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水と生きる琵琶湖エリアの暮らし
滋賀県 秘密の琵琶湖

2024.9.20 PR
水と生きる琵琶湖エリアの暮らし<br><small>滋賀県 秘密の琵琶湖</small>

京都・奈良の都と北陸を結ぶ交通の要衝として栄えてきた、琵琶湖の湖西に位置する滋賀県高島市。ここでは暮らしに湧き水を取り入れ、美しい景観を守る、独自の「水と生きる」習慣と湖魚文化がいまも脈々と受け継がれている。

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湧き水と共存する、SDGsな文化を垣間見る。

photo: ポロロッカ / PIXTA(ピクスタ)
針江にある、近江に三カ寺あった永平寺直末中本寺格のひとつ、曹洞宗正傅寺の境内には、湧き水を満々とたたえる霊泉「亀ヶ池」があり、亀と船に乗った薬師如来像で地域にまつわる水の縁起が表現されている

琵琶湖の北西部に位置する高島市は森と里、湖に抱かれた自然の宝庫であり、琵琶湖に注ぐ水の3分の1を生み出している。その中で、水と深く結び付いた生活文化に触れられるのが新旭町針江(しんあさひちょうはりえ)地区。ここでは黒い焼杉壁の日本家屋が連なる中、水路が張りめぐらされ、そこに流れる湧き水を生水と呼び、昔から大切に利用されてきた。針江大川の透明度に驚いていると「針江生水の郷委員会」案内ガイド・前田啓子さんが教えてくれた。

「この川の水の70%は湧き水。比良山に降る雨や雪が長い年月をかけて浸透し、伏流水として流れてくるのでこんなにきれいなんです」

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針江では現在、約100軒の家庭でかばたが利用されている

地域内でこんこんと自噴する湧き水を生活用水に利用しているシステムは「かばた(川端)」と呼ばれている。
「水温は通年14℃に保たれ、冬は温かく夏は冷たい。冷蔵庫替わりに野菜やスイカなどを冷やしており、その景色は夏の風物詩。現在も野菜や食器などを洗う水として利用し、周囲にある端池には、多くの家庭が鯉を泳がせています」

その鯉が野菜くずなどを食べることで水が浄化され、再び美しい水として川へ戻る。この地では、現代のSDGsに通じるサステイナブルな循環システムが遙か昔から維持されているのだ。

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針江の古きよき景色を求めて国内外から多くの旅人が訪れる。ほかにはない水辺の暮らしをより深く知るために、地域に精通したガイドとめぐりたい

「上流の人は下流の人の暮らしを思いやり、水を汚さずに使います。また琵琶湖にいる約50種類の湖魚の半数が産卵で針江大川に遡上してくるので、年に4回、住民全員で川を掃除します。自然を敬い、人と人、そして水との絆を大切にしながら謙虚に生きる営みが受け継がれているからこそ、世界でも類を見ない湧き水文化が形成されているのです」

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簗漁に勤しむ知内川の漁師。毎年4月20日頃〜8月20日まで簗漁が解禁される

集落の清らかな水が琵琶湖に注ぎ、湖魚が育まれる。その魅力を伝統的な簗漁(やなりょう)に従事する百瀬漁業協同組合の漁師・中川高司さんに聞いた。簗漁とは川の流れをせき止め、木杭や竹で組んだ簗と呼ばれる囲いに流れるアユを捕る漁法。

「琵琶湖にしか生息していない固有種も多く、昔から家庭で食べられてきた慣習がいまだに続いています。漁師は兼業がほとんどですが、それは、この地で続く食文化を守り続けなければならないという意識があるからです」

アユは、春に琵琶湖へ注ぐ川を遡って大きくなる一部を除き、成魚で10㎝程度にしか成長しないことから「コアユ」と呼ばれている

水と共生し未来に紡ぐ、という想いが豊かな景観を生んでいる。

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高島市の「農業公園マキノピックランド」を縦貫する道には、約2.4㎞にわたりメタセコイアが約500本植えられ、春夏秋冬で表情を変える高原美が訪れる人を魅了している


琵琶湖の歴史をめぐる
 
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針江生水の郷
住所|滋賀県高島市新旭町針江372
Tel|0740-25-6566(針江生水の郷委員会)
料金|案内ガイド1時間1名1000円(1週間前に要予約)
時間|10:00~、14:00~
https://harie-syozu.jp

メタセコイア並木道
住所|滋賀県高島市マキノ町蛭口~牧野
問|びわ湖高島観光協会
Tel|0740-33-7101
※並木付近での交通の妨げとなる路上駐停車は不可

text: Ryosuke Fujitani photo: Sadaho Naito
2024年10月号「自然とアートの旅。/九州」

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