福岡・大川市《庄分酢》
300年続く酢蔵を、
発酵文化に出合う旅の目的地へ
|九州観光まちづくりAWARD2026 金賞(食部門)
JR九州が手掛ける「九州観光まちづくりAWARD」が2026年も開催。過去最多の100組を超えるエントリーの中から、食部門で金賞を受賞したのは「庄分酢」。酢の魅力と発酵文化を伝える場所へと進化している「庄分酢」。伝統を守りながら、蔵見学や酢のフルコースなど、新たな体験を提案。地域の食や暮らしを、次世代へ受け継ぐ挑戦とは。
磨き上げた酢蔵見学と
酢のコースで発酵文化を発信

1711(宝永8)年創業の「庄分酢」は、筑後川の水と筑後平野の米に育まれた、300年続く酢蔵だ。15代目・高橋清太朗さんが一子相伝で受け継ぐのは、江戸時代から続く自然発酵の静置発酵法。米、水、微生物の力を生かし、職人の手を加えながら、時間をかけて酸味柔らかなコクのある味わいに仕上げていく。
しかし、高橋さんが次の300年につなぎたいのは酢だけではなく、この土地に根づく発酵文化そのもの。そのため、酢蔵を舞台に、2025年より新たな取り組みをはじめている。

そのひとつが有料の「酢蔵ツーリズム」だ。職人による解説や木桶の見学、試飲を通して、酢づくりの奥深さを体験できるツアーを展開。フルーツビネガーづくりのワークショップや、茶室で発酵料理を味わうコースなども用意し、酢の奥深い世界を見て・味わって・学ぶ、大人の好奇心を刺激する内容へと発展させている。

お酢の価値を伝える
食と教育観光のかたち

さらに10年以上続けてきたレストラン事業を「五感で体験する発酵ガストロノミー」へ刷新。元フレンチシェフが、酸味だけでなく、素材の旨みやコクを引き出す、酢のポテンシャルに着目した和洋折衷の「酢のフルコース」を提供。筑後川の魚・エツなど、地域の食材と組み合わせながら、「酢の可能性」を伝えている。

レストランがあるのは、蔵に併設する築260年の町屋住宅「高橋家住宅」。大川市指定文化財であり、現在も高橋さん家族が暮らしている。ものづくりとともにある風習や暮らしを感じられるのも、この場所ならではの魅力だ。
「日本酒や醤油の『推しの蔵』がある人がいるように、お酢にも語れる世界観がある。その奥深さを知ってもらえたら」と高橋さん。
地域とのつながりも広がっている。先々代の頃から続く学校給食への提供に加え、2026年秋に近隣に誕生する宿「RITA大川藩境」への朝食提供もスタート予定だ。

歴史ある酢蔵を、伝統を守る場所としてだけでなく、受け継いだ技術を体感できる場所として価値を変え、そこに暮らす人々の営みや地域の食文化まで伝えている。小誌統括編集長・髙橋俊宏は、「自分たちの価値をきちんと見出し、無料だった蔵見学の内容を磨いて有料の内容に昇華。経済的な部分に生かして循環させているところが素晴らしいです。酢のフルコースも美味しかった!」と高く評価。体験と交流で新たな価値を磨き、次世代へつなぐ歩みを進めている。
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《原田米店》
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庄分酢
住所|福岡県大川市榎津548-1
Tel|0944-88-1535
営業時間|リストランテSHOUBUN/11:30~、13:30~入れ替え制、売店/9:00~17:00
定休日|日・月曜(月曜が祝日の場合は翌日休)、売店は不定休
https://shoubun.jp
01|「九州観光まちづくりAWARD2026」、結果発表!
02|佐賀・唐津市「ON THE CLIFF 宗 秀明」
03|宮崎・日南市「PAAK DESIGN」
04|福岡・大川市「庄分酢」
05|鹿児島・薩摩川内市「原田米店」
06|熊本・甲佐町「パレット」
07|宮崎・日向市「美々津プラザ」
08|最終ノミネート者の皆さん
09|「九州観光まちづくりAWARD2026」を振り返ろう
text: Nozomi Kage photo: Hiromasa Otsuka
2026年10月号「感性の刺激する場所へ。/九州」



































