「KOBO」の自在に使えるガラスのうつわ
高橋みどりの食卓の匂い
スタイリスト・高橋みどりさんがうつわを通して感じる「食」のこと。五感を敏感に、どんな小さな美味しさ、楽しさも逃さない毎日の食卓を、その空気感とともに伝える《食卓の匂い》。今回はさまざまなシーンで自由に使える「KOBO」シリーズのガラスうつわを紹介します。
高橋みどり
スタイリスト。1957年、群馬県生まれ、東京育ち。女子美術大学短期大学部で陶芸を学ぶ。その後テキスタイルを学び、大橋歩事務所、ケータリング活動を経てフリーに。数多くの料理本に携わる。新刊の『おいしい時間』(アノニマ・スタジオ)が発売中
ピーター・アイビーと制作した「KOBO」シリーズのガラス。ボルトやグラス、ボウルなど8アイテムが揃います。
とても薄くてシャープであり、スタイリッシュなガラスで印象的なピーターが生み出す日常使いのガラスとは……。まずは気楽に使える厚さからはじまり、あきることのないデザインや色、工夫次第で多用に使えるものをと考えました。
あれから6年、KOBOシリーズは元気に一人歩きをはじめています。このプロダクトのもう一つのもうひとつの目的でもあった、ピーター自身の技術をアシスタントに伝え育てるという目的も徐々に花開き、新しくできつつある富山県の工房では、ピーターを中心にスタッフたちが代わるがわる製作している様子にエネルギーを感じます。
工房内にある水場では、昼ごはんを持ち回りでつくるこの工房らしく、KOBOガラスを日常的に使うさまが自然で気持ちのいい風景です。
かたや私の家でのKOBOガラスの働きぶりはというと、ふた付きのうつわ(今回取り上げた「kaku」S・M・L)は、考えていた以上に大活躍。来客の多い我が家の食卓では、まずはの乾杯に用意しておくオリーブやピクルス、サラダをセットをしておくのにもピッタリ。つくり置いたものにビニールラップをかぶせる図は格好悪いからと考えたクルミの木のふたは、そんなストレスから解放されました。
さらにコンテナのごとく積み重ねもでき、ガラス越しの食材の色を考えれば、食卓に美しい色を添えることとになります。そのさまに温かい雰囲気を感じるのは、宙吹きし、型入れしての成形で生まれるガラス一つひとつのニュアンスの違いからでしょうか。実はつくった後に、木のふたを下にし、ガラスのうつわをのせてチーズホルダーにも使えると気づいたのはピーター。偶然から生まれた、素敵なアイデアでした。
さらに夏の昼間には、お盆の上のガラス鉢とし、冷たい麺を盛れば涼やかな一品の出来上がり。フルーツ入りのゼリーをつくれば、目にも涼しいデザートに。朝にはバナナにシリアル、牛乳をかけて食べるモーニングボウルとなる。
木のふたはそれだけでお皿として、コースターとしても使います。こんな風に自由自在に使うことがKOBOの目的であり、魅力でもあります。
今回KOBOシリーズで紹介できなかったほかのアイテム「glass wide」LLは普段はふた付きで米びつとして使っていますが、ときに草花などの花瓶、投げ入れとしてもよし。「bottle」に水を入れると、美味しい水に早変わり。ロゼワインを入れたら冷やして食卓へどうぞ。「glass tall」はサイズにより、小さければショットグラスに、大きければビールやハイボールもよく似合う。
「dish」Lには、サラダはもちろん、チーズや生ハムを盛るのも美しい。「karakuchi」はドレッシングやソースとして、サイズLは冷酒を入れる片口として使うのもいい感じ。[dessert」はカットフルーツやみつ豆、かき氷にも重宝します。工夫次第でこんな風に、KOBOファミリーがますます大活躍の季節到来です。
text&styling : Midori Takahashi photo : Atsushi Kondo
2019年7月号 特集「うまいビールはどこにある?」