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縄文人のデザインされた暮らしを探る
縄文時間旅行<タイムトラベル>【TRAVEL 2】
北海道・内浦湾をひた走る縄文ドライブ

2021.9.12
<small>縄文人のデザインされた暮らしを探る</small><br>縄文時間旅行<small><タイムトラベル></small>【TRAVEL 2】<br>北海道・内浦湾をひた走る縄文ドライブ
「縄文のたたずまい」をコンセプトに整備された高砂貝塚公園

北海道・北東北の縄文遺跡群を訪ねると、縄文人の豊かな暮らしぶりが見えてきます。考古学者・岡村道雄先生のガイドで、遺跡を巡る旅の魅力や、おすすめのコースを紹介します。令和から縄文へ、約1万5000年をさかのぼる旅に出かけましょう。

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岡村道雄(おかむら・みちお)先生
考古学者。自称“杉並の縄文人”。宮城県東北歴史資料館、文化庁、奈良文化財研究所などで勤務。三内丸山遺跡の発掘調査などにかかわり、縄文遺跡群世界遺産登録推進専門家委員会委員も務めた。著書に『縄文の列島文化』(山川出版社)などがある。

広大な大地に残された縄文の足跡をたどる

トラベル2は、内浦湾をぐるっとドライブしながら北海道南部の縄文遺跡をめぐるコース。17点もの足形付土版が出土した垣ノ島遺跡は、日本最大級の盛土遺構も見どころ。太平洋を見下ろす丘の上に位置する大船遺跡には、当時の環境再現を目指して植樹された縄文の森が広がっている。その後は内浦湾沿いを北上。入江貝塚では、約20m幅の貝塚を剥ぎ取って展示する“貝塚トンネル”が圧巻。内浦湾を見下ろす丘の上にある北黄金貝塚では、周囲に広がる海と山の絶景に、縄文人が敬愛した自然の豊かさを実感する。

垣ノ島遺跡

約6000年にわたって続いたとされる集落跡。土器や石器のほか、足形付土版や漆塗りの注口土器、装飾品などが出土した。園路や体験施設を整備し、今夏より一般公開予定。

再生を願い、亡くなった子どもの足形をつけたと考えられる「足形付土版/縄文前期」

函館市縄文文化交流センター

写真提供=函館市教育委員会

著保内野遺跡から見つかった中空土偶(国宝)をはじめ、函館市内の縄文遺跡から出土したさまざまな遺物を展示。道の駅「縄文ロマン 南かやべ」を併設。

所在地|北海道函館市臼尻町551-1
Tel|0138-25-2030
開館時間|9:00〜17:00(11〜3月は〜16:30)
休館日|月曜、毎月最終金曜、年末年始

「国宝 中空土偶/縄文後期」(写真提供=函館市教育委員会)

大船遺跡

100棟を超える竪穴建物跡が見つかっている。眼下に広がる太平洋、背景に迫る山、秋にはサケが遡上する川など、縄文時代をほうふつとさせる遺跡周辺の自然環境にも注目。

「土器/縄文中期」など、膨大な量の土器が出土。長期間、祭祀の拠点だったと考えられる

北黄金貝塚

大規模貝塚を伴う集落跡。史跡公園として保存されており、園内では勾玉づくりなど、さまざまな体験もできる。例年8月には「縄文まつり」が開催されている。

「スプーン状の祭祀道具/縄文前期」クジラの骨でつくられており、柄に繊細な飾りが施されている

高砂貝塚

「縄文のたたずまい」をコンセプトに整備された高砂貝塚公園には、貝塚や竪穴住居のくぼみ、墓のほか、縄文の森が復元されている。自然と生物を観察できるビオトープもある。

「土偶/縄文晩期」ほか、墓からは土器などの副葬品も見つかっている

入江貝塚

入江貝塚公園には竪穴住居が復元されているほか、約20m幅の貝塚を剥ぎ取った断面を展示する“貝塚トンネル”も。断面には、土器や石器、エゾシカやイルカの骨も見える。

「釣針/縄文前〜後期」骨角製の釣針。大きなものは、軸と針先を組み合わせて使う

岡村先生おススメ!立ち寄りスポット

縄文文化やアイヌ文化などを展示する郷土資料館に、八雲発祥の木彫り熊を展示する木彫り熊資料館が併設されている

八雲町郷土資料館・木彫り熊資料館
住所|北海道二海郡八雲町末広町154
Tel|0137-63-3131
開館時間|9:00〜16:30
休館日|月曜、祝日、年末年始

約11万年前にできたカルデラ湖。例年4月末〜10月末まで毎日「ロングラン花火大会」が開催される(写真提供:洞爺湖町)

洞爺湖
住所|北海道虻田郡洞爺湖町
問い合わせ|洞爺湖温泉観光協会
Tel|0142-75-2446

*各ガイダンス施設でもおすすめの立ち寄りスポットを教えてくれるので問い合わせてみよう。
 

祝!世界文化遺産登録
北海道・北東北の縄文遺跡群

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photo: JOMON ARCHIVES
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」

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