奄美大島《伝泊》とは?
伝泊のまちづくり|前編
2021年に世界自然遺産に登録された鹿児島県の奄美大島。向かう機上から見る奄美の海は美しいままあり、自然豊かなこの島の伝統を継承し、集落に残る日常の観光化を目指してまちづくりを続ける人々を訪ねた。
〈訪れた人〉
せきねきょうこ
ホテルジャーナリスト。フランス・アンジェで大学生活を送り、スイス山岳リゾート地で観光案内所勤務中に3年間のホテル暮らしを体験。1994年から現職。連載・著書多数、アドバイザー、コンサルティングも。
line
奄美群島の集落文化を、未来に伝える
亜熱帯海洋性気候の奄美大島は、地理的には鹿児島県と沖縄本島のほぼ中間に位置する。幸運にも、この島の海は“奄美ブルー”に輝き、山も川も森も、そして空も原風景が豊かに残されている。貴重な世界遺産である奄美大島は、鹿児島県の奄美群島の中心的な島でもある。その日常を垣間見ると、ご近所づき合いによる、人々のつながりが息づいているのがわかる。
奄美群島には「シマ」と呼ばれる360以上の集落があり、それぞれに異なる文化が継承されている。私たちは今回、いまなお継承される文化や伝統に触れようと奄美大島に初上陸。まちづくり集団「伝泊」の活動を注視した。
滞在するのは「伝泊 古民家」。伝泊は、奄美群島で継承されてきた集落文化を次の時代に伝えようと、さまざまな活動を続けており、集落の人々との出会いや郷土食にも触れられる伝統的な古民家での滞在が可能だ。
島の暮らしを体験することができるアクティビティが豊富に提供されているため、数日の滞在でも忘れ難い貴重な経験ができるのが魅力だ。集落での交流では人々の優しさにも触れることができる。
伝泊が取り組むまちづくりは、島の日常を観光化することにある。そのためにまずは奄美の魅力を広く、観光客に知って体験してもらうことが必要だと考えている。その一環として私たちは、集落住民とともに参加できる「八月踊り」という伝統文化の体験プログラムや、郷土食の料理教室を体験した。
line
伝泊でかなう暮らすような滞在とは
≫続きを読む
text:Kyoko Sekine photo:Hiroshi Abe
2024年10月号「自然とアートの旅。/九州」