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サステイナブルなうつわ産地。
有田の次の400年はSDGsから生まれる?
前編|キーマンたちが語る有田の未来

2021.8.12 PR
<small>サステイナブルなうつわ産地。</small><br>有田の次の400年はSDGsから生まれる?<br><small>前編|キーマンたちが語る有田の未来</small>

400年続くサステイナブルな日本有数の磁器産地・佐賀県有田町が、「SDGs元年」を合言葉に早くも前進をはじめています。本取り組みのキーマンたちに、うつわ産地の未来を見出すヒントを語っていただきました。

有田の歴史

1616年頃 朝鮮人陶工・李参平らによって泉山で磁器の原料である陶石が発見され、日本ではじめて磁器が焼かれる。
1637年 佐賀鍋島藩が伊万里・有田地区の窯場の統合・整理を敢行し、窯場を有田の13カ所に限定。「有田千軒」の町並みが形成され、繁栄を極める。
1867年 パリ万博に有田焼が出品される。
1896年 有田陶器市の原型といえる、陶磁器品評会がはじまる。
1971年 柿右衛門製陶技術保存会及び色鍋島技術保存会が国の重要無形文化財保持団体として認定。
1980年 天狗谷窯跡、山辺田窯跡、泉山磁石場が国の史跡に指定。
1991年 有田の町並みが、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。
2016年 有田焼誕生から400年を迎える。

泉山磁石場
日本の磁器発祥の地。400年掘り続け、いまの姿に
塀トンバイ塀
登り窯の耐火レンガの廃材などを赤土で塗り固めた

それぞれの取り組みのキーマンたち

右から有田陶交会 会長・徳永弘幸さん、有田商工会議所 会頭・深川祐次さん、有田町 町長/有田観光協会 会長・松尾佳昭さん、有田焼卸団地協同組合 青年部 会長・篠原将太さん、デザイン・ディレクター 有田町クリエイティブアドバイザー・浜野貴晴さん

焼物の一大産地から学ぶ!
SDGsのヒント

「アリタセラ」の植栽のグランドカバー材として再利用された陶磁器片「べんじゃら」

2016年に創業400年の節目を迎えた有田焼。日本で最初に誕生した磁器で、世界的にも高い評価を得てきた。有田焼が生まれたとされる1616年は江戸幕府の2代将軍が活躍した時代であり、徳川家康が没した年でもある。そんな時代から現代に至るまで焼物の一大産地であり続けたのが、佐賀県・有田町だ。SDGsという観点で見ると、産地が400年も続いているという時点ですでにとんでもなくサステイナブルであるが、歴史の深さに甘んじることなく、いま有田町では5年先、10年先の将来から、そのずっと先までを見据え、さまざまな取り組みを実践している人たちがいる。

「2021年がSDGs元年」。そんな同じ思いを抱いて動き出した窯元、商社、各組合、そして町全体。当事者だからこそ感じる未来への不安と期待、そのためにいまやるべきこと。町全体を大樹にたとえるなら、広く伸びた枝葉の随所で芽吹くようにはじまった個々の取り組みが、有田焼を次の100年、そして400年へと向かわせる。いったい、どんなSDGsの芽が出はじめているのか。有田町の取り組みから、日本全国のものづくりの産地に通じる、未来へのヒントを受け取れるのではと、現地を訪ねた。

「世代を超えてつながりながら、取り組む」

窯元若手有志15社で構成されたチーム『NEXTRAD』の1人、吉右ヱ門製陶所の原田吉泰さんは、粉砕した素焼きの特性を利用し、泡のような新たな加飾を生み出す

有田焼の産地におけるSDGsへの取り組みは、窯元、商社など、異なる立場の人たちが、それぞれのリアルな課題に対して動いているのが強みだ。つまり、それは受け身ではなく、能動的であるということで、その分、建設的に解決に向けての話が進む。しかも、組合といった既存の団体だけではなく、気の合う仲間同士や有志が集まって活動しているNEXTRADのようなチームが存在しているのも大きい。

有田焼は原料の採石からはじまり、生地屋、型屋など、さまざまな分野の人々がかかわることで成り立っている。製造工程の源流にいる職人の存在なくして焼物はつくれないし、売ることができないと、口々に話す窯元や商社。だからこそ、原料を無駄にしない工夫が生まれたり、再利用を模索する取り組みが自然と巻き起こっている。

外部クリエイターとして、中立な立場で窯業にかかわる浜野貴晴さんが「世代を超えてつながりながら、各取り組みが進められている」と話すように、有田町の横のつながりは強固だ。松尾町長は「いまこそローカルを見つめ直す時期。行政としても観光の在り方を再構築し、エコツーリズムといったかたちで農業も観光資源としていきたい」と意気込む。

 

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サステイナブルなうつわ産地。有田の次の400年はSDGsから生まれる?
前編|キーマンたちが語る有田の未来とは
中編|有田町のSDGs取り組み事例
後編|産地間の連携で実現した町づくり

text: Tsutomu Isayama photo: Kazuya Hayashi map: Alto Dcraft
2021年9月号「SDGsのヒント、実はニッポン再発見でした。」

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