PRODUCT

ジュンク堂書店 那覇店・森本浩平さんが選ぶ
沖縄と郷土の味を知るための本 10選

2023.8.29
<small>ジュンク堂書店 那覇店・森本浩平さんが選ぶ</small><br>沖縄と郷土の味を知るための本 10選

本を通して沖縄の魅力を発信してきたジュンク堂書店 那覇店の森本浩平さんに、沖縄と食にまつわるおすすめの本を選んでいただきました。読めば沖縄をもっと好きになること間違いなし!

ジュンク堂書店 那覇店 エグゼクティブ・プロデューサー
森本浩平さん

1974年生まれ。兵庫県出身。2009年にジュンク堂書店 那覇店の店長となる。’12年から大阪・千日前店の店長を務めた後、’16年に那覇店の店長に再任。’23年より同店のエグゼクティブ・プロデューサー。那覇市沖映通り商店街振興組合理事も務める。地元沖縄のRBC琉球放送にて、10年以上にわたり毎週ラジオに出演中

いまチェックしておきたい注目の沖縄本

『沖縄の路線バス おでかけガイドブック』
価格|1760円
編著|室井昌也
アドバイザー|谷田貝哲
発行|論創社

沖縄の書店員がイチオシの本を選ぶ2023年の「第9回沖縄書店大賞」<沖縄部門>の大賞受賞作。「沖縄県にはゆいレールがあるものの、電車そのものがなく、バスの利用率が高いのです。ほとんどの路線図を網羅し、さらに各路線図ページにあるQRコードを読み込めば、時刻表も確認できるという優れもの。地元の方に保存版として重宝されています。観光客の方も、この本片手に、のんびりバス旅を楽しんでみてはいかがでしょうか」

『リメンバリング オキナワ 沖縄島定点探訪』
価格|1980円 
編著|岡本尚文 
監修|當間早志 
発行|トゥーヴァージンズ
 
米軍統治下時代に撮られた沖縄の風景、商業施設、そして米大統領来沖の際の歴史的場面
といった写真の数々を掲載。「当時の米軍関係者が撮影した珍しいカラー写真が多く収録され、過去の情景をリアルに写し出しています。この本の醍醐味は、それらの写真から現在の場所を探し当て、同じ構図で撮影し、左右ページで見比べる構成になっていること。過去から現在の場所しかり、逆に現在の場所から過去をたどるおもしろさがあります」

『来年の今ごろは ぼくの沖縄<お出かけ>歳時記』
価格|1980円 
著者|新城和博
発行|ボーダーインク
 
沖縄の出版社・ボーダーインクの名物編集者であり、これまでに沖縄出版界の顔として、県内外の多数メディア等にも発信してきた、新城和博さんの6年ぶりの著作となるエッセイ集。「地元那覇を中心に、時には“隣町”の台湾にもお出掛け。沖縄での日常がユーモアたっぷりにつづられています。タイトルにある『歳時記』の通り、沖縄の年中行事や風習などが随所にちりばめられ、県外とは違う沖縄の四季折々、風習が感じられる一冊です」

『沖縄さかな図鑑』
価格|1980円 
著者|下瀬 環
発行|沖縄タイムス社
 
ミーバイやタマン、グルクンに代表される沖縄の魚はじめ、海老、カニなど含む水産物734種を写真入りで詳しく解説。「著者は沖縄に長く移住されていた水産研究者であり、掲載写真はなんと、すべてご自身の手で撮ったもの。そんな著者の情熱で出来上がった本です。後にも先にも、ここまでの情報量を網羅した図鑑はないでしょう。2022年に発表された『第8回沖縄書店大賞』<沖縄部門>大賞受賞作でもあります」

郷土料理からひも解く沖縄

『山本彩香 とー、あんしやさ 琉球料理の記憶と味の物語』
価格|2640円 
著者|山本彩香、駒沢敏器
発行|スイッチ・パブリッシング
 
1985年に琉球料理の店を開店、’99年には予約が取れない店「琉球料理乃 山本彩香」開き、閉店してからは琉球伝統料理の普及に努めて、2022年に沖縄県功労者として表彰された山本彩香さん。「2012年にお亡くなりになった作家・駒沢敏器が琉球料理を残そうとの想いで山本さんに取材、同時に波乱万丈な山本さんの人生も聞き出され、描かれています。物語と一緒につづられている、山本さんがつくる美しい琉球料理の写真も必見です」

『おうちでうちなーごはん!』
価格|1980円 
著者|はやかわゆきこ
発行|ボーダーインク
 
東京出身で、沖縄で22年間暮らした著者が紹介するレシピ本。琉球料理研究家・松本嘉代子さんの学校で学んだ家庭料理が、ポップなイラストで描かれ、わかりやすくて楽しい。「レシピの数は50以上もあり、この一冊があれば、基本的な沖縄料理はほとんどつくれてしまいます。沖縄のごはんは『ぬちぐすい』と呼ばれ、ぬちは命、ぐすいは薬を意味し、文字通り元気になるようなものが多いです。ぜひ沖縄の健康食をお試しあれ」

『からだにやさしい おきなわ島やさい』
価格|1980円 
著者|徳元佳代子、比嘉淳子
発行|ボーダーインク
 
沖縄の気候や風土に適合し、戦前からつくられ食べられてきた島野菜。島らっきょう、へちま、パパイヤなど、沖縄ならではの28の野菜を春夏秋冬の季節ごとに取り上げて、特徴・保存方法・食べ方のポイントを紹介している。「それぞれの野菜別に、これまでの定番の沖縄料理とは違う、著者ならではの斬新でおしゃれにアレンジした料理レシピが掲載されています。新しい島野菜の魅力と美味しさを引き出すレシピ本です」

ローカルが愛する食文化を知る

『おいしい沖縄』
価格|1782円 
著者|池澤夏樹、岡本太郎、酒井順子ほか 
発行|河出書房新社
 
池澤夏樹、向田邦子、岡本太郎はじめ、県内外の作家や文化人がこれまでに発表した、食にまつわるエッセイを厳選し収録。「24編の沖縄の“おいしい”話が詰まっています。あの人があそこで沖縄料理を食したのだという楽しみと、書かれた時代が1960年から2017年のものまで幅広く、食を通して沖縄のこれまでの変遷も感じることもできます。本当に多くの沖縄料理が出てくるため、沖縄好きの方は、読めばすぐ沖縄へ来たくなるかも」

『沖縄の食文化』
価格|1100円 
著者|外間守善
発行|筑摩書房
 
琉球文学や琉球文化研究の第一人者である外間守善の著作。肉や魚、果物をはじめとする沖縄食材を、それらの歴史的背景を基に、個々に私的なエピソードを交えて紹介。「ほかにもちんぴん、ちんすこうなどの琉球菓子も描かれています。沖縄学の権威による沖縄食文化史ですが、ご自身があとがきで『ガチマヤー(食いしん坊)』と書かれていて、食への想いが伝わってくるよう。写真もたくさん挿入され、非常に楽しく読める内容です」

『沖縄食材図鑑』
価格|3300円 
著者|田﨑 聡
発行|楽園計画
 
2009年に発売されて以来、重版を重ね、2023年に最新の改訂版が刊行された。「145種以上の沖縄の食材の特徴や選び方、そして産地記載もあるのですが、それが沖縄の市町村単位で明記されていてすごい。野菜、果物、肉、魚、何から何まで県外とはかなり違う沖縄食材ですが、飲食業をはじめ、専門分野においては何かと役に立つ保存版です。旬の時期や、それぞれの栄養成分も書かれており、沖縄の家庭でも頼りになりそうな本です」

読了ライン

ジュンク堂書店 那覇店
約150万冊の在庫を誇る、沖縄最大の大型書店。専門書や稀少本も幅広く取り扱い、沖縄関連本だけでも1万5000冊を超える。トークライブや握手会、朗読会などのイベントも頻繁に開催している
 
住所|沖縄県那覇市牧志1-19-29
Tel|098-860-7175
営業時間|10:00〜21:00
定休日|不定休

text: Kohei Morimoto photo: Nirai Tasato
Discover Japan 2023年7月号「感性を刺激するホテル/ローカルが愛する沖縄」

沖縄のオススメ記事

関連するテーマの人気記事