青森県・酸ヶ湯温泉《酸ヶ湯温泉旅館》
これぞザ・湯治!
|温泉ビューティ研究家・石井宏子が選ぶ
保養スタイル別温泉宿②
「ゆるりと心身を癒してくれる温泉宿」をテーマに、温泉ビューティ研究家・石井宏子さんが選ぶ保養スタイル別温泉宿を紹介。温泉滞在は連泊してこそ。移動の心配がない「自由な丸一日」ができ、温泉をゆっくり堪能できる。ゆとりがあると心も身体も喜ぶし、旅の楽しみ方が多角的に変わっていく。
今回は、八甲田山麓の豊かな自然に囲まれた青森県・酸ヶ湯温泉の「酸ヶ湯温泉旅館」を紹介する。
湯煙に包まれ、これぞ東北の湯治!
湯治をするのに「あったらいいな」が揃っている温泉宿だ。温泉療養を目的とするなら3日ひと回りで3セットの10日滞在を推奨しているが、まずは2泊3日のひと回りでお試し保養をしてみると、なるほどこの宿なら長逗留できるなと気づくだろう。
館内はリニューアルを経て、客室も多彩。旅館棟は昔ながらの趣を残す和室と別荘のようなベッド付き洋室、炊事場もある湯治棟にも、トイレと洗面台付きの部屋ができた。
「温泉療養相談室」があり、看護師の資格をもつ相談員が常駐し、健康状態や入浴法の相談や、ストレスチェック(1回200円)でビフォーアフターを確認することもできる。
温泉で温まった後のマッサージなら、気軽に立ち寄れる、手もみ処がうれしい。小腹がすいたら、出店で青森名物B級グルメ「生姜味噌おでん」や濃厚ソフトクリーム、売店にはおにぎりやパン、オリジナルブレンドのコーヒードリップバッグやカップ麺、おつまみやお菓子も揃っている。滞在中の昼食は館内のそば処「鬼面庵」へ。そば粉100%のつなぎなしでつくられたそばを、山菜やキノコが入った陸奥湾のいわし焼干の出汁で仕上げた「酸ヶ湯そば」は食通にも評判の逸品だ。
そもそもは八甲田山麓に湧く霊泉を目指して遠くから人々が集まり、やがて湯小屋ができ、宿となった。ヒバ千人風呂は160畳もの大空間に柱1本ない湯屋建築。4つの源泉があり湯煙の向こうにたくさんの人が癒されている。混浴だが専用の湯浴み着を売店で購入できるので和気あいあいと入っている人もいる。朝と夜に1時間ずつの女性専用時間もある。さらに別の源泉の小浴場・玉の湯は男女別で、いつでも入れる。がつんと濃厚な酸性硫黄泉の濁り湯の温泉で、身体の隅々までめぐりがよくなったら、八甲田の清水でのどを潤す。部屋で昼寝して、また、ひと風呂。これだけでもう、夢のようではないか。
<温泉data>
泉質|酸性硫黄泉(含石膏、酸性硫化水素泉)(緊張低張性温泉)
湧出温度|約50℃
かけ流し|〇
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《山ふところの宿 みやま》
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酸ヶ湯温泉旅館
住所|青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50
Tel|017-738-6400(9:00〜17:00)
料金|1泊2食付1万3200円〜(税・サ込、入湯税別)
IN|15:00
OUT|11:00
キッチン〇/ランドリー〇/Wi-Fi〇/送迎〇
《保養スタイル別温泉宿》
01|北海道・旭岳温泉《湯元 湧駒荘》
02|青森県・酸ヶ湯温泉《酸ヶ湯温泉旅館》
03|宮城県・川渡温泉《山ふところの宿 みやま》
04|栃木県・板室温泉《大黒屋》
05|宮城県・東鳴子温泉《旅館大沼》
06|神奈川県・強羅温泉《国民宿舎 箱根太陽山荘》
07|新潟県・栃尾又温泉《自在館》
08|新潟県・村杉温泉《角屋旅館》
09|大分県・長湯温泉《大丸旅館》
10|大分県・鉄輪温泉《湯治柳屋》
text: Hiroko Ishii
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」