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【伊勢角屋麦酒】伊勢で花開いた女性ブルワーが手掛ける“農大花酵母”ビール

2016.8.2

お伊勢参りの人々で賑わうおはらい町通りに、出来立てのクラフトビールが飲めるお店がある。それが「伊勢角屋麦酒(いせかどやビール)」。もともとは1575年に伊勢詣での旅人にお茶を振る舞う茶屋として創業し、1923年に味噌や醤油の醸造業を開始、1997年にビール作りを始めた。

畑違いともいえるブルワリーの立ち上げだったが、持ち前のチャレンジ精神で次々と革新的なビールを作り出し、2000年に「ジャパン・ビア・カップ」で金賞を受賞するなど、数々の大会で高評価を得ている。

農大花酵母を使った初めてのビール

伊勢角屋麦酒は定番商品以外にも、イベント時やテーマにそって斬新なアイデアの限定ビールを数多く作り出している。そんなチャレンジのひとつが、“農大花酵母”を使ったビール「はなきんシリーズ」だ。農大花酵母とは、東京農業大学短期大学部醸造学科酒類学研究室が日本の花から採取分離に成功した酵母のことで、2015年8月に伊勢角屋麦酒がビールメーカーとしては初めてこの酵母を用いたビールを発売した。

春には「さくら」の花酵母を使用し爽快な果汁のような味わいに、母の日の贈答用には「カーネーション」の花酵母を用いて酸味を控えめにし、フルーティな香りを大切にした。他にも、「みかんの花」「つるばら」「日々草」など様々な酵母の特長を生かしたレシピ考案し、花酵母ビールの可能性をどんどん広げている。

華やかな香りと飲みやすさで女性に人気博している「はなきんシリーズ」を手掛けるのは、東京農業大学の醸造科で花酵母を研究し、現在は伊勢角屋麦酒で酵母の研究を行っているブルワーの金澤春香さん。クラフトビール業界では珍しく社内に酵母研究室が用意され、酵母の研究を一手に引き受けている。ビール酵母が大好きな金澤さんは「この時間が幸せです」と笑顔を浮かべる。

金澤さんは研究を行うだけでなくだけで、仕込みなどの力作業も行う。「確かに大変ですけど、やっぱり楽しいですね」。次はどんな花の酵母を使ったビールが登場するのか? 次なる「はなきんシリーズ」に期待が高まる。

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