肥前吉田焼の伝統を革新する
「224porcrlain」のクリエイティブ
400年の歴史を有する肥前吉田焼。中でも、クリエイティブな思考と柔軟な姿勢で産地を牽引するのが「224porcelain」です。代表・辻諭さんが目指す、肥前吉田焼の未来とは?
肥前吉田焼の未来を開拓する挑戦
400年の歴史を刻む佐賀・嬉野の肥前吉田焼。ただ、有田焼や伊万里焼、波佐見焼など著名な焼物の産地が点在する土地柄ゆえ、肥前吉田焼はそれらの陰に隠れ、ひっそりとした存在でもあった。そんな焼物を全国に広めたブランドが「224porcelain」だ。誕生からわずか9年ながら、代表を務める辻諭さんがデザインから製作まで手掛けるプロダクトの数々は、ユニークなデザイン性やオリジナリティ、そして使い勝手のよさで高い評価を獲得している。たとえば、手網焙煎から着想を得たハンドロースターは、吉田焼デザインコンペでグランプリを取った807デザインの濱名剛さんのデザインを、辻さんが具現化したものだ。これをきっかけに肥前吉田焼の名を知った人も多いはずだ。
辻さんのうつわづくりの技術や知識は堅実。ただ、発想や着眼点は未来に向いている。すべては「多くの人に使ってもらい、喜んでもらいたい」という思いから。生産性向上のためいち早く3Dプリンタを導入したり、新しい土を用いた商品開発に力を入れてみたり、革新的な取り組みを日々実践している。肥前吉田焼を全国へ、世界へと発信するために挑戦を続ける辻さんの継承のかたちを探りたい。
職人たちが未来につなげる
肥前吉田焼の産地
肥前吉田焼の文化を次世代に残すために、従来通りのやり方でいいのか──。これが辻さんが掲げ、現在挑戦しているマイルストーンだ。2016年にデザインコンペと、在庫品から掘り出しものを見つけるトレジャーハンティング、’17年にはデザインスクール開講、’18年の規格外品を安く購入できる直売店「えくぼとほくろ」開設、’19年には窯元会館リニューアルなど、辻さんや吉田焼窯元協同組合の窯元の若手職人を中心に日々新たな挑戦を続けている。辻さんは「大きな産地ではないからこそ、いろいろなことができるのが強み。産地全体で協力し合えば、可能性は広がっていく。嬉野市には年間約100万人の観光客が訪れています。そのうち1%でもいいので焼物を購入いただけたら、窯元にとって大きな利益になります。この割合をさらに1%増やす、一人あたりの購入金額を1000円伸ばす。地道ですが、そんなことを実現させる努力が産地全体で必要と僕は考えています」と話す。現状より1%集客を増やすといった目標は無謀な話ではない。だからこそ、各窯元の足並みも揃い、毎年新たな企画を実現させる、好循環が生まれているというわけだ。
伝統はある。一方で焼物としての縛りやルールはない。いわば、これが肥前吉田焼の強み。次なる100年に向けて、日々進化している。
shop+saryo
住所|佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙909-1
Tel|0954-43-1220
営業時間|10:00〜16:00、土・日曜、祝日〜18:00
定休日|水曜 ※カフェとバーは休業中
肥前吉田焼窯元会館
住所|佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4525-1
Tel|0954-43-9411
※「えくぼとほくろ」は電話にて要事前予約
営業時間|8:30〜16:30 ※体験受付時間は〜15:00
定休日|年末年始
肥前吉田焼のKanocoモデルついに完成!
数々のブランドとコラボレーションも行うモデル・Kanocoさんと、「224porcelain」が共演!2021年2月に3WAYどんぶりを発売。「Discover Japan Lab.」店頭にて発売中。2月23日よりDiscover Japan 公式オンラインショップでも販売中開始です!
Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|10:00~21:00(当面の間11:00~21:00)
定休日|1月1日
text: Tsutomu Isayama photo: Hiroshi Mizusaki, Hiromasa Otsuka