《森をつくる太鼓》
伝統文化と森林を循環させる“サステナブルな太鼓”
株式会社宮本卯之助商店は、江戸東京の伝統に根差した技術や産品などを新しい視点から磨き上げ、世界へと発信していく「江戸東京きらりプロジェクト」にて、檜原村拠点とする林業会社、株式会社東京チェンソーズと共に昨今の東京の森林問題の解決に向き合った「森をつくる太鼓プロジェクト」を始動。その第1弾としてサステナブルな太鼓「森をつくる太鼓」の発売を開始。5月14日(土)には、檜原村にて森の演奏会&ワークショップ「はじまりの森」を開催する予定だ。
このプロジェクトは、自然との共生を願い、太鼓を打ち鳴らしてきた日本人の原点に立ち返り、自然と人を繋ぐサステナブルな楽器づくりで、アートと環境を豊かにする循環型社会の提案。
太鼓から始まり、祭りや芸能で使われる楽器や道具を作り続けて160年、現代生活における消費サイクルと商品のライフサイクルのズレによる文化継承への影響とその持続可能性を考える「宮本卯之助商店」と、日々持続可能な森林経営に取り組む林業会社「東京チェンソーズ」が手を組み、伝統工芸技術と間伐材を掛け合わせたサステナブルなプロダクト「森をつくる太鼓」を生み出した。森をつくる太鼓を広げる事で、檜原村のスギが豊かに樹齢100年を迎え、木材としての価値の向上、産業としての効率化、多様性のある森づくりに貢献している。
160年以上祭りを支え続け技術の文化継承と森林課題に向き合う
日本の伝統的な製法で作られた太鼓や祭に関わる楽器や道具は、職人の技術も、材料も無駄にしない、長く続くサステナブルな物づくりを行ってきた。例えば、祭りで使用する神輿は20〜30年に一度総修理を行うことで、太鼓は張替などを行うことで、長く使い続けられ、修繕の際には職人同士で伝統技術の継承が行われてきた。しかし現代では、生活様式の変化から消費の時間サイクルが短くなり、技術や文化をこれまで通り育てていくことが難しくなった。これまで日本の伝統技術を牽引し、文化継承の危機に直面する宮本卯之助商店だからこそ、いま改めてこのサイクルを見つめ直し自然と共生してきた日本文化現代生活にフィットした形で活かせるのではないかと考えている。
通常は太鼓製造の適正に達しない間伐材を伝統技術によって生かす
森林を適正に管理するために伐採された間伐材は、通常太鼓作りに使用する木材に比べ、密度や硬さは劣るが、それを160年以上受け継がれてきた職人の知恵と技術で補うことで、美しく力強い打音を響かせるサステナブルな太鼓を開発した。さらに、通常は用いない板目材も取り入れ、浮造り仕上げを施すことで美しい木目も楽しめる太鼓となっている。
東京の森林問題解決に貢献
第1弾のプロダクトは檜原村にある東京チェンソーズ社と共に東京のスギを使った桶太鼓を開発した。東京は総面積の4割が森林に覆われているが、木材価格の下落に伴い、林業従事者も1/10ほどに減少。戦後植林されたスギやヒノキ、サワラなどの人工林は樹齢60年にも達しているが、充分には活かされていないのが現状。この状況を鑑みて東京の木材を活かした太鼓を林業の観点から森林課題の解決に取り組む東京チェンソーズと共に開発し、木材の地産地消を推進。完成したプロダクトを東京の太鼓愛好者たちを始めとする多くの方に知ってもらうことで東京の森林問題の解決に貢献できるという選択肢をつくった。
和太鼓では世界初となるFSC®認証を取得
森林課題の解決の1歩はサステナブルに管理された森林の木材を使用することと考え、世界で初めて森をつくる太鼓の一部ラインナップをFSC認証の太鼓として発売。FSC認証は環境、社会、経済の便益に適い、適切に管理された森林からの製品を目に見える形で消費者に届け、それにより経済的利益を生産者に還元する仕組み。今後は各地のFSC認証材を用いた太鼓づくりや、太鼓以外のプロダクト作りにも取り組んでいく。
※FSC認証は、国際的な非営利団体Forest Stewardship Council®(FSC®:森林管理協議会)が、世界に責任ある森林管理を広めるための森林認証制度。環境、社会、経済分野の利害関係者の合意によって支持された国際的な規格をもとに、適切に管理されていると認められた森林から生産された木材や、その他適切な森林資源の使用につながる原材料を使用した製品にFSCラベルを付け、認証品として販売することができる。FSCラベルを目印に認証製品を選んで購入することで、認証された森林資源への需要が高まり、適切に管理された森林の拡大につながる。これにより、普段の生活の中で、無理をせずに森を守ることが可能。
森の演奏会&ワークショップ第1弾「はじまりの森」
日常で使われる木製品の木材がどこから来るのか?現代の生活の中で、それを知る機会は多くないだろう。しかし確実に、どこかの森から切り出された木が私たちの前に製品として届けられている。
「はじまりの森」は、太鼓となる木が育まれる森を訪れ、木が伐採される瞬間から、太鼓として音楽を奏でるところまでを体感するイベント。一つの生命が終わり、新たな役目を受けて生きていく。自然と人間の営みを見つめ、未来に向けて豊かな環境と文化を育てるきっかけとなることを願っている。
同時に森について学びながらのノルディックウォーキング、太鼓を使ったリズムワークショップやスプーン作りの木工体験ワークショップを開催する。
イベント開催概要
会場|東京都西多摩郡檜原村MOKKI NO MORI(https://mokki.jp)にて実施予定
実施内容|森についてのお話を聞きながらのノルディックウォーキング、太鼓や木工のワークショップを通じて、太鼓となる木が育まれる森を訪れ、木が伐採される瞬間から、太鼓として音楽を奏でるところまでを体感。
http://miyamoto-unosuke.co.jp/moritsuku/