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「御宿 富久千代/草庵 鍋島」
佐賀の酒蔵オーベルジュで九州を味わう。前編

2021.9.30
「御宿 富久千代/草庵 鍋島」<br> 佐賀の酒蔵オーベルジュで九州を味わう。前編

2021年4月、日本酒「鍋島」を醸す富久千代酒造が、オーベルジュ「御宿 富久千代」を開業した。それに先立ちオープンしたレストラン「草庵 鍋島」で繰り広げられる日本酒と日本料理の融合、その感動体験をお届けする。

築200年の伝統的建築物がよみがえる

「生まれ育った町並みを守りたかった。当初は何も決めずに土地だけ買ったんです」。そう語るのは、富久千代酒造の3代目蔵元兼杜氏の飯盛直喜さんだ。

JR肥前浜駅から5分ほど歩くと、酒蔵や武家屋敷が建ち並ぶ通りが見えてくる。白壁と黒い瓦屋根のコントラストが凛々しい、無駄な装飾などがない美しい町並みは、重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)にも指定され、市民が一体となって守り抜いてきたものだ。なぜこの地でオーベルジュをはじめたのか、その問い掛けには、奥さまの飯盛理絵さんが答えてくれた。

「弊社では蔵見学も酒の販売もしていませんが、わざわざたくさんの鍋島ファンや日本酒ファンが訪れてくださいました。お越しくださる方々のため、日本酒をディープに楽しんでいただける空間づくりをしようと思い、オーベルジュを開業しました」

その想いの下、200年の歴史を紡いできた伝統的建築物が「御宿 富久千代」としてよみがえる。併設するレストランの名は「草庵 鍋島」。料理長を務めるのは、東京の三つ星和食店などで研鑽を積んだ西村卓馬さん。28歳ながら、確かな経験と若き感性を生かし、和をベースとしたコースを組み立てている。次ページでは、3時間に及んだ鍋島のおもてなしを紹介しよう。

日本酒と食、うつわから
九州の四季を味わう至福の3時間

佐賀をはじめとする九州の食材と、日本酒「鍋島」とのペアリングメニューを全紹介!

トラフグの焼き白子 蒸しアワビ×特別純米酒 にごり酒
長崎産のトラフグの焼き白子を崩してソースのようにすることで、蒸しアワビの食感とにごり酒の発泡感など、多様なテクスチャーが楽しめる。うつわは1700年代の古伊万里
対馬そば 白アスパラ ムラサキウニ×純米大吟醸 山田錦35%
歯応えのある対馬そばに、佐賀の白アスパラガスの旨みと香りを閉じ込めたピューレをからめて。ムラサキウニの香りが吟醸香と合う。酒器は「in blue 暁」の百田暁生さん
アナゴ ふきのとう×特別本醸造
揚げ物の衣にビールが入っており、かんだときに麦芽の香ばしさと芳醇な香りが広がる。42℃で燗つけされた甘みのある本醸造が穴子の甘みを引き立てる。酒器は唐津・岡本作礼さん
天草のマダイ×純米大吟醸 山田穂40%
5品目は、熊本・天草で捕れた桜鯛を桜の葉で締めた、季節を感じられるひと皿。まずはそのままで、柑橘を搾って、最後は有明海の海苔醤油と、ひと皿で三度美味しい
ウチワエビとマグロのたたき、有明の海苔×純米大吟醸 クラシック 吉川山田錦45%
有明海の海苔を直前に炭火で炙り、漬け込んだウチワエビとマグロのたたきを包んだ一品。ぬる燗でつけられた酸味のある日本酒が、膨らみをもたせつつ、脂を溶かしてくれる
あか牛の肩ロース×ブラックラベル Black Label
有明海の海苔を直前に炭火で炙り、漬け込んだウチワエビとマグロのたたきを包んだ一品。ぬる燗でつけられた酸味のある日本酒が、膨らみをもたせつつ、脂を溶かしてくれる
白アマダイ タケノコ菜の花×特別純米酒クラシック さがの華60%
佐賀県産の白甘鯛とタケノコ、福岡の菜の花を使った炊き合わせ。シンプルに素材の味が楽しめる。約45℃で提供される日本酒は、酸は立ちつつも香り穏やかで、ほっとする味わい
五島のタチウオ炙り。タチウオの脂身と皮目を炙った薫香、ダイダイの果汁をベースにした薬味ゼリーの酸味との相性が抜群! 日本酒は、ゼリーの温度に合わせるかたちで、先ほどの山田穂を冷やして提供
佐賀牛のサーロイン クエ。牛と魚の王さま同士を足したシンプルな一品。どちらも甘みはあるが、余分な脂を落としているため、くどくなく食べられる。椀物に集中してほしいと日本酒は少し休憩
アスパラの炭火焼き。多良岳の「森のアスパラ」と、有明海の竹崎カニの身を入れたあんかけを合わせた、佐賀の景色が浮かぶ一品。アスパラガスとカニの甘さに、ショウガの搾り汁がアクセント
あさりご飯。多良岳の「森のアスパラ」と、有明海の竹崎カニの身を入れたあんかけを合わせた、佐賀の景色が浮かぶ一品。アスパラガスとカニの甘さに、ショウガの搾り汁がアクセント

※2021年4月時点の春のメニューです。四季に合わせて、ひと月半ごとに食材、献立を替えているため、季節ごとの料理をお楽しみください。

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text: Discover Japan photo: Atsushi Yamahira 撮影協力=佐賀県
2021年10月号増刊「ニッポンの一流ホテル・リゾート&名宿 2021-2022」

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