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「スノーピークフィールドスイート」
長野白馬村の山岳リゾート【後編】
犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン

2021.2.28
「スノーピークフィールドスイート」<br>長野白馬村の山岳リゾート【後編】<br><small>犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン</small>

どんな小さな店でも、どんな辺鄙な場所でも、『ホンモノ』であれば、必ず人は引き寄せられる。今月も強烈な一店に出合いました!今回は、長野県・北安曇郡にあるレストラン「スノーピークフィールドスイート 白馬・北尾根高原」を、前後編記事でご紹介します。

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鈴木伸悟(すずき・しんご)
1981年、福岡県生まれ。大阪「ポンテベッキオ」で修業をはじめ、イタリアで6年、トラットリアからリストランテの料理を学ぶ。帰国後、2017年に銀座「ブルガリイル・リストランテ」を経て、2019年より現職。信州の素材を織り込んだイタリアンが好評

グランピングディナーツアー「Après&Dining」
食前酒からコース&飲み物を楽しみ
焚き火バーで寛ぐ約4時間のディナーツアー

基本的には長野県産の旬の食材を使う。朝採れの野菜が午後には届くので鮮度はバツグン。「鮮度のいい野菜はそのままでも美味しいです」と鈴木伸悟シェフも驚くほど。日によってメニューは変更することもあるが、内容は宿泊客と変わらない。一皿ひと皿に細かい盛りつけや、サプライズを仕掛けたコースは最後まで気持ちよく楽しめる。

1200mの高原にいるとは思えないモダンなイタリアン。それぞれの料理に合わせて用意される飲み物のペアリングも、すべて長野県産。ワインが飲めない場合はノンアルコールも用意してくれる。1人3万円(税別)~(白馬村の宿泊先との送迎、リフト、料理とワイン、ドリンク込み)。

1,市田柿 生ハム オリーブオイル
ニョッコ・フリット 松田牛乳のリコッタチーズ 大町黒豚のサラミ

アミューズ2品とも「メゾン・デュ・ジャンボン・ド・ヒメキ」の生ハムとサラミを使用。市田柿の甘みと生ハムの優しい塩味は間違いない組み合わせ。ニョッコ・フリットは、大町市の松田牛乳からつくられるリコッタチーズを包んだニョッキを揚げたもの。ポワンと膨れた食感とフレッシュなリコッタの味も印象的。

2,冬野菜 ゴルゴンゾーラ バルサミコ酢

テーブルの上に花が咲いた!外は吹雪いているのに 雪山で出合った美味しいリース

前菜は長野県産の冬野菜をリースに仕立て、中央に注いだゴルゴンゾーラのソースと一緒に味わう。カラフルな花びらや野菜が細かく飾られている中にある、揚げた玄そばの食感を楽しむ。隠し味もそこかしこに。その日に使う素材によって味わいは変わり、厳密にいえば、ひと口ごとに味も変わる。昨年、最も評判が高かったひと皿。

3,信州サーモン 岩魚 瞬間薫製

テーブルに恭しく運ばれてきたガラスのうつわ。中は煙が充満していて料理は見えない。全員に皿が用意されたらスタッフがガラスのうつわを外す。するとフワッといい香りの煙が広がる。その煙が晴れた後、美しい料理が現れる。「ゴウヅ」の信州サーモン、イワナのタルタル(生の切り身を細かくたたく)の黄色いイクラはイワナの卵。

4,スパゲッティ アーリオ・オーリオ 野沢菜

アーリオ・オーリオはニンニクと唐がらしのシンプルなパスタ。ここに長野県ならではの素材「野沢菜」を取り入れた。イタリアの南、ナポリではフリアリエッリという野沢菜に似たアブラナ科の葉野菜をオイル漬けにして保存し、常備菜として肉の付け合わせやスープの具など何にでも気軽に使う。野沢菜もかつては各家庭の味。食文化は似たものが多い。

5,ラヴィオリ ペコリーノ・トスカーノ 信州産イノシシのラグー

小さめのラヴィオリに、イタリア最古のチーズといわれるペコリーノ(羊のチーズの総称)。ペコリーノ・ロマーノ、トスカーノなど生産地によって塩味加減は違うが、土地の料理を引き立てるのはやっぱり同じ地方のチーズ。下に敷かれた猪のラグーはトスカーナの郷土料理。チーズもトスカーナ産がピタっとくる。キクイモのロースト&フリットも添えて。

6,ギモーヴ

メインの肉料理の前に口休めのギモーヴ。ピンクジンジャー&グリーンジンジャーのショウガ味、酸味だけでなくプチプチの食感がアクセントのフィンガーライム(別名フルーツキャビア)などのユニークなハーブもすべて長野産。口溶けのよいギモーヴはゼラチンを使わずにシロップと砂糖を凍らせてつくる手間のかかる製法。

7,信州牛フィレ肉 塩と安曇野産ワサビ

メインの信州牛のフィレ肉は提供直前まで薪で焼き、最高のコンディションでテーブルへ。テーブルには熱々の石の皿で、二人分の塊で焼かれた肉が登場。これを銘々にカットしてくれる。あとは自分の好みで塩、ワサビで味わう。添えてあるのは、長野県伝統野菜「松本一本ねぎ」。肉と一緒に香ばしさをまとい、中身は蒸したようにつるりと甘い冬の味。

8,大町産紅玉のタルトタタン
松田牛乳のアイスクリーム バルサミコ酢

シェフの自信作、タルトタタンはひとつずつ焼きたてで登場する!

メインが終了したら、場所を変えて冷たい空気が心地よい焚き火バーでデザートを。冬のフルーツといえばリンゴ。酸味が強くしっかりした果肉の紅玉を使用。自家製のパイ生地にバターでこっくり炊いたリンゴを詰めたタルトはボリュームたっぷり。途中からバルサミコ酢やアイスクリームを加えて変化をつけて味わう。

ワインは長野県産だけでペアリング

4年前、朝日村にワインショップを構えたソムリエ・吉平翔氏が、料理と長野ワインのペアリングを監修。「地元でも手に入らないレアワインが多いので、ペアリングでぜひ味わってください」。吉平氏が注目するのはイタリア品種中心にワイン造りをしている「カンティーナ・リエゾー」(上高井郡高山村)。

シェフが信頼を寄せる生産者たち

しなやかで優しい味わいの生ハムは独自の風味
メゾン・デュ・ジャンボン・ド・ヒメキ

「日本にもこんな美味しい生ハムをつくる人がいるのかと驚きました」と鈴木シェフ。藤原伸彦さんは元フランス料理の料理人。標高1500mの生ハムづくりに適した場所を得て、長野県産の豚で生ハムをつくる。最大の特徴は発酵に醤油の麹菌を使っていること。塩味控えめで、上品に仕上がる。(小県郡長和町大門姫木)

雪解け水で育てられる魚は
適度な脂と締まったた身が特徴
ゴウヅ

「一年を通して美味しいので頼りになる」と鈴木シェフが信頼を寄せるのが、郷津実さんの信州サーモンとイワナ。信州サーモンはニジマスとブラウントラウトを交配させた信州独自の品種。ニジマスに比べて身質がきめ細かく、味わいも豊か。白馬山麓からの湧き水を源とする清流を引いて育てている。(白馬村森上)

スノーピークフィールドスイート
白馬・北尾根高原
住所|長野県北安曇郡白馬村北城4487-4八方尾根北尾根高原内
Tel|090-2524-4555
料金|3万円(税別)~(白馬村宿泊先とレストランの送迎含む)
※宿泊の場合1泊3食付15万円(税別)~(ドリンク、アクティビティ込む)
実施期間|2020年12月下旬~2021年3月下旬
https://fieldsuite-hakuba.com

text:Yumiko Inukai,photo:Muneaki Maeda
Discover Japan 2020年12月 特集「うつわ作家50」


 

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