クラフトの聖地・高岡で広がる体験型の産業観光
あの製品はどうやってつくられる? ものづくりのまち、高岡では工場が一般開放される機会が増加中。ものづくりの現場を体感するクラフトツーリズムで高岡の魅力を再発見!
400年以上続く伝統産業のまち、高岡。この地のものづくりをひと目見たいと、いま、工場見学に訪れる人が後を絶たない。今回訪れたのは、高岡市福岡町の福岡金属工業団地にある金属メーカー「フジタ」。アルミ鋳鍛造金型の設計・製作や削出加工を得意とするモノづくりエンジニア集団である。
高岡といえば銅器や漆器が有名だが、実は建材を中心にエクステリア製品や家庭用調理品、機械車両部品などに用いられるアルミの製造・加工は、この都市の中核的な産業だ。伝統産業である銅・鉄器の鋳物技術をもとに、昭和初期に鍋・釜などの日用品を製造し、出荷したのがはじまりとされ、戦後の経済復興と日本経済の成長から需要が拡大し、急成長を遂げた。
そんなアルミ業界の一端を担う「フジタ」が世界初のメタルアートミュージアムを立ち上げたのは昨年11月。「町工場って外観は雑然としているし、危険だったりして普通の人が来るような場所ではないけれど、そういうところにきれいなミュージアムがあったら人は驚きますよね。その驚きに私自身もワクワクしたくて」と、社長の梶川貴子さん。
アパレル業界を経験した後に、リーマンショックで日本中の製造業の売り上げが落ちていた2010年に代表に就任。「自分の資産を考えたとき、それは現場で働く社員や、金属加工の技術でした。そこに好きなものを掛け合わせていって、ミュージアムをつくろうと、クラウドファンディングを立ち上げました」。
住所:富山県高岡市福岡町荒屋敷525-9
Tel:0766-64-0501
営業時間:10:00~17:00※最終受付~16:30
休館日:木~日曜
入場料:1000円、中学生以下無料
www.fujita-k.co.jp/art
※事前予約制
こうして完成した「Factory ArtMuseum TOYAMA」。オープンから現在までの来場者数は800人を超えた。クリエイターやデサイナーが訪れ、互いがもつものをやりとりしながら、新製品や新サービスにつなげる場として工場の一部も活用されるようになった。
高岡クラフトツーリズムの新しい側面から、ますます目が離せない。
文=上野賀永子 写真=堀 哲平
2017年11月号 特集「この秋、船旅?列車旅?」
「能作(のうさく)」の進化が止まらない!
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