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「星野リゾート 界 霧島」で桜島を望む鹿児島随一の絶景温泉を体感

2021.1.27
「星野リゾート 界 霧島」で桜島を望む鹿児島随一の絶景温泉を体感
霧島連峰の高千穂峰より。眼下に錦江湾や桜島を望む絶景が広がる。「界 霧島」はこの山の中腹、霧島錦江湾国立公園内にある

星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」の新しい宿が1月29日に開業します。絶景という言葉はこの宿のためにあるのではないでしょうか。湯浴み小屋から、すべての客室から、広大な空に向けて噴煙を上げる桜島が展望できます。

桜島まで見渡せる!
高千穂峰の中腹に佇む絶景温宿

すすき野原の湯浴み小屋で地球の営みを思う
噴煙を上げる桜島を前に温泉に身を沈めると、火山のエネルギーを感じずにはいられない。霧島神宮温泉郷はさまざまな泉質があり、ここは弱酸性の単純硫黄泉

神々がこの世を治めていた神話の時代。天照大御神の命を受けた9柱の神々は、地上に降り立つ第一歩を高千穂峰に記したとされる。山頂には、邇邇芸命が降臨の際に使ったを逆さに立てたと伝わる天逆鉾がある。霧島を旅した坂本龍馬が姉に宛てた絵手紙で「天孫降臨の神話にある鉾をひっこ抜いてみたら意外と小さかった」と報告しているエピソードがなんともほほましい。「界 霧島」は、この霊峰の中腹、標高650mの地に佇む。

霧島神宮の周辺に広がる霧島神宮温泉郷は、300年の歴史を誇るお隣の霧島温泉とは泉質が異なる。硫黄の匂いはほとんどなく、なめらかで肌馴染みがいい美人の湯だ。傾斜地に建つこの宿のお風呂はちょっとユニークで、客室棟からゴンドラのようなスロープカーに乗り込み、50mほど下がったところにある湯浴み小屋へ向かう。あたりは一面すすき野原。なんと野生の鹿が顔を出すこともあるという。内風呂を抜けて露天風呂に出れば、この絶景だ。すすき野原の向こうの桜島は、錦江湾に浮かんでいるかのように見える。夕暮れどきは空の色がどんどん変わる。たなびく雲があかね色に染まり、太陽が沈んでからのマジックアワーは神秘的な空気に包まれる。満天の星も、月夜も、日の出の時刻もいいだろう。

客室はすべて、霧島の全景を見渡せるパノラマビュー。湯浴み小屋から見る風景とは違って、まるで天空から眺めているような浮遊感がたまらない。桜島を季節によるが、ほぼ順光で照らす午前中は山肌まで確認でき、遠く開聞岳が見える日も。午後、逆光で桜島のシルエットが浮かぶ様子も趣がある。ソファもベッドも、広々としたデスクも窓に向けられているから、この景色を独り占めした気分になる。

広大な眺望を生かしたインテリアからも、鹿児島という大地を感じられる。たとえば、火山噴出物のシラスを用いたシラス壁をベッドボードに使用。霧島連山をイメージしたデザインは、そのまま窓の外の山々へ視線をつなげる。薩摩和紙の照明を通した光は柔らかい。ほかにも薩摩錫の花器、大島紬のアートといった鹿児島の伝統工芸に触れることができる。

鹿児島を体感する仕掛けは空間や料理にとどまらない。星野リゾートの各地の「界」では、それぞれの地域文化を体験できる「ご当地楽」があり、霧島ではスタッフによる演舞のパフォーマンスを用意。テーマは「邇邇芸命の天孫降臨」というから興味深い。

全室、桜島の美しい眺望を望むご当地部屋

全49室の客室すべてから桜島を望む。国立公園の中に位置することもあり、周囲の自然に視線が向かうよう、全体的にトーンを抑えた落ち着きのあるインテリア。大きな窓枠が霧島の風景をアートのように切り取る。

薩摩和紙の照明は、デンマークで建築デザインを学んだ鹿児島出身の和紙デザイナー・原口敬子さんの作
角部屋の特別室は2方向に窓があり、霧島連山の風景も楽しめる。ベッドボードのシラス壁が印象的

雲の動きで刻々と変わる景色を
ずっと眺めていられる贅沢

霧島を一望できるビューテラス
湯浴み小屋や客室と同じく、半屋外のビューテラスも絶景が広がる。地元で造られた好きな焼酎をおつまみとともに楽しんでみては

霧島という名前の由来は、一説には山々が霧の海に浮かぶ島のように見えることから。雲の動きや雲間から差す光、桜島から上がる噴煙など大パノラマの景色が刻々と変わるので、見ていて飽きることがない。

食事はプライベートが保てる半個室の食事処でいただける。料理は鹿児島の郷土の味を新しい感覚で再構築。たとえば先付には、灰汁に浸したもち米を竹皮で包み、灰汁水で煮る郷土菓子「あくまき」が登場。鹿児島が誇る黒豚は、同じく鹿児島産の鰹節を一緒に食べるという斬新なスタイルだ。

たとえ1泊2日でも、鹿児島の自然にぎゅっと抱かれ、この地の文化に触れて親しみがわき、また帰ってこようと思う。界 霧島ではそんな濃密な時間を過ごすことができる。

奥にあるライブラリーで用意されたカップは、桜島の灰を用いた城戸雄介さんの作
入り口を入ってすぐのロビー。右端にあるオブジェは天孫降臨の際の天逆鉾がモチーフ

霧島連山の霊峰、
高千穂峰の登山もおすすめ!

界 霧島から車で約10分で高千穂河原のビジターセンターに到着。そこから御鉢火口や細い尾根「馬の背」を経て、天逆鉾がある山頂へ。片道約1時間半(上り)の道のりは、神話の世界を体感する人気のコース。

鹿児島の郷土料理を新しい感覚で

季節を先取りするお椀。春を彩る真薯にタケノコ、海老、木の芽を添えて
先付の「雲丹あくまき」。きな粉で食べる郷土菓子を、きな粉醤油とウニで
揚げ物は、鶏肉の西京味噌焼きを最中で包み、サツマイモの天ぷらとともに
八寸、旬魚のお造り、酢の物を盛り合わせた「宝楽盛り」。焼酎が進む
自然薯と米粉でつくる薩摩銘菓の軽羹を牛乳に浸し、あんみつのスタイルで
黒豚のロース肉とバラ肉、ふたつの部位を味比べできる。締めは細切りのそば
鯛の桜葉蒸し。華麗かつ繊細な金襴手を施した、白薩摩焼のうつわで提供する
黒豚のしゃぶしゃぶを追い鰹で味わう
昆布とあごで取った出汁を温め、削りたての鰹節を加え、鰹の旨みが引き出されたところで黒豚を投入。従来のポン酢やゴマだれとは異なり、出汁でいただくしゃぶしゃぶ
鹿児島の焼酎を飲み比べ
利き酒セットは、芋焼酎「南之方(みなんかた)」、黒糖焼酎「朝日」、麦焼酎「野中さんちの麦」。テイストの違いを楽しめる

温泉を楽しむためのアメニティ

①セパレートタイプの作務衣。縁に施したパイピングがおしゃれ。
②ハンドソープや洗顔ソープも、紫蘇、椿などの和漢植物入り。
③和漢生薬成分を用いたアメニティ。いきいきとしたハリのある肌に。
④室内スリッパの代わりにぞうりを用意。風呂上がりに気持ちよい。
⑤タオル類は高品質な今治タオル製。吸湿性に優れ、使い心地抜群。
⑥手提げ代わりの風呂敷は持ち帰っても重宝。中には歯ブラシなど。

星野リゾート 界 霧島
住所|鹿児島県霧島市霧島田口字霧島山2583-21
Tel|0570-073-011(界予約センター)
客室数|49室
料金|1泊2食付2万円〜(税別・サ込)
カード|AMEX、Diners、DC、JCB、VISAなど
IN|15:00 OUT|12:00
夕食|和食 朝食:和食
アクセス|車/鹿児島空港から約45分、電車/JR霧島神宮駅から車で15分
施設|食事処、ロビー、トラベルライブラリー 、ビューテラス、大浴場、湯上がり処
ネット|Wi-Fi
 
 

≫公式サイトはこちら

 

text: Yukie Masumoto photo: Gota Yuki
Discover Japan 2021年2月 特集「最先端のホテルへ」


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