浅井・朝倉との戦いで、
秀吉は城持ち大名へ
(金ヶ崎城/小谷城/長浜城)
|豊臣兄弟ゆかりの城
これまで秀吉が主役になることはあったが、2026年はその弟・秀長が脚光を浴び、大河ドラマで主役を務めている。そこで、歴史著述家である上永哲矢さん監修のもと、下層身分から天下人へと上り詰めた豊臣兄弟たちの活躍を追いながら、ゆかりの「城」を解説。今回は、浅井・朝倉との戦いと関わりが深いお城を3つご紹介!
上永哲矢(うえなが てつや)
歴史著述家/紀行作家。各種雑誌やウェブサイトに歴史コラムを寄稿。著書に『戦国武将を癒やした温泉』(イカロス出版/山と溪谷社)、『三国志 その終わりと始まり』(三栄書房)など。
福井《金ヶ崎城》
1570年 秀吉が殿として主君を守り切った

織田信長は、将軍による上洛命令に従わない越前(現在の福井県)の朝倉義景を攻めた。幸先よく朝倉軍の前線基地・手筒山城、金ヶ崎城を攻め落としたとき、「浅井長政どの、裏切り!」の報告が入る。前後に敵を抱えた信長は急きょ、撤退を決める。ただ、戦いは進むより退くほうが難しい。このとき秀吉は志願して「殿」の大役を務めた。
このとき一緒に殿になったのが明智光秀と池田勝正。徳川家康も一緒だったという説もある。秀吉らは多くの犠牲を出すが、信長は朽木峠を越え無事、京へ入った。
この秀吉の活躍でも名高い金ヶ崎城跡は、敦賀湾に突き出した海抜86mの小高い丘(金ヶ崎山)にあり、現在も本丸跡、木戸跡、曲輪などが残る。山麓には明治時代に創建された金崎宮という神社があり、難関突破のお守りなどが販売されている。
金ヶ崎城跡
住所|福井県敦賀市金ケ崎町1
Tel|0770-22-0938
開城時間|24時間
休城日|なし
料金|無料
滋賀《小谷城》
1573年 裏切った浅井長政を討伐

写真提供=小谷城戦国歴史資料館
秀吉らの働きで、金ヶ崎城での危機を脱した信長。その後も浅井・朝倉との戦いは続いた。この頃になると、京にいる足利義昭(室町幕府の15代将軍)や、甲斐の武田信玄らが、手を組んで信長を討つための包囲網をつくっていた。

信長はまたも窮地に追い込まれたが、信玄の死などで戦局が変わり、反撃に転じた。1573(天正元)年8月、信長は越前に攻め入って朝倉氏を討ち滅ぼすと、9月には浅井長政の居城・小谷城を包囲した。追い詰められた長政は妻・市(信長の妹)と、その3人の娘たち(茶々・初・江)の助命を願い、城外へ出した。秀吉が彼女たちを預かり、信長の元へ送ったという。城内に残った長政主従は自害し小谷城は落城。戦後、城は秀吉に与えられた。

金ヶ崎の戦い以来4年にわたって信長の侵攻に耐えた小谷城。標高500m近い小谷山に築かれた堅固な山城で、現在はもちろん建物は残っていないが、土塁・曲輪、石垣などの遺構が残存している。 なお救出された市は柴田勝家に嫁いだ。後年のことだが茶々(淀殿)は秀吉の側室となる。
小谷城戦国歴史資料館
住所|滋賀県長浜市小谷郡上町139
Tel|0749-78-2320
開城時間|9:00~17:00(最終入館16:30)
休城日|火曜(祝日の場合は翌日休)、12月28日~1月4日 ※臨時休館あり
料金|350円
www.eonet.ne.jp/~odanijou-s
滋賀《長浜城》
1574年 琵琶湖畔に築かれた出世城

浅井家が滅亡したことによって、その旧領地であった三郡(坂田郡・浅井郡・伊香郡。琵琶湖の北東部)の一部が、秀吉に与えられることになった。一連の浅井氏攻略で相次ぐ手柄を立てていた秀吉は、晴れて城持ち大名となったのだ。
当初、小谷城を与えられたが、山城は領国経営に向いていないなどの理由から、新たな城を今浜という地に築いた。そこは琵琶湖の東岸の湖港。北国街道が南北に走り、越前や美濃に通じるほか、湖上を船で行き来できるなど北の水陸交通の要衝と見られていた。秀吉はこの地を今浜から「長浜」(信長の一字ともいわれる)と改称し、また同時期に名字も新たに「羽柴」と名乗った。
そして、ようやくといったかたちで弟・秀長(小一郎)の動向もこの時期から明らかになってくる。秀吉が長浜城主となった翌年の1575(天正3)年11月11日付の秀長の書状に「羽小一郎」と署名があるが(「羽」は「羽柴」の略)、兄と同じく羽柴の名字を使いはじめたこともわかる。
長浜城歴史博物館
住所|滋賀県長浜市公園町10-10
Tel|0749-63-4611
開城時間|9:00~17:00(最終入館16:30)
休城日|月曜(祝日の場合は翌平日)、12月27日~1月2日 ※臨時休館あり
料金|500円 ※展覧会により特別料金あり
https://nagahama-rekihaku.jp
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text: Tetsuya Uenaga
2026年4月号「地域の“旬”感へ」































