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「百名伽藍」沖縄南部の海沿いにある琉球文化の魅力を凝縮した上質なリゾート

2019.10.24
「百名伽藍」沖縄南部の海沿いにある琉球文化の魅力を凝縮した上質なリゾート
すべての部屋がオーシャンビュー。青い海と白い砂浜が眼下に広がる。沖縄の自然とパワーを間近に感じられる場所だ

沖縄といえばきらびやかなビーチリゾートホテル。そんな定説から脱皮宣言するかのように現れたのが「百名伽藍(ひゃくながらん)」。琉球文化を背景に、日本旅館の上質さを併せもつ、新しいスタイルが魅力だ。

海辺に突き出した岬という絶好のロケーションに建つ。久高島を望む神聖な土地でもある

沖縄が好きだ。隙あらば沖縄へ。いつも狙っている。夏はもちろんだが、春も秋も、冬だっていい。伸びやかな空気に身を置きたい。いつもそう願っている。定宿と呼べるホテルも何軒かあるのだが、それとは別に、もしも沖縄にこんな宿があれば……。僕にはふたつの夢があった。

沖縄の宿といって、多くが思い浮かべるのは、きらびやかなビーチリゾートホテル。オーシャンビュールームのバルコニーから海を眺める。プールサイドで、トロピカルカクテルにストローを差す。強烈な日差しを避けて、白いパラソルの下で寝そべる。誰もがこんな光景に憧れて、沖縄の宿を訪れるのではないだろうか。

4階にある特別室の白隠の間。和室からはオーシャンビューの景色が印象的

これはこれでよしとする。しかしながら、画一的なスタイルを排し、落ち着きのある日本旅館のような、上質な宿が沖縄にあれば、どんなに素敵だろうかと、長く思い続けてきた。これがひとつ目の夢。宿のかたちの理想である。

一方で海の眺めとして、中北部の西海岸ではなく、南部の東海岸の海に憧憬を抱いてきた。この場所に宿があれば、どんなにいいだろう。これがふたつ目の夢。理想のロケーションだ。

夢というものはそうたやすく叶うものではない。だから、ふたつの夢が同時に叶ったような宿ができたらしいと聞いても、にわかには信じられなかった。

最上階にある貸し切り風呂。方丈庵という名で6室ある。湯に浸かりながら真っ青な海を眺める。極上の気分を味わえる

宿の名は「百名伽藍」。僕の大好きなカフェ「浜辺の茶屋」のすぐそばと理想的な立地。那覇空港から車で30分程度。宿にたどり着いてしばらくの間、僕は言葉を失っていた。

目の前に広がる海。その海を眺めるに、これ以上は望めないだろう、堂々たる建物の美しさ。どんな美辞麗句を駆使したとしても、この場に立ち、五感すべてで感じ取る感動を超えることなど、決してできはしない。

朝食も琉球らしい
品数が多く、満足度の高い内容。琉球らしい食材がふんだんに

客室のみならず、すべてのパブリックスペースからの素晴らしき眺め。本物だけが醸し出すしつらいの見事さ、その両者によって生み出される居心地のよさ。

加えて、数日滞在しても、朝夕毎日料理が変わる、奥行きの深い和琉料理。沖縄という素朴な風土に逆らうことなく、しかし洗練を極めるという優れて好ましい料理。

翌朝起きるとビーチにはなんと海亀の足跡が残っていた。産卵に来た海亀が海に帰っていった証だ

日本とアジアの中継地点として、長きにわたって続いた琉球王国の歴史を、いまに伝える宿としての役割をも百名伽藍は担っている。あるいは世界遺産に登録されている、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」と密なつながりをもつ宿なのでもある。

伽藍とは、僧が修行する清浄な場所を指す。その名を冠し、体現し、快楽をも享受できる宿。百名伽藍は沖縄唯一無二の逸宿である。

百名伽藍
住所:沖縄県南城市玉城字百名山下原1299-1
Tel:098-949-1011
Fax:098-852-6588
E-mail:info@hyakunagaran.com
客室数:17室
料金:1泊2食付5万4000円〜(税込)
カード:AMEX、DC、DINERS、JCB、MASTER、VISA、銀聯など
IN:14:00 OUT:11:00
夕食:和琉会席料理(食事処または部屋食) 朝食:和食(食事処または部屋食)
温泉:なし 風呂:露天風呂6、貸切風呂(無料)、部屋風呂全室
アクセス:車/那覇空港から車で約35分
館内施設:ライブラリー、禅の間、ギャラリー、エステルーム
Wi-Fi:あり
www.hyakunagaran.com

文=柏井 壽 写真=宮地 工
Discover Japan_TRAVEL「味わいの名宿」

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