酒粕酵母パン、自家焙煎珈琲、名喫茶..
京都人が通う、なじみの喫茶とパン。
京都の街を知り尽くした京都人は、どんな店に通っているのか? ガイドブックでは発見できないなじみの店をこっそり教えてもらいました。今回は、さわやかな朝にピッタリな朝食を堪能できる名店を紹介します。
小川 裕嗣(おがわ・ひろつぐ)
「楽焼 長樂窯」作陶家。楽焼の名窯・長樂窯に生まれる。茶盌を軸に領域を越えたコラボ、国内外での発表も積極的に行う
ogawachoraku.com
SHOWKO
「SIONE」デザイナー。京都の老舗窯元「真葛焼」に生まれ、2009年より「SIONE」を始動。’16年には左京区にカフェ兼ショップを開業
増田 德兵衞(ますだ・とくべえ)
「増田德兵衞商店」14代目。1675年創業、伏見で最も歴史が深い蔵元の当主。「にごり酒」など伝統の味を守りながら、新商品の開発にも注力
松林 豊斎(まつばやし・ほうさい)
朝日焼十六世窯元。2016年、朝日焼の十六世松林豊斎を襲名。“現代の茶のうつわ”を中心に制作。国内外で展示やワークショップを開催
松山 大耕(まつやま・だいこう)
1978年、京都市生まれ。妙心寺退蔵院 副住職妙心寺退蔵院、副住職。2007年より妙心寺退蔵院副住職。ローマ教皇やダライラマと会談するなど宗教の垣根を越え活動
村山 和正(むらやま・かずまさ)
「オートクチュール京都」支社長・プロデューサー。京都を軸にイベント企画やPRなど幅広く活動。比叡山延暦寺のブランディングにも携わる
渡部 宏一(わたなべ・こういち)
「RAINMAKER」デザイナー。2013年にアパレルブランド「RAINMAKER」を開始し、京都を拠点に活動。今年春には室町三条に旗艦店が移転オープン
ブルーチーズが利いたトーストと朝の一杯
1.WIFE&HUSBAND
渡部「ご近所づき合いが続く吉田恭一さん、幾未さん夫婦が営むお店。出勤前に立ち寄るとお二人の温かい笑顔に癒されます」
鴨川沿いの、細道に佇む小さな喫茶店。自家焙煎コーヒーには「DAUGHTER」、「SON」と二人の子どもたちを表す名がつく。アンティーク雑貨が彩る店内で、挽きたてのホットコーヒー(620円)に合わせるハニーチーズトーストは、はちみつに黒コショウをピリリと利かせ、モッツァレラやブルーチーズをブレンドしたチーズがとろり。好みのコーヒーを淹れた魔法瓶とマグ、お手製ラスクを詰めたバスケットを手に河原でのんびりピクニックもおすすめ。
WIFE&HUSBAND
住所|京都市北区小山下内河原町106-6
Tel|075-201-7324
営業時間|10:00〜17:00(L.O.16:30、ピクニックL.O.15:00)
定休日|不定休
https://www.wifeandhusband.jp/
熟成感も楽しめる、金曜限定の酒粕酵母パン!
2.季節料理と天ぷらLovA
松林「土曜の朝の楽しみです。真紀子さんのこだわりと想いに共感し、一緒にお茶請け用クッキーもつくらせていただきました」
古民家を改装した料理店の中で、金曜限定で焼かれるパンラバーな真紀子さんがつくるパンは、千葉県の蔵元「寺田本家」の酒粕にこだわる。蔵にすむ酵母菌などが小麦粉との化学反応で何ともいい香りを生み、防腐剤の代わりもするのだとか。日が経つにつれ熟成を増し、風味、もっちり食感をどんどん変化させる味わいも興味深い。卵・乳製品を一切用いない生地も安心安全ヘルシーフード。古代小麦100%のパンはワインとの相性も抜群。
季節料理と天ぷらLovA
住所|宇治市宇治壱番83
Tel|0774-24-5966
営業時間|11:30〜14:00、17:30〜20:30
定休日|月・火曜 ※パンの販売は金曜のみ
行列必至!老舗の朝食は空間も合せて楽しみたい
3.イノダコーヒ本店
小川「少し贅沢な朝食を楽しみたいときに訪れるイノダさんのモーニング。レトロな内観の旧館でいただくのがお気に入りです」
朝7時の開店を待ちかねて多くのお客が来店する京都の老舗コーヒー店。定位置のテーブルでコーヒーを楽しむ常連もいれば、モーニング目当ての観光客の姿も。人気メニューは「京の朝食」(1480円)。茅ヶ崎のハム工房でつくられるイノダオリジナルのボンレスハム、スクランブルエッグ、クロワッサン、サラダとボリューミーな一品。店自慢のコーヒーとともに、京都の一日が優雅にはじまる。
イノダコーヒ本店
住所|京都市中京区堺町通三条下ル道祐町140
Tel|075-221-0507
営業時間|7:00〜18:00
定休日|なし
https://www.inoda-coffee.co.jp/shop/honten/
珈琲通に提案する名喫茶的ブランチの在り方
4.小川珈琲 本店
松林「たまのお休みにブランチへ。厚切りベーコンからフルーツまでの満足メニュー。+110円でドリンクが付くのもうれしい」
1952年創業、「京都の珈琲職人」とも称され愛され続けるロースターの直営店。コーヒー通が唸るスタイルを提案するカフェスペースでは、モーニングからディナーまでのフードサービスも充実。中でも土・日曜限定で提供されるスペシャルブランチセットは、サイドメニューの種類、ボリュームともに大満足の欲張りプレート。味わい、香りなど深みのあるコーヒーと合わせて楽しもう。
小川珈琲 本店
住所|京都市右京区西京極北庄境町75
Tel|075-313-7334
営業時間|7:00〜21:00(L.O.20:30)
定休日|なし
https://www.oc-ogawa.co.jp/
麦と酵母が香るパンは毎日のモーニングに
5.喫茶とパンdo.
SHOWKO「コーヒーも美味しいし、パンも完売なことが多い人気店ですね。ランチにはホットサンドが揃っていますよ」
利用客はご近所率9割の、まさに「家庭の主食」を支えるパン店。自家製天然酵母を使ったズッシリとした質量、ゴロッと大きいカンパーニュや食パンなど、毎日20〜30種を焼き上げている。店内はカフェにもなっていて、午前中はオムレツとハムのプレート(880円)など、6種の定番モーニングを提供。写真のパンはライ麦50%配合のサワードゥだが、各メニューでパンは5種類から選べるので、組み合わせ次第で何回来ても新鮮な気持ちで味わえる。
喫茶とパンdo.
住所|京都市左京区北白川東久保田町10-1 第二白川ハイツ1F
Tel|075-746-2301
営業時間|8:00〜16:00(L.O.14:00)
定休日|月曜
身近にアートを感じながらホテルで朝食を
6.node hotel
増田「低アルコールでシャンパンのような発泡感が楽しめる日本酒を、朝から一緒にいただくのも粋だと思います」
国内外のアート作品が飾られたギャラリーのようなダイニングでいただく朝食(2200円)は、オムレツにサーモン、低温熟成ハム、ボイル野菜、ヨーグルトなど盛りだくさん。生肉からじっくり仕込むハムや、旬の果物でつくるコンフィチュール、四季折々の季節のスープなど、可能な限り地元産素材を使い、手づくりにこだわっている。美味しさと地元への想いがギュッと詰まったすべてのメニューが、飲み物も含めお代わり自由というのもうれしい。
node hotel
住所|京都市中京区西洞院四条上ル蟷螂山町461
Tel|075-221-8800
ダイニング営業時間|11:00〜20:00(L.O.19:00)
定休日|なし ※朝食利用は要予約
営業時間|7:30〜10:00(L.O.9:30)
https://nodehotel.com/
※状況により営業時間等が変更となる場合がありますので、営業状況についてはお電話にてお問い合わせください。
text: Kazuhiro Motohashi, Satoshi Takenaka, Keiko Segawa, Maya Suzuki photo: Seiichi Suzuki, Takahiro Takami, Satoshi Takenaka, Taiga Tamura, Kosaku Yamashita
coordinate: Tiki Script
Discover Japan 2021年10月号「秘密の京都?日本の新定番?」
《京都人が通うなじみの店 25》
1|KYOTO GOURMET MORNING
2|KYOTO GOURMET LUNCH
3|KYOTO GOURMET DINNER
4|KYOTO GOURMET SOUVENIR