「スノーピークフィールドスイート」
長野白馬村の山岳リゾート【前編】
犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン
どんな小さな店でも、どんな辺鄙な場所でも、『ホンモノ』であれば、必ず人は引き寄せられる。今月も強烈な一店に出合いました!今回は、長野県・北安曇郡にあるレストラン「スノーピークフィールドスイート 白馬・北尾根高原」を、前後編記事でご紹介します。
犬養 裕美子(いぬかい・ゆみこ)
東京を中心に世界のレストラン事情を最前線で取材する。新しい店はもちろん、実力派シェフたちの世界での活躍もレポート。また、日本国内各地にアンテナを張り、料理や食文化を取材。農林水産省表彰制度「料理マスターズ」審査員
話題のグランピングを満喫する
標高1200mのイタリアンディナー
カタン、カタン……。心地よい揺れに身を任せてリフトはスムーズに上っていく。目指すは白馬八方尾根の中腹、北尾根高原。ユニークなレストランがあるというので訪ねてみたが、まず、リフトに乗るとは!最初は少し緊張したが、慣れてくると空中散歩は気分爽快。10分ほどで標高1200mの終点に無事到着。出迎えてくれたのは「スノーピークフィールドスイート白馬・北尾根高原」のスタッフ。ホテル……?にしては、それらしき建物が見当たらない、実はここ、宿泊はテントルームが室、モバイルハウス「住箱」スイートが1室。大人気のアウトドアメーカー「スノーピーク」プロデュースの施設なのだ。キャンプを通じてさまざまなライフスタイルを提案してきたスノーピークが2019年7月に完成させた最新のグランピング。〝グランピング〞とはグラマラス(優雅な)キャンピング(キャンプ)という造語。つまりリゾートホテルのような快適な宿泊施設でありながら、自然を存分に楽しんでもらいたいというコンセプトなのである。
アウトドアは気持ちがいいとわかっていても、自分でテントを張るのは難しい。本格的な装備も必要だし、車も必要になる。ところが「グランピング」なら手ぶらでキャンプができる。しかもここの特徴は、食事が実力派シェフによるコース料理が用意されていること。最近のアウトドアブームでグランピングは多数あるけれど、食事はほとんどがBBQ。素材は用意してくれるが、あとはゲストが自由につくるところがほとんど。それに対してフィールドスイートでは、地元の素材をシェフ自身が仕入れてコース料理に仕立ててくれる。さらに、最近評価の高い貴重な長野ワインとのペアリングも用意している(アルコールが苦手なら、ノンアルコールの飲み物も用意)。山の上でそこまでのレストランがあるとは日本の美食レベルも欧米に負けなくなったなあと実感させられた。
シーンと静まり返った風景の中で大きく深呼吸すると、おいしい空気が身体の隅々まで行き渡る。焚火を囲んでウェルカムドリンクで乾杯し、夕暮れのひとときを過ごす頃には、すっかりリラックス。待望のディナーはテラスハウス内のレストランでいただく。ちなみに冬季の宿泊は住箱スイート(隈研吾氏によるモバイルハウス)で1泊3食、滞在中の飲み物、長野駅からの送迎込み15万円~。気楽に、とは言えない金額だ。その分、ディナーツアーは気軽に楽しんでもらおうと、宿泊なしを万円に設定。すると昨年の体験者からリピーター続出で大人気。
スノーピークフィールドスイート
白馬・北尾根高原
住所|長野県北安曇郡白馬村北城4487-4八方尾根北尾根高原内
Tel|090-2524-4555
料金|3万円(税別)~(白馬村宿泊先とレストランの送迎含む)※宿泊の場合1泊3食付15万円(税別)~(ドリンク、アクティビティ込む)
実施期間|2020年12月下旬~2021年3月下旬
https://fieldsuite-hakuba.com
text:Yumiko Inukai,photo:Muneaki Maeda
Discover Japan 2020年12月 特集「うつわ作家50」