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鹿児島・薩摩川内市《原田米店》
お米の価値を炊き上げるおいしい観光
|九州観光まちづくりAWARD2026 金賞(食部門)

2026.9.30
鹿児島・薩摩川内市《原田米店》<br>お米の価値を炊き上げるおいしい観光<br><small>|九州観光まちづくりAWARD2026 金賞(食部門)</small>

JR九州が手掛ける「九州観光まちづくりAWARD」が2026年も開催。過去最多の100組を超えるエントリーの中から、食部門で金賞を受賞したのは「原田米店」。米を洗い、薪を割って、かまどに火をつけ、炊きたての米を皆で味わう。かつて賑わった温泉地に再び人を呼ぶ、「原田米店」による、ひと粒の米からはじまる食の取り組みを追った。

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温泉文化と農村文化を
体験で次の世代へつなぐ

鹿児島県薩摩川内市の市比野温泉は、かつて湯治場として賑わうが、時代とともに観光客は減少。人口減少や高齢化、空き家の増加など、温泉街はさまざまな課題を抱えるようになった。

音楽好きが高じて、店舗の音響や照明にもこだわる代表・原田匠さん。選び抜いた米を買いたいと、産地を飛び越えて全国から注文が入る。炊飯器の開発や料理人へのアドバイスなども行う

「このままでは、この土地が育んできた温泉文化や農村文化まで失われてしまう」。そんな危機感から、「原田米店」の代表である原田匠さんが2022年にはじめたのが体験型ショップ「ライススタイルショップハラダ」だ。

1946年創業、地域の家庭へ米を届けてきた米店だからこそ感じていたのは、米には人をつなぐ力があるということ。「一粒のお米から地域の未来を炊き上げる」をテーマに、米の販売だけでなく、米を起点に、人が集まり交流する場所をつくり出した。

店内に鎮座する立派なかまど。地元の90代の職人が手掛け、若い職人に技術を受け継ぐ機会にもなった。「おくどさん体験」などの取り組みが評価され、農林水産大臣賞を受賞

店内では全国500以上の品種から厳選した46品種を扱う。中でも目玉は、昔ながらの炊飯を体験できる「おくどさん体験」だ。好みの品種を選んで精米し、洗米、薪割り、火をおこし、かまど炊きまでを参加者が行う。炊飯には市比野温泉の超軟水を使い、炊きたての米を皆で味わう。ご飯を炊くという営みを通して、地域の人・農業・温泉文化がつながる特別な体験になる。

この体験を支えるのが、米の深い知識をもつスタッフたち。五ツ星お米マイスター、お米ソムリエなどの資格を取得し、米のプロフェッショナルとして専門性を高め、家庭で美味しく炊くための知識や技術を伝えている。

学校や企業を訪れ食育授業を行うほか、工芸や食材、文化など地域の専門家とイベントも開催

さらに、味噌店と組んだ味噌づくりや歯科医院と連携した食育講座、地域の飲食店が集まるイベントなども開催。米を入り口に、地域の人やものをつないでいる。

通販だと価格やパッケージだけで米が選ばれ、その価値や土地の物語まで伝えにくい課題を感じていた原田さん。だからこそ、人が訪れ、五感で体験し、地域と出合える場所をつくった。
「お米店がこんな広がりをもてるのかと驚きました。お米は海外からも注目されているので、世界に飛び出していけるのでは」とホテルジャーナリスト・せきねきょうこさんも期待を寄せる。

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46品種の米販売にとどまらない、
体験型空間

①食感や味わいから好きな米を選び精米

「精米したてのお米に触れて、人肌のような温もりを感じて」と原田さん。米は力を入れず優しく洗う。炊飯水には軟水を使用するのがコツ。

②店内で薪割りを体験

近隣の杉や檜などの間伐材を、器具を使って燃えやすいよう小さく割っていく。「ちょっとコツが要るけど、楽しい!」と俳優・宮﨑香蓮さん。

③かまどに火をつける

かまどに、杉の葉や松ぼっくり、薪を入れて火をつける。マッチで火をつける体験も子どもたちには貴重。「火吹き棒は、手前のススを奥にそうじするイメージで吹くとよく燃えます」と原田さん。

④完成

湯気の香りが香ばしく変化していくといよいよ完成!釜の蓋を上げると、湯気と香りとともに「うわー、粒が立ってる」と歓声が上がる。「おこげをつくりたい」という審査員の要望にも対応。

⑤炊き立てご飯をいただく

皆でテーブルを囲んで「いただきます」。お櫃に入った炊きたてご飯に、地元の肉や魚、小鉢、米粉のデザートなどを楽しめる。薩摩焼のうつわなどからも地域の文化を感じられる。

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熊本・甲佐町《パレット》
 
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原田米店
住所|鹿児島県薩摩川内市樋脇町市比野2454-1
Tel|0996-38-0054
営業時間|10:00~17:00
定休日|日曜、祝日
https://h-kometen.com
https://www.riceperformance.jp/

text: Nozomi Kage photo: Hiromasa Otsuka
2026年10月号「感性の刺激する場所へ。/九州」

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