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長野県松本市 開運堂の「あづみの風情」
《福田里香の民芸お菓子巡礼》

2023.3.17
長野県松本市 開運堂の「あづみの風情」<br><small>《福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は、開運堂の安曇野のシンボル「常念岳」と「道祖神」をデザインした最中種に、砂糖キビから抽出した糖蜜で煉った素朴な風味の珍しい白餡を詰めた最中「あづみの風情」を紹介します。

福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。12年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

販売期間は2月4日から11月下旬まで。ご家庭用バラ売りもある。あづみの風情 12個入 1427円

信州には古来、数多くの石仏が人の暮らしに寄り添うように存在しています。石仏の中でも道祖神をこよなく愛したのが、松本民芸家具の創設者・池田三四郎です。この神さまは、男女が仲よく寄り添った造形の石像で、家内安全と夫婦和合の願いが込められています。

池田は石仏の由来や文化を研究し『信州の石仏』(1966)を上梓しました。それに先んじて、東京民藝協会の機関誌『民芸手帖』1961年11月号に「信州道祖神の研究」という文も寄せています。表紙はお気に入りの道祖神の拓本でした。

2015年の連載第30回に松本の名店「開運堂」の干菓子「道祖神」をご紹介したのを覚えていらっしゃいますか?  開運堂には道祖神を模した季節限定菓子もあります。それが毎年立春から販売する最中「あづみの風情」です。パリッと香ばしい最中皮には、かわいい道祖神と山岳随筆集『日本百名山』にも掲載される安曇野「常念岳」が焼き込まれています。糖蜜で煉った白あんは素朴な風味。つい手が伸びる絶妙な味わいです。

読了ライン

道祖神の拓本を赤で印刷した開運堂の包装紙

開運堂
住所|長野県松本市中央2-2-15
Te|0263-32-0506
営業時間|9:00〜18:00
定休日|なし
www.kaiundo.co.jp

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2023年3月号「移住のチカラ!」

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