《星のや沖縄》
琉球ガストロノミア〜Bellezza〜
球王国時代からの教え
「クスイムン」をイタリア料理に|後編
日常を離れ、リゾートホテルに旅をする喜びは食事にもある。古からの沖縄の知恵を生かし、活力を与えてくれる新たに誕生した「琉球ガストロノミア〜Bellezza(ベレッツァ)〜」の食体験とは?
文=せきねきょうこ
ホテルジャーナリスト。フランス・アンジェで大学生活を終え、スイスの山岳リゾート地で観光案内所勤務中に3年間、ホテルで暮らす。1994年から現職。アドバイザーやコンサルタントも
www.kyokosekine.com
星のや沖縄のダイニングでは、新たに幅広くイタリアと沖縄の食を追求する「琉球ガストロノミア~Bellezza(ベレッツァ)~」が提供されている。沖縄には琉球王国時代の盛んな交易により、東洋の「医食同源」の思想が日常の食文化に伝わり、根づいている。
総料理長・政井 茂氏は「この土地ならではの食材との出合いを提供したい」とし、「Bellezza」(イタリア語で美)というパワフルな美しさを表す言葉に着目し、コースに命名。沖縄食材の可能性を最大限に引き出す調理法を見極め、イタリア料理と沖縄料理を融合させオリジナル料理へと昇華させた。
テーブルで料理を待つ間、皿が運ばれる途中からアロマが香る。ひと皿ごとの料理の多彩な食材使いに視覚も歓び、食してさらに唸る。まさに五感を刺激する美味しい料理が提供されている。
イタリア料理とはいえ、さっぱりとした新和食の感もあり、島野菜や南国の柑橘類が多く使われるのも特徴的だ。一方、島豚や牛フィレなどの肉料理は沖縄特有の野菜やソースとともに、まさにイタリアン。チーズやハーブを使ったパスタはイタリア北部の味がする。ミネラルやビタミンの豊富な食材選びのおかげで身体も心も元気になれる。琉球ガストロノミア~Bellezza~はその名の通り、文化と料理の関係をあらためて考察し、美と食、クスイムンが融合する独創的なコース料理である。
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盛りつけるうつわに、総料理長自らがセレクトした“やちむん”を使った料理も。琉球王国時代からつくられていたやちむんは、戦後にここ読谷村から発展を遂げた。手触りの温もり感は独特、ホワイトやペルシアンブルーといった色を使い独特な力を感じさせる。カラフルな前菜が盛られた今回のディナーの“籠”も、沖縄の工芸品という。
メインダイニング内は海色のブルー、砂浜を思わせる白などアースカラーの色調が心を落ち着かせてくれる。そして食事に花を添えるのがワインの数々。ソムリエセレクトのワインはスパークリングや、ナチュールなど7種を料理に合わせてマリアージュ……。人生を豊かに演出する瞬間だ。
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星のや沖縄
住所|沖縄県中頭郡読谷村儀間474
Tel|050-3134-8091(9:30〜18:00)
客室数|100室
料金|特別室ティーダ 1泊1室70万6000円~(税・サ込、通常2泊から)、琉球ガストロノミア~Bellezza~ 2万4200円(税・サービス料込、宿泊料別)
カード|AMEX、Master、VISAほか
IN|15:00
OUT|12:00
アクセス|車/那覇空港から約1時間10分 バス/那覇空港から空港リムジンバスで約2時間
館内施設|プール、レストラン、ラウンジ、スパなど
01|最上級のスイートルーム「ティーダ」で沖縄の贅を尽くした滞在を【前編】
02|「ティーダ」だからこそかなう心に残る沖縄の文化体験【中編】
03|琉球ガストロノミア〜Bellezza〜球王国時代からの教え「クスイムン」をイタリア料理に【後編】
photo: Hiroshi Abe text: Kyoko Sekine
Discover Japan 2024年7月号「沖縄」