長野・茅野市《東急リゾートタウン蓼科》
日本固有種「カラマツ」を
生かした循環づくりとは?②
長野県茅野市にある体感型サステイナブルリゾート「東急リゾートタウン蓼科」。蓼科の森を守るため、カラマツを活用した循環サイクルの実現を目指している。地域と寄り添いながら魅力を高めるリゾートの在り方をひも解いた。
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「蓼科カラマツ」の取り組みとは?

東急リゾートタウン蓼科に広がる豊かな森の大半を占めている木はカラマツ。カラマツは日本の固有種で、蓼科は全国的に見てもカラマツが豊富に分布する中心地なのだ。東急不動産は蓼科に長年根ざしてきた企業として、地域を代表するカラマツの価値を高めるために「蓼科カラマツ」を始動。地域材を活用した、循環型サイクルの実現を目指す地域共創プロジェクトだ。

きっかけは地域の森林課題だった。蓼科では高度経済成長期に多くの木が植えられたが、約50年の時を経て森が過密状態となり、立ち枯れによる倒木など災害リスクが高まった。しかも森の管理には莫大なコストがかかる。そこでいままで活用されていなかった間伐材に着目。カラマツはしなやかで水に強く、色も美しいというポテンシャルを秘めていた。森の恵みであるカラマツを伐採し、加工し、商品として消費者の暮らしの中へ届けることで、森を育む力に還元し、地域のよりよい未来につなげることを目指している。
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森を健やかに保ち
環境や暮らしの豊かさにつなげる
①蓼科の森の管理、間伐
間伐は森林の成長に応じて立ち木の一部を伐採し、木の密集を防ぐ森林保全手法。地表に光が届き、下草が根づいて地盤が安定して災害対策につながる。生き物が集まり生態系も豊かになる。

②加工
間伐した木材はリゾートタウン内にある土場で保管し乾燥させる。その後、地元の製材所に運んで加工。ねじれて加工しにくい木や枝は細かく砕き、ウッドチップにして活用する。

③家具やプロダクトに
カラマツの枝から抽出した天然精油を配合したアロマオイルなど、オリジナルの商品を展開。「蓼科カラマツ」の価値を発信する拠点「TENOHA蓼科」の家具や内装に間伐材を使用している。

④ウッドチップを燃料に
蓼科東急ゴルフコースに「森のバイオマスボイラー」を設置。ウッドチップを燃料として使い、エネルギーは大浴場の給湯に活用。さらに排煙中のCO2を吸収し固体化する装置でゴルフティーに。
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プロジェクトを推進する上で大切にするフィロソフィを「蓼科カラマツ憲章」として制定。カラマツの間伐材は余すことなく活用することを大切にしている。

太い幹は建物の外構や内装の建材、椅子やテーブルなどの家具に利用。枝は蒸留して精油を抽出し、アロマキャンドルやアロマオイルといったフレグランス、葉はお茶やビールなどの食品として商品化している。プロダクト制作をはじめ、プロジェクトの推進は「森のパートナーズ」と呼ばれる地域企業や仲間と連携して行っている。

カラマツを活用したアイテムの中でも地域連携を象徴しているのが、カラマツのサシェだろう。下諏訪町にある縫製工場から出る生地の端切れを使用して、諏訪市の社会福祉事業所のメンバーがカラマツのウッドチップを詰めて一つひとつ手づくり。地域貢献にもつながる取り組みだ。
また、間伐材はリゾートタウン内でエネルギーとして活用。ゴルフ場に設置したバイオマスボイラーの燃料にカラマツのウッドチップを活用し、大浴場の給湯に使用。エネルギーの地産地消を実現している。

さらにボイラーの燃焼中に排出されるCO2を吸収して固体化する装置を導入。自然に還る循環型素材「metacol™(メタコル)」としてリサイクルし、ゴルフティーやタンブラーのボトルスリーブなどのオリジナル商品を開発。CO2排出量ゼロのカーボンニュートラルを超えた、CO2排出量マイナスとなる「カーボンマイナス」を実現させた。「蓼科カラマツ」の挑戦ははじまったばかりだが、カラマツを生かした森の循環は「脱炭素社会」、「生物多様性」、「循環型社会」という環境課題解決にもつながる可能性を秘めている。
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text: Rie Ochi photo: Maiko Fukui
2026年9月号「木と生きる2026」


































