坂東玉三郎と中村七之助が新春を彩る!
”究極の美”と躍動の2本立て
シネマ歌舞伎〈二人藤娘/日本振袖始〉
人気・実力ともに最高峰の現代歌舞伎界を代表する女方・坂東玉三郎。そんな玉三郎の美しい舞踊が観られる2本立て『二人藤娘/日本振袖始』が、2023年1月6日(金)から12日(木)にかけて全国の月イチ歌舞伎上映館で上映される。観に行く前に、あらすじや見どころをおさえておこう。
「二人藤娘」あらすじ・見どころ
近江国の大津近辺で、藤の花が絡む松の大木の下に2人の娘が出現する。その正体は藤の精だった。娘たちは移り気な男心と切ない女心を語り、近江八景の歌に合わせて男への恨みと恋心のもどかしさを踊りで表現しはじめる。さらには、藤の花に酒を注ぐと、娘たちは藤の花が松に絡むさまや、恋人と共に酒に酔った様子を踊って見せるのだった。
舞踊の人気演目である「藤娘」を二人で演じるという新たな演出の「二人藤娘」。坂東玉三郎と中村七之助が、絵の中から抜け出たかのような美しい藤の精を艶やかに演じている。舞台いっぱいの藤の花と、二度三度と衣裳が変わるふたりの藤の精の華やかさを堪能しよう。
「日本振袖始」あらすじ・見どころ
出雲の国では、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)に毎年人身御供を差し出し、今年は稲田姫が捧げられることに。夜も更けた頃、どこからともなく姿を現したのは、大蛇の化身である岩長姫(イワナガヒメ)。供えられている好物の酒の香りに気がつくと次々に飲み干し、ついに稲田姫を飲み込んでしまう。しかしこの酒は、大蛇退治にやってきた素盞嗚尊(スサノオノミコト)が用意した毒酒。間もなく、素盞嗚尊が大蛇に奪われた十握の宝剣と稲田姫を取り戻すためにやって来て…。
妖艶な雰囲気を漂わせる岩長姫が、酒に酔ってその本性を徐々に現していく場面や、大蛇の分身も加わっての迫力ある立廻りがみどころ。近松門左衛門の作で長く上演されていなかったが、名女方として名高い中村歌右衛門が復活させた演目で、坂東玉三郎が受け継いだ。冒頭の特別映像では、玉三郎が作品への思いを語っている。
シネマ歌舞伎だけの舞台裏映像に注目!
冒頭の坂東玉三郎へのインタビューのほか、開演前や上演中の舞台裏の様子など、普段なかなか目にすることができない姿を捉えた舞台裏映像も本編とともに上映される。
とくに「二人藤娘」の幕が上がる直前の玉三郎と、ともに藤の精をつとめる中村七之助の様子からは、本番前の緊張感だけでなく普段からの関係性も垣間見える貴重な映像になっている。
また「日本振袖始」では、女性の姿から恐ろしい大蛇の姿へと変身する早替わりの裏側も上映。前半の岩長姫は、醜く生まれ美貌に恵まれた女性を恨んでいるという設定。その恨みが募った姿である後半の大蛇は、迫力が凄まじい。いつも眩い美しさで観客を魅了する玉三郎が、この2役をどう演じるか注目だ。
2022年度の「月イチ歌舞伎」は今作で終了するが、2023年度も4月から開催が決定。来年度もバラエティに富んだラインナップで期待が高まる。
中でも2024年1月に公開が決定している新作シネマ歌舞伎『唐茄子屋 不思議国之若旦那』は、今作でも活躍する中村勘九郎・七之助が出演した宮藤官九郎作品で、古典落語を原作に「不思議の国のアリス」の世界を織り込んだ完全オリジナル作品。一体どんな作品になるのだろうか。
新作歌舞伎のほか、2023年に生誕150周年を迎える文豪・泉鏡花原作の4作品をはじめ、古典から新作まで13本の魅力的なシネマ歌舞伎がラインナップ。月に一度の楽しみとして、来春もシネマ歌舞伎を楽しもう。
読了ライン
月イチ歌舞伎 2022
『二人藤娘/日本振袖始』
上映日|2023年1月6日(金)~12日(木) ※東劇のみ2023年2月2日(木)まで上映
上映館|東劇ほか全国の映画館にて(詳しくはこちら)
料金|一般2200円、学生・小人1500円
出演|『二人藤娘』坂東 玉三郎、中村 七之助/『日本振袖始』坂東 玉三郎、中村 米吉、中村 勘九郎ほか