日本酒、茶、和菓子、ペアリング..
古都で愛される、美味しい京都の逸品。
京都の街を知り尽くした京都人は、どんな店に通っているのか? ガイドブックでは発見できないなじみの店をこっそり教えてもらいました。今回は、贈り物にももってこいな、京都の逸品をご紹介します。
“幻の酒米”で醸す日本酒とおかきのペアリング
19.増田德兵衞商店
増田「メイド・イン・京都の、やさしい甘みが広がるおかきができました。「月の桂」と合わせて楽しんでいただければ幸いです」
日本屈指の酒処・伏見で最も古い酒蔵とされる「増田德兵衞商店」が、酒造好適米「祝」を使用したあられ「月の桂 かき餅」(500円/130g)を開発・販売を開始する(9月末販売予定)。同蔵は、「京都の米で京都の酒を」を合言葉に、一度は途絶えた幻の酒米・祝を栽培。日本ではじめて「にごり酒」という名で販売した蔵元としても知られる。伏見の土と水で育った祝、その酒米で醸した「月の桂」との究極のペアリングを楽しんで。
増田德兵衞商店
住所|京都市伏見区下鳥羽長田町135
Tel|075-611-5151
営業時間|9:00〜17:00
定休日|日曜、祝日、4〜9月の土曜
https://www.tsukinokatsura.co.jp/ec_shop/company/
オランダ由来のカステイラを京ナイズした逸品
20.越後家多齢堂
松山「お持ちする先への人数に合わせて、自由に切って取り分けてもらえる、木箱のお重に入ったカステイラはとても重宝します」
300年ほど前、創業者が長崎のオランダ人より教わったという焼き菓子「カステイラ」は、その後、京都で洗練された味に進化を遂げる。この店では黄身が色濃い栄養価の高い卵を手割りして、そこに特製の砂糖と小麦粉、水飴といった極めてシンプルな素材を加え、丹精込めて焼き上げる。味わいは非常に軽やかで、やさしい甘さが静かに伝わり、後味も爽やか。この甘い香りと風味が添加物を一切加えぬ証しなのだ。一番人気は9×22㎝の紙箱入りのカステイラ(1900円)。
越後家多齢堂
住所|京都市上京区今出川通千本東入
Tel|075-431-0289
営業時間|9:00〜18:00
定休日|水曜、第3火曜
https://www.echigoya-kasutera.com/
果実の自然な風味を生かす茶席菓子
21.老松 北野店
村山「4月〜初夏までの期間しかお目にかかれない「夏柑糖」は、シンプルながら絶品。大人気なので手に入れるのが大変です」
花街・上七軒の老舗和菓子店。山人艸果の「橙糖珠」、「胡桃律」は、ゆっくりと糖度をあげながら蜜漬けにした金柑に、ローストした国産クルミにすり蜜をあしらったひと口サイズのお菓子。お茶はもちろんコーヒーやワインにも合うのだとか。また夏みかんを搾った果汁と寒天を合わせ、くり抜いた皮に注ぎ、冷やし固めた夏柑糖(1個1404円)は老松の代名詞。寒天の食感と程よい酸味、ほろ苦さが広がる冷菓を心待ちにする人は絶えない。
老松 北野店
住所|京都市上京区社家長屋町675-2
Tel|075-463-3050
営業時間|9:00〜18:00
定休日|不定休
http://oimatu.co.jp/
生麩のおやつは京都土産のスタンダード!
22.麩嘉 錦店
小川「7代目・小堀周一郎さんはNYでミシュラン2ツ星の精進料理店「Kajitsu」も営んでおり、新しい挑戦にも目が離せません」
創業は古く、江戸後期には御所に献上していた老舗がつくる生麩は、京料理の素材だけでなく、あんを包んだまんじゅうとしても人気だ。丹波大納言の上品なこしあんを青海苔風味の生麩で包んだ、笹の香りもすがすがしい「麩まんじゅう」(1個240円〜)は、いまや京都土産の定番。季節ごとの期間限定麩まんじゅうも評判を集めるほか、近頃京都人を魅了するいち押し人気「鯛やき麩」(1個260円〜)が錦店で販売しており、次の定番土産に成長しそうだ。
麩嘉 錦店
住所|京都市中京区錦小路堺町角菊屋町534-1
Tel|075-221-4533
営業時間|10:00〜17:30
定休日|月曜
http://fuka-kyoto.com/
涼やかな姿とのど越しが忘れられない料亭の甘味
23.紫野 和久傳(むらさきの わくでん)堺町店
渡部「和久傳さんの西湖は、和三盆の上品な甘みと笹の葉にくるまれた爽やかなルックスで、老若男女問わず喜ばれる手土産です」
高台寺門前に本店を置く「和久傳」のおもたせ専門店。ちりめん山椒や季節ごとの弁当、鍋などを持ち帰ることができる。ひと際評判を呼ぶ甘味「れんこん菓子 西湖(せいこ)」は、蓮の根のでんぷんである蓮粉に和三盆糖を加えて練り上げる。もとはコースの最後に出していたものが独り立ちしたものだそう。つるっと、もちもちとした繊細な食感は、口に入るその瞬間まで手仕事で優しく包まれた笹の葉に守られている。
紫野 和久傳 堺町店
住所|京都市中京区堺町通御池下ル丸木材木町679
Tel|075-223-3600
営業時間|1Fおもたせ10:00〜19:00、2F茶菓席13:00〜17:00(L.O.16:30)
定休日|なし ※弁当、鍋などは要予約
日本最古の茶屋が手掛ける煎茶は、ここぞの手土産
24.通圓茶屋
松林「先さまをお訪ねする際にお持ちすることが多いです。ご主人にうかがった宇治茶の土産話とともにお渡しすると喜ばれます」
1160(永暦元)年創業、日本最古の茶屋といわれる「通圓茶屋」。源頼政の家臣がこの地に庵を結んだことにはじまり、先祖代々、宇治橋の橋守として道行く人に茶を振る舞い続ける。誰もが淹れやすく飲みやすい煎茶のおすすめは「あおい」。気候や環境で微妙な変化を見せる茶葉の個性を見極め、香りや味わいの選定やブレンドは当家お抱えの茶師の技。渋みと苦みをあえて抑え、旨みと香りを引き立たせながらも、後味をすっきりさせた銘茶である。
通圓茶屋
住所|宇治市宇治東内1
Tel|0774-21-2243
営業時間|9:30〜17:30
定休日|なし
http://www.tsuentea.com/
日本酒だけでも数えきれない銘柄の数!
25.にしむら酒店
SHOWKO「スタッフの方は全員日本酒に詳しく、的確に選んでくださいます。おもたせの日本酒は必ずここでセレクトしてもらいます」
店内外に低温庫や保存庫を何カ所も設け、日本酒だけでも約150石(一升瓶換算で約1万5000本!)を氷点下も含めたあらゆる温度帯に分けて所蔵。もちろんワインの取り扱いもあるが、京都の地酒で和食なら料亭謹製の銘柄を、しっかりした味つけのフレンチやスパニッシュや、イタリアンなど乳製品に合わせるならと、シチュエーションに応じてどのスタッフに相談しても最適なマリアージュの一本を選んでくれる。
にしむら酒店
住所|京都市左京区北白川久保田町3
Tel|075-781-3049
営業時間|9:00〜19:30(日曜のみ11:00〜18:00)
定休日|第3水曜
https://nishimura-saketen.com/
text: Kazuhiro Motohashi, Satoshi Takenaka, Keiko Segawa, Maya Suzuki photo: Seiichi Suzuki, Takahiro Takami, Satoshi Takenaka, Taiga Tamura, Kosaku Yamashita
coordinate: Tiki Script
Discover Japan 2021年10月号「秘密の京都?日本の新定番?」
《京都人が通うなじみの店 25》
1|KYOTO GOURMET MORNING
2|KYOTO GOURMET LUNCH
3|KYOTO GOURMET DINNER
4|KYOTO GOURMET SOUVENIR