TRADITION

女性たちの高野山。【後編】
女性をキーワードにめぐる新しい聖地ツーリズム

2024.7.23
女性たちの高野山。【後編】<br><small>女性をキーワードにめぐる新しい聖地ツーリズム</small>

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成要素のひとつ、真言密教の一大道場・高野山。随筆家・白洲正子が愛した美しき里山に鎮座する丹生都比売神社を起点に、「女性」という切り口でこの地をめぐる新しい“聖地ツーリズム”へ――。

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万人に開かれた祈りの聖地へ。

奥之院を中心に蓮の花びらにたとえられた高野山女人道。高野三山を尾根伝いに10.7㎞めぐるコースは、往時の面影と歴史を体感できる

八葉の峰と呼ばれる1000m級の山々に囲まれた山上の盆地に広がる高野山は、参詣道として「高野七口」と呼ばれる街道が通じていた。その各入り口には、かつて女性のための籠り堂が建てられ、入山がかなわなかった女人信者は尾根を渡り歩いたといわれている。

現存する唯一の女人堂「不動坂口女人堂」。その向かいには高野山で一番大きな地蔵尊「お竹地蔵」が祀られている。そのほかの女人堂は跡地だけが残っている
根本大塔(こんぽんだいとう)
弘法大師空海が高野山を開山した際、最初に整備した「壇上伽藍」を構成する真言密教のシンボルともいえる多宝塔。高さ約48.5mの大塔の中には、真言密教の教えを体現する荘厳な立体曼荼羅の世界が広がっている。現在の塔は1937年に再建されたもの

往時に思いを馳せながら摩尼山、楊柳山、転軸山の高野三山をめぐる約10㎞の女人道を歩いていると、杉や檜、高野槙といった「高野六木」の針葉樹が織りなす幽玄な世界や、山上から見下ろす根本大塔など、高野山の新たな表情を垣間見ることができる。

金剛峯寺(こんごうぶじ)
全国3600社の高野山真言宗の総本山。豊臣秀吉が母堂のために寄進した青厳寺と興山寺を1869年に合併して金剛峯寺となった。「蟠龍庭」や山本探斉や千住博画伯の襖絵、天皇・上皇が登山された際に使用された総金箔押し壁の上段の間など見どころが多数ある

トレッキングを楽しんだ後、山内に降り、御廟で入定された弘法大師空海がいまも瞑想を続けているとされる奥之院、高野山真言宗の総本山・金剛峯寺、壇上伽藍をめぐる。根本大塔内部の立体曼荼羅を拝観していると、金剛峯寺の僧侶・神野泰成さんが話す。

「立体曼荼羅が表しているのは、宗派、性別、人種などの分け隔てなく、すべてを受け入れ融け合っている密教の世界観。現在も受け継がれているその教えを、理屈ではなく、ここに身を置いて感じていただきたいです」

主殿には完成するとそこから崩壊がはじまるという考えで、未完成のまま残されている意匠もある
「蟠龍庭」は国内最大級の石庭で、雄雌の一対の龍が雲海に浮かびながら奥殿を守っている姿が幽玄に表現されている

王道の参拝から女性目線の巡礼まで、多様な発見がちりばめられた聖地は、何度も訪れたくなる魅力に満ちている。

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2024年は、聖地リゾート・和歌山へ!
令和の熊野詣をさらに愉しみたいなら。

「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録20周年を記念して期間限定の特別拝観やイベントを開催中! これは見逃せない!

熊野古道中辺路リレーウォーク
大斎原の夜間ライトアップ

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キャンペーン期間|2024年7月~ 12月中旬
www.wakayama-kanko.or.jp/features/20th-koyasan-kumano

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「わかやまほんまもん体験」平安衣装体験
所用時|2時間
料金|3000円
https://www.wakayama-kanko.or.jp/features/activities/onlinebooking/

キャンペーン情報などに関する問い合わせはこちら
問|和歌山県観光振興課
Tel|073-441-2775

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世界遺産登録20周年!《紀伊山地の霊場と参詣道》を再発見。
1|令和の熊野古道の歩き方【前編】
2|令和の熊野古道の歩き方【後編】
3|口熊野の名湯と進化する食文化を満喫
4|女性たちの高野山。【前編】
5|女性たちの高野山。【後編】

text: Ryosuke Fujitani photo: Kenji Okazaki
Discover Japan 2024年8月号「知的冒険のススメ」

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