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神奈川県・強羅温泉《国民宿舎箱根太陽山荘》
都心から気軽に行ける温泉宿
｜温泉ビューティ研究家・石井宏子が選ぶ
保養スタイル別温泉宿⑥

2024.2.21

神奈川県・強羅温泉《国民宿舎箱根太陽山荘》<br>都心から気軽に行ける温泉宿<br><small>｜温泉ビューティ研究家・石井宏子が選ぶ<br>保養スタイル別温泉宿⑥</small>

「ゆるりと心身を癒してくれる温泉宿」をテーマに、温泉ビューティ研究家・石井宏子さんが選ぶ保養スタイル別温泉宿を紹介。温泉滞在は連泊してこそ。移動の心配がない「自由な丸一日」ができ、温泉をゆっくり堪能できる。ゆとりがあると心も身体も喜ぶし、旅の楽しみ方が多角的に変わっていく。
　
今回は、古きよき愛らしい佇まいが魅力の神奈川県・強羅温泉「国民宿舎箱根太陽山荘」を紹介する。

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登録有形文化財の風情ある宿

国の登録有形文化財の宿は木造3階建て。赤い欄干の渡り廊下でふたつの建物が結ばれている。丸窓や洗い出しの廊下など古くからの雰囲気を残しながら耐震など考慮して改修した

赤いケーブルカーが急な坂道をガタンゴトンと走っていく。強羅らしい風景の中に、古きよき愛らしい佇まいの湯宿がある。玄関横の洋風の待合室もすてきで、館内には代々引き継いだ装飾品や日本画が飾られて、さりげないもてなしを感じる。昭和の時代に民営国民宿舎になった。食事時間になると館内放送が流れて1階の食堂へ集まる様子に癒される。部屋の布団は自分で敷くのだが、横になりたいときに好きなタイミングで敷けばよいのが意外と気楽。

心身を休める湯宿の食事は「豪華ではないけれど手間だけはかけている」。数種類の味噌を使い、椀物の真薯は小田原の老舗からすり身を仕入れて宿で手づくりと、しみじみ美味

温泉は新築の別棟で総檜づくり。デザインが異なるふたつの内湯は男女入れ替えで両方楽しめる。八角のガラス天井から光が降り注ぐモダンな岩風呂は、ミルキーグリーンの濁り湯の色をいっそう鮮やかに照らし出す。湯煙が立ち込める木風呂は、硫黄と檜の香りが漂う。大涌谷源泉をできる限り加温・加水せずにかけ流しで注ぐ工夫をしている。木風呂の湯口に注目してほしい。つづら折りの木樋になっていて、暑い時期は上から源泉を少しずつ流し、寒い時期は一番下から直接注ぐ。新鮮な源泉の魅力を最大限に楽しめる仕組みに拍手。まさに極上の湯遣いと評されるゆえんだ。