1弾として開業した島湯は、すでに観光客だけでなく島民の新たな憩いの場になっている。「島飯、島泊が完成した後は、それぞれが単体で存在するのではなく、クロスオーバーしながら島民と観光客が出会い、街と人の体験が一体となる場にしたいです」
そう話す長坂さんは、素材やディテールにもその地域環境との親和性を取り入れている。
住所|香川県小豆郡土庄町甲5165-216
小豆島 オーキドホテル内
Tel|0879-62-5001(ホテル総合受付)
営業時間|14:00~23:00
定休日|不定休
料金|日帰り利用/大人1200円、小学生600円 小豆島 オーキドホテル宿泊者/大人800円、小学生400円 ※小豆島島民割引あり
https://shimayu-shimameshi-shimahaku.jp
「島湯」は、小豆島の西側に位置し、新岡山港と高松港からの船を迎える土庄(とのしょう)港に面したビジネスカジュアルリゾートホテル「小豆島 オーキドホテル」の大浴場を改修してつくられた。小豆島地区の一号源泉である塩化物泉「塩の湯」を含む浴場と島内ではじめて導入された本格ロウリュが楽しめるフィンランドサウナも新設。2026年4月には食堂「島飯」、同年内に「島泊」の開業が予定されている。
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