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「種子島」鉄砲とロケット、時代時代の最先端が生まれる島!

2019.10.2
「種子島」鉄砲とロケット、時代時代の最先端が生まれる島!
「JAXA種子島宇宙センター」から、年に数回打ち上げられるロケット。轟音とともに巨大な炎と煙がロケットを宇宙に押し上げる圧巻の光景。写真はH-IIAロケット11号機

16世紀に鉄砲が伝来し、国内初の銃を製造、そして現在ではJAXAで宇宙開発に取り組むという、それぞれの時代で“最先端”の研究を行う種子島。他にも実に多くの表情を有している。バイヤーの山田遊さんとこの島が内包する魅力を探る《ロケットと鉄砲、時代の最先端をゆく種子島》の前編。

旅をした人
山田 遊(やまだ・ゆう)
1976年東京都生まれ。IDEE SHOPのバイヤーを経て、2007年methodを設立。フリーランスのバイヤーとして、数多くの話題スポットで“モノ”のセレクトやディレクションを手掛け、領域を越えて活動中。

鹿児島県本土の南方約40㎞に位置する種子島。年間平均気温は19・3度と暖かく、標高の最高点は282mという平らな島である。西之表市、中種子町、南種子町から構成された島の人口は、有人離島の中でも比較的多い約2万9000人。だが各市町の中心部から少し離れると、やはり特有の“島時間”が流れている。

種子島と聞くと、「JAXA種子島宇宙センター」や「鉄砲伝来」のイメージを抱く人がほとんどであろう。確かにロケット打ち上げ時には各地から観光客が押し寄せ、海上輸送できないロケットを乗せたトレーラーが通れるよう、公道の信号や標識は通常より高い場所に設定されている。

種子島東南端の海岸線に面する「JAXA種子島宇宙センター」。約970万㎡の日本最大のロケット発射場だ

さらに鉄砲伝来の地をいまに伝える碑や像は島内に点在し、その歴史を学ぼうと思ったら「種子島開発総合センター 鉄砲館」へ足を運べばよい。夏が来ると「ロケット祭」や「鉄砲まつり」と名を冠した祭りが開催されるなど、これらは人々の暮らしと密接にかかわっている。

だが、種子島の魅力はそれだけにとどまらない。知る人ぞ知る魅力的なコンテンツが数多く存在しているのだ。旅人となった山田遊さんが種子島を訪れるのは、今回がはじめて。島内各所をめぐり、豊富な可能性に驚いたという。

JAXA種子島宇宙センター
人工衛星を打ち上げるための施設で、大型ロケット発射場、衛星組立棟などがある。入館料無料
住所:鹿児島県熊毛郡南種子町大字茎永字麻津
Tel:0997-26-2111
開館時間:9:30~17:00(7~8月は~17:30)
休館日:月曜(祝日の場合は火曜。8月は原則無休)※臨時休業あり

「僕も皆さんと同じように、鉄砲やロケットの印象が強かったんです。だけど実際にさまざまな場所を訪問し、種子島は伸び代が抜群だなと感じましたね。

鉄砲伝来という“歴史”と、種子島宇宙センターという“最先端”の要素がある一方、インギー鶏や芋焼酎といった“昔からあるもの”や、ショウガやバナナなど“日常にあるもの”を、新たに価値化させようと懸命に取り組んでいる方々もいる。加えて、ずっと興味があった種子鋏は想像以上に素晴らしいものでした。どれも個で成立できるポテンシャルにあふれています」。

種子島開発総合センター鉄砲館
鉄砲の展示に加え、種子島の歴史や文化、生き物などを総合的に学べる博物館。外観は異国の南蛮船がモチーフ
住所:鹿児島県西之表市西之表7585
Tel:0997-23-3215
開館時間:8:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎月25日(7月・8月は除く)、年末年始
入場:一般420円、高校生270円、小中学生130円

余談だが、種子島は映画『君の名は。』を手掛けた新海誠監督の『秒速5センチメートル』の聖地にもなっており、映画のシーンを見つけて歩くファンも多い。美しい海と数々のサーフポイントに魅了され移住するサーファーも少なくなく、海の幸に恵まれ、温泉だってある。種子島はあらゆる好奇心を満たしてくれる場所なのだ。

文=大森菜央 写真=吉田素子 画像提供=JAXA
2017年7月号 特集「この夏、島へ行きたい理由。」

《ロケットと鉄砲、時代の最先端をゆく種子島》
前編|ロケットの島は魅力が詰まった宝庫でした。
中編|超最先端のルーツは鉄砲とハサミにあり
後編|鍛冶職人の卓越した技術が生んだ日本初のハサミ「種子鋏」

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