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《宇治上神社/宇治神社》
約1000年の歴史を刻む日本最古の神社
平安・鎌倉時代の古都を国宝と茶でたどる③

2023.12.9
《宇治上神社/宇治神社》<br>約1000年の歴史を刻む日本最古の神社<br><small>平安・鎌倉時代の古都を国宝と茶でたどる③</small>

日本で5番目の世界遺産として記載された「古都京都の文化財」が宇治市にもあるのをご存じだろうか。宇治には、日本の代表的な文化財・平等院のみならず、平安・鎌倉時代の歴史が刻まれた文化財が点在している。そんな歴史に思いを馳せつつめぐることができる、茶処ならではの愉しみを柏井 壽さんと見つけに行こう。
 
今回は世界文化遺産の「宇治上神社」と、「みかえり兎」という故事が伝わる「宇治神社」を紹介する。

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本殿
平安時代後期、1060(康平3)年頃の建立で、現存する最古の神社建築。左殿、中殿、右殿の内殿三社を横長の覆屋で覆った形式。中をのぞけば、横一列に並ぶ内殿を目にすることができる。

「平等院」と一対で世界文化遺産に登録された「宇治上神社」は、その本殿が平安時代のもので、現存最古の神社建築であることから国宝に指定されているのです。
 
少し遅れて建てられた拝殿も鎌倉時代のもので、こちらも国宝に指定されています。

境内には春日社も。重要文化財

宇治上神社は、平等院の鎮守社として、頼通によって同時期に建立されたと伝わっています。向かい合うように建っているのはそれゆえのことで、その位置関係にも注目して拝観しましょう。

手水舎には宇治七名水のうち、唯一現存する「桐原水」が湧く

宇治上神社
応神天皇、莵道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)、仁徳天皇を祀る神社。もとは下社の宇治神社と一体で、平等院の鎮守社とも。小さな山寺を思わせる山門をくぐると正面に鎌倉時代建立の拝殿が、その奥で国宝の本殿が迎えてくれる。
 
住所|宇治市宇治山田59
Tel|0774-21-4634 
拝観時間|9:00〜16:20 
拝観料|無料
https://ujikamijinja.amebaownd.com

「みかえり兎」伝説が残る平等院の鎮守社

本殿
本殿内には扉が3つあり、中央にのみ扉の内側に、さらにもうひとつ扉があり、そこへ御神体をお祀りする構造になっている。菟道稚郎子命の木造坐像も、ともに祀られている。鎌倉時代初期

宇治上神社よりも前、313年に建立した「宇治神社」は、宇治の郷の産土神として、地元で親しまれています。
 
この神社には「みかえり兎」という故事が伝わっています。
 
ご祭神である菟道稚郎子命が、大阪の河内から宇治に向かう道中で迷っていたとき、一羽のウサギが振り返りながら案内した、という言い伝えから「菟道」という地名がついたとされ、それがいつしか「宇治」に転化したというのが通説のようです。

境内にはうさぎのモチーフがたくさん。宇治神社独自のお参り方法「うさぎさん巡り」がある

宇治神社
菟道稚郎子命の宮跡と伝わる地にあり、三間社流造桧皮葺の本殿は国の重要文化財。毎年10月の宇治茶まつりでは、宮司が名水汲み上げの儀を奉仕する。
 
住所|宇治市宇治山田1
Tel|0774-21-3041 
拝観時間|境内自由 
拝観料|無料
http://uji-jinja.com

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宇治川を眺めながらいただく「抹茶料理」
《辰巳屋》

 
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photo: Katsuo Takashima
Discover Japan 2023年11月号「京都 今年の秋は、ちょっと”奥”がおもしろい」

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