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冬の阿寒湖で非日常に触れる旅へ。【後編】

2021.3.6 PR
冬の阿寒湖で非日常に触れる旅へ。【後編】

根元を雪に覆われた森の木々、積層した雪の間から湯溜まりとなって湯気を上げる湯壺、見渡す限り結氷した湖面、雪の上に残る動物たちの可愛らしい足跡、凍えた身体を芯から温めてくれる温泉……。冬の阿寒湖は心をときめかせる驚くほど多くの豊かさが待っています。

3人のクリエイターが阿寒湖温泉に中期滞在し、阿寒湖の魅力を発信する本連載。最終回は冬の阿寒湖をご紹介。

≪前編を読む

非日常を味わえる
早朝の阿寒湖と流氷クルーズ

雄阿寒岳の真横から昇る朝陽。空気中を漂う氷の粒が反射して、虹色の日輪が浮かぶ

2月の阿寒湖では朝6時頃に陽が昇る。だが阿寒湖は四方を山に囲まれているから、山の間から日の出が見えるのは6時半過ぎ。その時間を目指して湖面を渡り、普段は船でしか行くことができない小島を目指す。

人の足跡もまばらな凍った湖の上を一列になって歩く。白銀の世界が見渡す限り広がる。いまさっき歩いてきた道を昇ってきたばかりの朝陽が照らす。どこか違う星の上を歩いているような錯覚さえ感じる。

全面結氷した冬の湖面には、湖底から湧き出る温泉により、ところどころに湯壺ができる。阿寒湖が噴火によって生まれたカルデラ湖であることがわかる

安全面からだけでなく、非日常的な時間を安心して体験するためにも、ガイドツアーに参加することをおすすめする。凍った湖面はフラットに見えて、湖底から温泉が湧き出る阿寒湖では湯壺といわれる現象が随所に見られ、氷が薄い箇所が存在したり、やわらかく降り積もった雪に不用意に踏み込むと足を取られて身動きがとれなくなることがあるからだ。加えて、一人で歩いているだけでは見えてこない風景にも気づかせてもらえる。

阿寒湖の支流である阿寒川の岸辺にも雪が降り積もっていた

今回は阿寒湖滞在中に少し足を伸ばして、阿寒湖温泉と同じ道東エリアに区分される網走まで日帰りで出掛けた。北海道の冬ならではの「流氷クルーズ」を楽しむのが目的だ。毎日数本運行している人気の網走流氷観光砕氷船・おーろらは、この時期限定でオホーツク海への流氷航路運行となっている。網走湾沖の海上に漂う流氷を砕きながら進む豪快な海上ツアーを約1時間の行程で楽しめることで大人気だ。

オホーツク海に浮かぶ流氷を割りながら豪快に進むおーろら。大きく揺れることもなく快適にクルーズを楽しむことができる

おーろらは同系の大きさの船の倍の馬力をもつ。浮氷地帯に入ると進路に広がる流氷を、バリバリと音を響かせながら進む。船先が浮氷にぶつかるたびに、白にうっすらと青が混じった氷が、船の航行に合わせてせり上がっていくさまに興奮した。

流氷は風向きにより接岸したり沖に流されたりする
凍えるような真っ白い景色が広がる海岸では、沖合に浮かぶ流氷群と接岸した流氷の一部をみることができた

これらの流氷をみるとき、それがたどってきた道を想像するのも楽しい。シベリア沿岸沖で生まれた流氷は海の恵みとなるたくさんの栄養分を含みながら数百kmあまり南下し、ここ北海道のオホーツク湾沖にたどり着く。

1月には紋別、ここ網走沖に、そして斜里、知床の沿岸を東征、そして太平洋に流れ込むころには小さな氷の塊になり海に溶けてゆくという。

船内ではお約束の流氷観光砕氷船おーろら公式の流氷色をした「オホーツク スカイサイダー」も忘れずに飲みたい。

斜里町の大栄から峰浜まで約18kmにわたり真っ直ぐな道が続く、通称「天に続く道」。その終着点となる丘に佇むくぼさん

秋から初冬、真冬と3つの季節に訪れた阿寒湖には都会では決して体験することができない非日常な瞬間に溢れていた。春夏秋冬四季折々の絶景に出合わせてくれる阿寒湖だから、次回は緑豊かな初夏に訪れてみたいと密かに心に誓い阿寒湖をあとにした。

旅を振り返って

写真家/横田裕市
阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」にてようやく鑑賞することができたアイヌの歌に踊り子の舞いと映像美が加わった「ロストカムイ」の舞台にはその完成度に思わず息を呑みました。「ウタサ祭り」の音楽家パフォーマンスも想像を超えた歌と現代音楽の融合に自然と音楽にあわせ身体が揺れていました。阿寒湖氷上「カムイへの祈り」カムイコオリパク冬華美では、久しくコロナ禍で遠い過去になっていた花火に思いを馳せ、思わず涙が零れました。
冬の自然散策は湖面にまで広がり、まだ見ぬ阿寒湖の自然の魅力に気付くことができました。網走にて乗船したオホーツク海の砕氷船では、広大な流氷群とそこに住むオオワシやアザラシなど普段はお目にかかれない大自然を満喫できました。

イラストレーター/くぼあやこ
10月、2月と2回の阿寒湖旅行をさせていただきました。
2月の滞在はこれぞ北海道の冬といった様相で、まず阿寒湖が凍ることに驚き、湖が駐車場になっていることがカルチャーショックでした。スケートやワカサギ釣り、氷の滑り台、四駆バギーやバナナボート、さまざまな遊びが登場していて、子どもを連れて遊びに来るのは湖が凍ってからがいい、と心のメモに刻みました。
コロナ禍となり、2回とも旅が封じられてしまった期間でした。しかし、改めて旅って生活に必要なんだなと実感した期間でもありました。これは自分にとって意外なことで、私は旅は好きだけど、日常が一番大切。それは変わらないけれど、知らない土地へ行き、その土地のことを知るという体験は人生のエッセンスとして必要なんだと思い知りました。

ライター/加藤孝司
12月に訪れた際に2月はマイナス20度の世界とお聞きしていたので、防寒具を購入して備えた今回の旅。夜にバスセンターに降り立つときは身構えましたが、全日程思っていたほど寒くなく快適に過ごすことができました。阿寒ネイチャーセンター安井さんのガイドで結氷した阿寒湖上の早朝散策は最高の体験でした。わかさぎ釣り、ウタサ祭りと今回ももりだくさんでした(ウタサ祭りは、次回はオンラインでなく、ぜひ生で参加したいです)。
また車で移動できる場所にさまざまな魅力的なスポットがあり、道東エリアをめぐる旅の拠点としても阿寒湖がすぐれていることがわかりました。旅の疲れを癒やす温泉の豊かさも最高に魅力的です!
あらためて今回はじめて訪れた阿寒湖温泉には、アイヌの人々が生活の中で育んできた本物の工芸と豊かな自然があふれていました。次は夏の阿寒湖の森のキノコめぐりをしてみたいです。

≪前編を読む

text: Takashi Kato photo: Yuichi Yokota


≫アイヌの聖地・阿寒湖で、秋の大自然を満喫する。

≫アイヌの文化と技を再発見する阿寒湖の旅

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