都市緑化を目指す、
“まちづくり”最新事例集!④
|「民間企業の保有地を一般開放」

日本のまちをみどり豊かな空間にするため、各地でさまざまな取り組みが進行中。人に、環境にやさしいまちづくりは、人と自然とが共存する持続可能な社会へとつながっていく。
今回、民間企業の保有地を一般開放する「MUFG PARK」と「SETAGAYA Qs-GARDEN」を事例にご紹介。
《民間企業の保有地を一般開放》
地域住民が自由に集えるコミュニティに
MUFG PARK/東京都西東京市

「三菱UFJフィナンシャル・グループ」が保有する「MUFG PARK」は、同行の研修所を備える「千代田銀行武蔵野運動場」として1952年に開場された運動施設。時代に応じて場内の施設構成は変化してきたものの、開場当初から貴重なみどりを守り育ててきた。人が集まる街中にもかかわらず、半世紀以上も前の武蔵野地域の植生がいまもうかがえる雑木林が、その長い歳月を物語っている。
現在は、心地よい場を利用者とともに育てていく「プレイスメイキング」も推進。みどりを借景としたさまざまな活動から、新たな地域の交流を図っていく。

100×64mのピッチサイズのグラウンドには、丁寧な管理が必要となる天然芝を使用。本格的なサッカーの試合が楽しめるほか、心地よいみどりの周囲にはランニングコースも完備
住所|東京都西東京市柳沢4-4-40
Tel|042-452-3125
営業時間|8:00~18:00(7~8月は~20:00)、テニスコート・グラウンド9:00~17:00(7~8月は~19:00)
定休日|なし(まちライブラリーは月・火曜)
施設|グラウンド、テニスコート、BBQ施設、まちライブラリー、パークオフィス
www.mufgpark.mufg.jp
福利厚生施設から地域のウェルビーイングを高める
SETAGAYA Qs-GARDEN/東京都世田谷区

©エスエス
「第一生命保険」の福利厚生グラウンドとして1954年に開園した約9haもの敷地を、既存のみどりを生かしたひとつのまちへと転換。都心において30m級の木々が1万本以上も生い茂る貴重な場所とあり、配棟や道路は樹木を残す方向で計画した。
まちの中には“森を守り楽しむ仕掛け”として、あえて地域住民によるメインテナンスが必要な木製フェンスや、森の中を駆け抜けるランニングコースなども設置。地域とのつながりをカギに、半世紀以上にわたり維持されてきた森を次世代へとつなぐ。
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“多世代がバランスよく暮らすまち”を目指し、ファミリー向け分譲マンション、学生マンション、サービス付き高齢者住宅を誘致。既存の木々が少ない場所に敷地を設け、建物の高さも12mに抑えた
©オウカス世田谷仙川

福利厚生施設だったテニスコートと野球場を、区⺠も利用できる一流施設へとリニューアル。野球場は人工芝の多目的施設に、テニスコートは全仏オープンの会場と同じ仕様へと生まれ変わった
©エスエス
住所|東京都世田谷区給田1-1-1ほか
施設|芝生広場、コミュニティ拠点、レジデンス、多目的スポーツ施設(多目的野球場、陸上トラック、テニスコート)、公園など
問|世田谷キューズガーデン タウンマネジメント運営事務局
www.setagaya-qgtm.info
text: Natsu Arai
2025年3月号「ニッポンのまちづくり最前線」