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和食の店《野むら山荘》
柏井 壽さんと巡る、京都・大原の美味しい店④

2023.12.2
和食の店《野むら山荘》<br><small>柏井 壽さんと巡る、京都・大原の美味しい店④</small>

山間の集落に、ひっそりと佇む古刹が集まる大原はかつて平安貴族が隠棲していたという歴史ある地。そんな大原にいま、こぞって星付きレストランのシェフやオーガニック野菜を育てる農家さんが集まっているという。豊かな山里で育つ野菜を使った美食を提供する店も増え、盛り上がっている、新たな癒しの地・大原を探る。
 
最後に紹介するのは、昭和初期に建てられた屋敷を移築した和食の店「野むら山荘」。豊富な種類の料理を四季の表情とともに楽しめると人気を博している。

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大原の恵みは、野むら山荘の
滋味深い軍鶏鍋で味わう

囲炉裏の間では、囲炉裏に炭をおこし、魚を焼いて食べることも。ほかに、30人入る大広間など、どの部屋からも四季折々の庭を望む

先に紹介した「里の駅 大原」から歩いて10分とかからずたどり着けるのが「野むら山荘」。広大な敷地に建つお屋敷然とした建物で、大原の里らしい滋味深い料理を食べられることで、年々人気が高まっている和食の店です。
 
囲炉裏をしつらえた部屋や、屋久杉張りの天井が印象的な大広間など、客室は豊富なバリエーションを備えているので、とても使い勝手がいい店ですが、秋や春、新緑の頃におすすめしたいのは、庭に突き出た舞台のようなテラス席です。開放感があって、1組だけ季節限定なので、早めの予約は必須です。

八寸
秋刀魚燻製、黒舞茸炭焼、落花生塩湯掻き、焼柿など、秋の味覚を取り合わせて

そして肝心の料理ですが、観光地にありがちな、おざなりの料理ではなく、洛中でもなかなか食べられないほど、レベルの高い料理が供されます。
 
鄙と雅を見事に融合させた「八寸」は、目も舌も喜ばせてくれます。サンマや栗、柿に黒マイタケと、秋の味覚がずらりと並びます。

季節の逸品
子持ち鮎塩焼きは10月半ばまでのごちそう。琵琶湖産の鮎は子持ちでも小ぶりで、旨みが凝縮している

ご主人が自ら手掛けたといううつわに盛られた「子持ち鮎塩焼」へと続き、店の名物ともいえる「小鍋立て」へ。今日は軍鶏鍋です。

軍鶏小鍋コース(Aコース1人前)5300円
メインの軍鶏小鍋は、近江で長期飼育された軍鶏を使用。熟成した旨みがあり、もも、胸、手羽、皮、肝、キンカンなどさまざまな部位を味わえる

軍鶏のいろいろな部位が味わえる鍋は、ゴボウの味と香り、歯触りが彩りを添え、野趣あふれる味わいです。

手打ち蕎麦
主人自ら手打ちする名物の蕎麦。つなぎが入らない十割蕎麦ゆえ、新蕎麦の季節はひと際香り高い

〆はご主人が自ら打つ十割蕎麦。今日の蕎麦粉は北海道産だそうです。秋はお蕎麦が美味しい季節。鄙の山里で食べるお蕎麦は格別の味わいです。

水菓子
のど越しのよい蕎麦の後に、地鶏卵を用いた濃厚なプリンを少し。この甘みが心地いい

鄙の山里大原には、若狭街道を挟んで、よくその名を知られたふたつの古刹が建っていて、このふたつのお寺が象徴するように、大原はまた祈りの里でもあります。

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野むら山荘
江戸時代から続く呉服商が昭和初期に建てた屋敷を譲り受け、大原に移築。軍鶏鍋をはじめ、冬は猪、熊などジビエの小鍋も愉しみ。「草喰なかひがし」で経験を積んだ2代目が加わり、摘み草料理も取り入れている。
 
住所|京都市左京区大原野村町236
Tel|075-744-3456 
営業時間|ランチ12:00〜15:00、ディナー17:30〜21:00 
定休日|木曜 
http://nomura-sansou.com

 

   

 

photo: Makoto Ito
Discover Japan 2023年11月号「京都 今年の秋は、ちょっと”奥”がおもしろい」

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