HOTEL

宮城県・川渡温泉《山ふところの宿 みやま》
アットホームなおもてなし宿
|温泉ビューティ研究家・石井宏子が選ぶ
保養スタイル別温泉宿③

2024.2.18
宮城県・川渡温泉《山ふところの宿 みやま》<br>アットホームなおもてなし宿<br><small>|温泉ビューティ研究家・石井宏子が選ぶ<br>保養スタイル別温泉宿③</small>

「ゆるりと心身を癒してくれる温泉宿」をテーマに、温泉ビューティ研究家・石井宏子さんが選ぶ保養スタイル別温泉宿を紹介。温泉滞在は連泊してこそ。移動の心配がない「自由な丸一日」ができ、温泉をゆっくり堪能できる。ゆとりがあると心も身体も喜ぶし、旅の楽しみ方が多角的に変わっていく。
 
今回は、湯治部屋がある本館のほか、1日2〜3組限定の別館客室を有する宮城県・川渡温泉の「山ふところの宿 みやま」を紹介する。

≪前の記事を読む

1日2〜3組限定の温かいもてなし

本間至さん設計の別館は金山杉を使った吹き抜けのラウンジで寛げる。里山の風景とシームレスな空間は、音の響きも心地よくアーティストが集ってライブ空間になることも

一度泊まったら、再び訪れたくなる不思議な吸引力がある。ほわーんとした、ぬるめの温泉が居眠りしそうな気持よさだからか、木漏れ日あふれる金山杉のラウンジでのんびりと過ごし、畳に敷かれた布団で朝までぐっすり眠れたからだろうか。いや、違う。夕食に出た大根餅のふっくらぽったぽたの甘辛い味わいを、どうしてももう一度食べたくなったからかもしれない。思いを馳せれば顔がほころんでしまう、そういう場所なのだ。

半径数㎞の食材でつくる里山料理は、焼きナスのずんだ和え、イワナの田楽などセンス抜群で地酒も進む。家族で育てるササニシキのご飯は、上品で優しく懐かしいお米の味。夕食にはおにぎりで、朝は鬼首の桶職人がつくったお櫃で登場する

自家源泉の温度は38.2℃のぬるめの湯だ。透き通ったほうじ茶色の温泉は葉っぱに包まれたような香りがして森の中にいるようだ。里山の中にある宿の奥には古墳への杉木立の道があり、吹き抜けのラウンジでぼんやり外を眺めていたら、すぐ横でご近所さんが栗拾いをしていた。
 
連泊して楽しみたいのはあぜ道散歩。小野寺公夫さんの漆器工房「瀾」で日常を盛り上げるうつわを選んだり、共同湯に入ったり、一瞬で里山暮らしの気分に浸れる。
 
登録有形文化財である茅葺の母屋に、農業を営むご家族が住み、湯治部屋がある本館と金山杉を用いた別館が並ぶ。2〜3泊なら別館をおすすめしたい。

ほうじ茶のような色をした美味しそうな湯は、単純泉だが植物由来のモール成分を含み、森のような大地のような個性的な香り。ぬるめでじんわり温まり、肌がつやつやになる
別館客室は5室だが1日2〜3組しか取らない。金山杉を用い、壁と天井には楮和紙、畳のへりは生麻とナチュラルな和室は心が落ち着いてぐっすり眠れると、リピーターも多い

<温泉data>
泉質|単純泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
湧出温度|約38.2℃
かけ流し|〇

line

 

栃木県・板室温泉
《大黒屋》

 
≫次の記事を読む

 

山ふところの宿 みやま
住所|宮城県大崎市鳴子温泉字要害91
Tel|0229-84-7641
料金|本館1泊2食付1万230円〜、別館1泊2食付1万9250円〜(税・サ込、入湯税別)
IN|15:00
OUT|11:00
キッチン×/ランドリー×/Wi-Fi〇/送迎〇

text: Hiroko Ishii
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」

宮城のオススメ記事

関連するテーマの人気記事