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織姫さまにも差し上げたい甘い5つの口福「松屋藤衛門」の珠玉織姫
買って帰りたい京都

2020.10.24
織姫さまにも差し上げたい甘い5つの口福「松屋藤衛門」の珠玉織姫<br><small>買って帰りたい京都</small>

いまは何でも取り寄せて買える時代。でも、せっかく京都を訪れたなら、足を運ばないと聞けないつくり手の話とともに買って帰りたい、京都ならではの”いいもの”を、京都出身の目利き人・内藤恭子さんが厳選して教えてくれた。

選・文=内藤恭子
共著『京都を買って帰りましょう。』をはじめ、ジャンルを問わずつくり手の取材を数多く手掛ける。作家作品などを紹介するショップ「好事家 白月」も主宰する

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木箱入りは陶器製の小皿もセット2300円。袋入りもある(650円)。完売することも多く予約がおすすめだ

大徳寺のすぐそばに店を構える「松屋藤兵衛」といえば、紫野松風が有名だ。松風は味噌の力で生地を膨らませたカステラのような菓子で、お茶会でもおなじみの名品。これもぜひ、食べていただきたい銘菓だが、私がお土産にも買い求めるのが珠玉織姫だ。

砂糖をすり蜜状にし、米粉を混ぜてつくる干菓子なのだが、意外と甘さも控えめ。中がほどよく軟らかい食感が独特の歯触りで、食べだすと手が止まらなくなる。乾燥の調節だけで、このしっとり加減を生み出すため、天候に左右されるデリケートな珠玉織姫さま。姫さまだけに、お姿も小さくて愛らしい。店が位置するのは、西陣織で有名なエリアに近いこともあり、白、赤、黄、青、茶と糸玉をイメージしているそう。「私の祖父の代で創作した菓子で、昭和20年代にお茶会に出された記録が残っています。お菓子を収める木箱や、菓子を取り分ける陶器皿も、糸巻をモチーフにデザインしたものなんです」と、ご主人の前野恒治さん。

そして、驚くのが風味。5色がすべて違う味に仕立てられていて、当時としては斬新な干菓子だったと思う。だから、飽きない。前述の順番に、ゴマ、梅肉、ショウガ、柚子、肉桂の風味がはっきりと味わえる。一部の色づけ以外はすべて天然材料で表現されており、香料は使わない。「昔と同じように自然のものだけで味つけし、柚子は風味のよい京都の水尾産をすり下ろして使います」と、面倒なことこの上ない。でも「文化や伝統には面倒なことがつきものですね。でもそれを排除しては、守れないものがありますから」と、サラリと語るご主人。箱入り娘の珠玉織姫は、これからもずっと慈しむようにつくり続けられる。

 

松屋藤衛門
住所|京都市北区紫野雲林院町28
Tel|075-492-2850
営業時間|9:00〜18:00
定休日|木曜(祝日営業、水曜不定休あり)

《買って帰りたい京都》
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photo: Sadaho Naito
Discover Japan TRAVEL 2019年号 特集「プレミアム京都2019」


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