宮城県・川渡温泉《山ふところの宿 みやま》
アットホームなおもてなし宿
|温泉ビューティ研究家・石井宏子が選ぶ
保養スタイル別温泉宿③
「ゆるりと心身を癒してくれる温泉宿」をテーマに、温泉ビューティ研究家・石井宏子さんが選ぶ保養スタイル別温泉宿を紹介。温泉滞在は連泊してこそ。移動の心配がない「自由な丸一日」ができ、温泉をゆっくり堪能できる。ゆとりがあると心も身体も喜ぶし、旅の楽しみ方が多角的に変わっていく。
今回は、湯治部屋がある本館のほか、1日2〜3組限定の別館客室を有する宮城県・川渡温泉の「山ふところの宿 みやま」を紹介する。
1日2〜3組限定の温かいもてなし
一度泊まったら、再び訪れたくなる不思議な吸引力がある。ほわーんとした、ぬるめの温泉が居眠りしそうな気持よさだからか、木漏れ日あふれる金山杉のラウンジでのんびりと過ごし、畳に敷かれた布団で朝までぐっすり眠れたからだろうか。いや、違う。夕食に出た大根餅のふっくらぽったぽたの甘辛い味わいを、どうしてももう一度食べたくなったからかもしれない。思いを馳せれば顔がほころんでしまう、そういう場所なのだ。
自家源泉の温度は38.2℃のぬるめの湯だ。透き通ったほうじ茶色の温泉は葉っぱに包まれたような香りがして森の中にいるようだ。里山の中にある宿の奥には古墳への杉木立の道があり、吹き抜けのラウンジでぼんやり外を眺めていたら、すぐ横でご近所さんが栗拾いをしていた。
連泊して楽しみたいのはあぜ道散歩。小野寺公夫さんの漆器工房「瀾」で日常を盛り上げるうつわを選んだり、共同湯に入ったり、一瞬で里山暮らしの気分に浸れる。
登録有形文化財である茅葺の母屋に、農業を営むご家族が住み、湯治部屋がある本館と金山杉を用いた別館が並ぶ。2〜3泊なら別館をおすすめしたい。
<温泉data>
泉質|単純泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
湧出温度|約38.2℃
かけ流し|〇
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《大黒屋》
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山ふところの宿 みやま
住所|宮城県大崎市鳴子温泉字要害91
Tel|0229-84-7641
料金|本館1泊2食付1万230円〜、別館1泊2食付1万9250円〜(税・サ込、入湯税別)
IN|15:00
OUT|11:00
キッチン×/ランドリー×/Wi-Fi〇/送迎〇
《保養スタイル別温泉宿》
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text: Hiroko Ishii
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」