美しい自然と情緒豊かな町並みで訪れる人々を魅了する岐阜・飛騨高山。木工の産地としても知られ、つくり手たちは「飛騨の匠」といわれています。2021年2月5日(金)までの期間(予定)、渋谷PARCOのDiscover Japan Lab.では、つくり手たちによる作品を展示販売。木のぬくもりと匠の技の粋が詰まった作品を、実際に手に取って体感できる貴重な機会です。店頭で紹介される作品の中から、後編では、機能的で美しいティッシュケース、伝統的な仏壇工芸職人が作るスノーボード、木製ヘッドホンなどを紹介します。
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仏壇ほりお
創業100年、伝統的な仏壇をつくり続けてきた仏壇工芸ほりお。仏壇の需要が激減する中、飛騨春慶塗の高級仏壇から5万円以内で買えるミニ仏壇、現代にフィットするモダン仏壇など幅広く手掛ける。3代目・堀尾宗弘氏は世界で活躍したプロスノーボーダー。伝統にとらわれない仕事が各方面から注目されている、高山の次世代のつくり手だ。
仏壇という枠にとらわれることなく仏壇職人の技の継承の一環として製作したスケートボード。木地の木目の自然な風合いを生かす飛騨春慶塗で仕上げた。生活の道具に用いられてきた飛騨春慶塗だからこそ、飾るのではなく使って楽しみたい。 飛騨春慶のスケートボード/5万5000円(本体のみ。タイヤ等の付属なし)、7 万7000 円(コンプリート版) 現代の住空間にもフィットするインテリア性をもったミニ仏壇は、本格的な飛騨春慶塗で仕上げている。飛騨の土を使った左官による後ろ壁は、左官技能士として高名な挾土秀平氏とのコラボによるもので、まさにプレミアムな仏壇だ。 勾玉プレミアム/35万2000円 remix
2004年、プロダクトデザインと木工を学んだ渡部継太氏により設立された、木工製品を手掛けるブランド。機能的で美しいデザインのダイニングチェアやダイニングテーブルなどのオリジナル家具や特注家具、木肌の美しさを生かした一輪挿しなどの木製小物を手掛ける。使う人の愛着に寄り添った職人気質をもった丁寧な仕事に定評がある。
高山の木工の技が光る無垢の天然木でつくったティッシュケース。取り出し口から観音開きしマグネットで止める蓋のアイデアは秀逸。内側はレザー仕様で、ティッシュの取替もスムーズに行える。木の質感を存分に楽しめる優れた工芸品でありながら、求めやすい価格帯も魅力的な逸品だ。 bellows ティッシュケース/4950円 日進木工
飛騨の匠の伝統を受け継ぐ、全国に名を馳せる老舗家具メーカー。確かな家具づくりの技術はもちろん、高山に伝わる伝統技術を保護する活動や全国の伝統的建築物の修復・復元工事も担当する。匠の技を受け継ぐ優れた職人を多く抱え、木工職人を志すつくり手たちがいまも憧れとともにその門をたたく。
飛騨の匠の技による、麻の葉、胡麻殻、角麻といった組子の表情が美しい工藝的なランプ。小さな木片を釘を使わず組み上げる繊細で美しい仕上げ、モダンな佇まいで現代の空間にも溶け込むデザインは秀逸。無塗装のヒノキとブラックウォール材を使い、上品な光で空間を照らしてくれる。 KUMIKO LAMP 麻の葉、胡麻殻、角麻/7万7000円 ※LEDランプ付 木と暮らしの制作所
「素材がもつ魅力を最大限引き出す」ことをコンセプトに、高山市国府町で家具づくりを行う家具工房。良質な材はもちろん、通常家具づくりに用いられないような割れた材や切れ端などの材であっても、素材に寄り添いのそのよいところを見出し、デザインや技で愛着のある道具を創出する。新たな視点で価値を付与されたプロダクトに注目したい。
丸太を使用し生木のまま旋盤で加工するグリーンウッドターニングでつくったスツール。プリミティブな素材にわずかに手を加えることでひとつとして同じ表情のない味わいのあるプロダクトに。素材とデザインを熟知しているからこそ生み出しえるかたちだ。 HOTA stool/420:4万4000円、350:4万1800円 ※掲載商品は420のナラ材、350はコンテツ材 思わず触れたくなるような木の自然の表情が美しいハイトレー。生木の丸太の端材を使用し、あえて白太と赤身が見えるようにすることで、木本来がもつ表情の豊かさが際立っている。リビングでソファの隣に、玄関に置いて鍵置きに使うのにちょうどよいバランス。 HOTA Hightray/S 1万3200円、M 1万6500円、L 1万9800円 ノクターレ・TS産業
OEMを中心に木製パーツや木製小物、オーダー家具などを手掛ける家具工房として2009年に設立したノクターレ。従来の枠にとらわれることのない発想でオリジナル企画の木製家具などを自社ブランドとして手掛ける。大量生産ではなく、ディテールにこだわったつくり方や素材選びで、木の表情の豊かさを伝えるものづくりを行う。
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杉材を藍染や春慶塗などで染めたしっとりとした佇まいが美しい花器。やわらかく家具には不向きといわれる針葉樹の杉だが、木目の美しい素材を厳選することで表情豊かな花器に仕上げている。 シダーベース/S 7480円、M 8800円 ※飛騨春慶のみ別価格(S 1万4300円)
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楽器にも使われるカエデを主に、耳に当たる部分には肌ざわりの優しい檜を用いた木製ヘッドホン。イヤーカップに既成のイヤホンをセットして使用する。木の反響を活用することで上質なサウンドを楽しめる。木の質感を生かして仕上げた細部の精巧なつくりに驚く。 ヒダノオト/1万6500円
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飛騨高山の森で育ったスギ材を用いたスツール「ceppo(チェッポ)」。ceppoとはイタリア語で「切り株」の意。木目の表情や、節、割れなど、木材がもつ自然の風合いを生かした、温かみのあるデザインが魅力。空洞部分には雑誌や書籍も収納できる。 ceppo/張り座 4万9500円
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マキノウッドワークス
2001年木工職人である牧野泰之氏により設立。高度な家具づくりの技術を背景に、木材を活用したものづくりを探求する。近年では家具のマテリアルとしてだけでなく、木が放出する成分に着目。その成分の一部に精神リラックス、睡眠導入などの効能があることから、よりすぐりの材を活用しながら人にとって心地のよい環境づくりを模索し提案している。
飛騨の森に自生するプリンセスパインを台カンナで削りだした香袋。ヒーリング効果の高い自然由来の香りで、小袋のため持ち運びもしやすい。枕元に置けば快眠をサポートしてくれる。 香りプリンセスパイン 眠り姫/3850円
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睡眠誘導効果、肌質改善などに効果のある酢酸ボルニルを放散することが分かっている飛騨産のプリンセスパインでつくった、彫刻的な佇まいをもったオブジェ。木の表面を導管を潰さずに削ることのできる台カンナ、ヤリガンナを用いて、見た目も美しく仕上げている。 香りプリンセスパイン 姫ブロック/1万2100円~3万3000円
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飛騨一位一刀彫
国の伝統的工芸品に指定され、多くの名匠を生み出してきた江戸時代から続く飛騨高山伝統の「一位一刀彫」。つくり手の鷲塚沐仁氏は修行を積み一代で一位一刀彫を習得した。硬く腰の強いイチイの木目を見極めながら、繊細にときに大胆にその魅力を最大限生かした細工を施すその技は、まさに飛騨の名匠の技を継承している。
樹齢300~500年のイチイの木を材に、飛騨伝統の技「一位一刀彫」でつくった干支の置物。イチイの木は成長が遅く年輪が密で美しい木目、年月とともに深い色になる特徴をもつ。身近に伝統の技を楽しみたい。 一位一刀彫 十二支/丑 1体4510円、十二支 12体 5万4120円
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材質の堅いイチイの木を用いてつくった、飛騨伝統の一位一刀彫、魂の般若面。この般若面は強面だが、魔除けの意味と空間のシンボルとなるような力強さをもっている。 般若面/22万円
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アーツクラフトジャパン
2011年、アートとクラフトを融合した日本らしいものづくりをコンセプトに渡邉主税氏により設立。岐阜県産の山桜など国産広葉樹を主に使用し、飛騨の木工伝統の椅子やテーブルなどの脚もの、サイドボードやチェスト、木工小物などを意欲的に手掛ける。日本の森の豊かさと多様性を木工の技と卓越したデザイン力によって伝えている家具工房だ。
木のサイズに合わせて幅を決め、有機的で自然なかたちが特徴。材には国産広葉樹を中心にさまざまな樹種を用い、仕上げには天然のエゴマ油を使用。一点として同じものがなく、そのかたちには日本の森の多様性を伝えるという思いも込められている。 カッティングボード/2640円~
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見かけは板チョコレートのシルエットになっているカトラリー置き。材には無垢仕上げのブラックウォールナット、桜、朴などの異なる樹種を用い、異なる木の風合いが楽しい。使い込むほどに味わいが増し、木の温かみが日々の食卓をさらに豊かなものにしてくれる。 カトラリーレストパンチョコリMIX/1980円(5個入り)
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自宅でカフェ気分が味わえることで近頃人気のコーヒードリッパースタンドも、飛騨産の上質な山桜材で仕上げることでナチュラルな風合いが楽しめる暮らしの道具に。一度に二杯淹れられる幅広タイプで、使い勝手に優れており、インテリアのアクセントにもなる。 コーヒードリップスタンドハレタイム/7480円
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飛騨高山×Discover Japan 特別展
飛騨高山ものづくり実践塾を通して磨き上げされた作品の数々を、1月6日(水)から2月5日(金)までの期間、展示販売します。木の温もりと、匠の技の粋が詰まった作品を、手に取って体感してください!
場所|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00 ※緊急事態宣言期間中は~20:00
定休日|不定休
※本記事の価格表示はすべて税込みです
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text: Takashi Kato photo: Kazuya Hayashi
2021年2月号「最先端のホテルへ」
≫Discover Japan、オンラインショップはじめました。「全国の有名ギャラリーが注目するうつわ作家」
≫まるで○○? なグラス。Fenom×Sghr スガハラがコラボした「ミズモレグラス」