FOOD

KUROMORI<クロモリ>
宮城県の自然派中華【前編】
犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン

2021.2.16
KUROMORI<クロモリ><br>宮城県の自然派中華【前編】<br><small>犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン</small>

どんな小さな店でも、どんな辺鄙な場所でも、『ホンモノ』であれば、必ず人は引き寄せられる。今月も強烈な一店に出合いました!今回は、宮城県仙台市にあるレストラン「KUROMORI(クロモリ)」を前後編記事でご紹介します。

犬養 裕美子(いぬかい・ゆみこ)
東京を中心に世界のレストラン事情を最前線で取材する。新しい店はもちろん、実力派シェフたちの世界での活躍もレポート。また、日本国内各地にアンテナを張り、料理や食文化を取材。農林水産省表彰制度「料理マスターズ」審査員

黒森 洋司(くろもり・ようじ)
1976年、神奈川県生まれ。高級店から大衆的な店まで首都圏で修業。東日本大震災をきっかけに、2011年に宮城県で餃子店をオープンさせ大盛況となるが、肩を痛め店を後輩に譲る。2013年10月より個人で活動を開始。2014年11月、「クロモリ」をオープン

宮城県は中華素材の宝庫
宝を守りたくて宮城へ移住

「気仙沼のフカヒレ、三陸のアワビやナマコ……。考えてみると、中華の高級素材ってほとんど宮城県産なんです。震災の影響でこの素材が捕れなくなったらどうなるのかという不安。そして生産者の方々の思いを考えると、何か自分にできることはないかと歯がゆい思いでいっぱいでした」

東日本大震災の後、毎日伝わってくる現地の甚大な被害報道。そのニュースを見ながら、料理人として、生産者、生産地のためにできることはないのか?黒森洋司シェフはそう考え悩んでいた。被災した友人が、黒森氏がプロデュースする東京の餃子店に遊びにきた。「宮城でもこんな料理を食べられたらいいのに」とつぶやいたそのひと言に黒森氏は背中を押された。「よし、仙台に行こう!」という決意の下2011年11月「伊逹餃子楼」をオープン。そんな経緯が話題にもなり、ご当地餃子をメインにした大衆中華料理店は大繁盛。レストランの利用者は増えたが、休みなく鍋を振り続けたことで肩を痛めてしまう。店を後輩に譲り、2013年10月から個人で活動をすることになった。「時間ができたので生産者の方をたずねてみようと考えました」

ここから黒森シェフの新たな一歩がはじまった。

宮城が誇る素材を活かした料理

青鮫尾びれの煮込み
角田ササニシキ/気仙沼

フカヒレは、一度干したものを戻した状態で仕入れるのが一般的だが、黒森シェフはフカヒレの硬さまで指定することが多い。キレイなかたちを保ちつつスープをたっぷり含んだ「フカヒレの煮込み」は、それだけでも美味しいが、やっぱりご飯が欲しくなる!そこで土鍋で炊いた角田産のササニシキが添えられる。1万5000円コースにもフカヒレは入るが、より稀少なフカヒレを味わいたいなら2万5000円コースで。

30頭吉品鮑の煮込み/南三陸

岩手県産吉品鮑はアワビのトップブランド。宮城県の「マルヤ五洋水産」が、このアワビを扱う。飴色のきれいなアワビを15日ほど水で戻し、24時間蒸してさらに土鍋で8時間煮込む。ここで黒森シェフは自家製のオイスターソースを使い、コクはあるが軽快な風味に仕上げる。「頭」は干アワビの大きさを示す単位で、約600gの中に何粒の干アワビが入るかを表す。(30頭=約600gに30粒の干アワビ)

宮城県の高級中華素材

フカヒレ
気仙沼で水揚げされる鮫は青サメ、ヨシキリサメ、ハンマーヘッドシャーク。その時期によって種類は違うが、通年水揚げ。ヒレを取った身は、すり身など加工品として有効利用
アワビ
三陸は江戸時代からアワビの名産地。一つひとつ糸を通してつるして乾燥させた吉品鮑は、旨みが凝縮してきれいな飴色が特徴。岩手県産だが加工は宮城県「マルヤ五洋水産」

自家製の熟成肉も!

「齋藤ファーム」の齋藤豚や、「ダイチ」の漢方牛など、塊で仕入れた肉は店で熟成させる。厨房の中でなく、思いも寄らないところに熟成庫がある!?

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KUROMORI(クロモリ)
住所|宮城県仙台市太白向山2-2-1
Tel|022-211-0306
営業時間|18:30または19:30~22:00
定休日|日曜、祝日 ※完全予約制の二部制

https://kuromori.jimdofree.com/

text:Yumiko Inukai,photo:Muneaki Maeda
Discover Japan 2018年11月号『ミュージアムに行こう!』


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