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『銭湯図解』の著者・塩谷歩波が選ぶ
日常のごほうびに行きたい東京銭湯
完全保存版!プロ厳選のいい風呂とサウナ【Part 4】

2023.3.17
『銭湯図解』の著者・塩谷歩波が選ぶ<br>日常のごほうびに行きたい東京銭湯<br><small>完全保存版!プロ厳選のいい風呂とサウナ【Part 4】</small>

それぞれの道に精通する4名の愛好家がおすすめする秘湯、湯治宿、銭湯、サウナを紹介。Part 4は、『銭湯図解』の著者・塩谷歩波さんが「日常のごほうびに行きたい東京銭湯」7つをセレクト。創業100年を超える老舗から、モダンなデザイナーズ銭湯まで、多種多様な銭湯が集まる東京では、お気に入りの銭湯がきっと見つかるはずだ。

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塩谷歩波
1990年生まれ。早稲田大学大学院建築学専攻を修了。設計事務所に勤務した後、東京・高円寺の銭湯「小杉湯」の番頭を経て、画家、文筆家として独立。著書に『銭湯図解』、『湯あがりみたいに、ホッとして』
 
《銭湯愛好家歴》
約7年
 
《銭湯にハマったきっかけ》
設計事務所に勤務していた際に体調を崩し、休職。その間、大学時代の先輩の勧めで銭湯に通いはじめ、心と身体の本来の調子を取り戻していった
 
《銭湯に決まって持っていくもの》
サウナしきじのフェイスタオル、スキンケアアイテム、下着。バスタオルは銭湯でレンタル
 
《独自の入浴法》
身体を洗った後、サウナ→水風呂→小休憩を2セット。そして湯で寛ぎ、足元に水をかけて浴室を出る。水をかけると足のむくみが取れるそう

東京都・足立区
タカラ湯

塩谷さんの体験をモチーフとしたドラマ『湯あがりスケッチ』の舞台となったタカラ湯。こたつのあるスペースはドラマ用の設定で、実際のこのエリアは男湯の脱衣所だ。水曜は男女の浴室が入れ替えに。湯上がりにはロビーや縁側で休憩を。ここからもツツジなどの咲く日本庭園が望められる

“キングオブ縁側”と称される老舗銭湯
 
二段構えの千鳥破風をもつ、風格ある宮造り建築。“キングオブ縁側”と呼ばれる日本庭園が自慢で、男湯からは錦鯉が悠々と泳ぐ池や四季折々の美しい風景が目にできる。男湯と女湯ともにバイブラ風呂、電気風呂、日替わりの薬湯など、風呂の種類が豊富。「女湯には本格的なフィンランド式サウナがあり、ロウリュもできるんですよ」。
 
《施設Data》
住所|東京都足立区千住元町27-1
Tel|03-3881-2660 
料金|大人500円、高中生300円、小学生200円、未就学児100円 
営業時間|15:00〜23:00(最終受付22:00) 
定休日|金曜
 
《銭湯Data》
風呂の種類|座風呂、電気風呂、ハーブ風呂、水風呂、フィンランドサウナ(女湯のみ)
※水曜は男湯と女湯が入れ替え 
備品|手ぶらセット(フェイスタオル、ボディソープ、リンスインシャンプー)120円、ドライヤー3分20円
※リンスインシャンプー、ボディソープは備え付け
 
※イラストは、ひかりTVにて配信中のドラマ『湯あがりスケッチ』に合わせて描き下ろしたため実際と一部異なる。

東京都・墨田区
押上温泉 大黒湯

露天風呂の湯には現在、ミルクの入浴剤を採用している。隣には、露天風呂としては珍しい寝湯や水風呂もある。内湯の富士山の絵は、銭湯絵師の田中みずきさんが手掛けた。露天風呂の湯には現在、ミルクの入浴剤を採用している。隣には、露天風呂としては珍しい寝湯や水風呂もある。内湯の富士山の絵は、銭湯絵師の田中みずきさんが手掛けた。ウッドデッキにはハンモックやベンチも。サウナや温冷交互浴後のクールダウンに最適だ

ウッドデッキで夢のような外気浴体験を
 
大露天風呂をもつ浴室と、高濃度炭酸水の風呂をもつ浴室に分かれ、日ごとに男女が入れ替わる。よもぎスチーム塩サウナや遠赤外線サウナもあり、サウナーからも好評だ。さらに男女ともに2階にはウッドデッキを備え、ゆったりと外気浴が楽しめる。「大黒湯はまさに“露天の王さま”。露天スペースからは東京スカイツリーも眺められます」。
 
《施設Data》
住所|東京都墨田区横川3-12-14
Tel|03-3622-6698 
料金|500円、サウナ平日+300円、サウナ土・日曜、祝日+330円 
営業時間|平日15:00〜翌10:00、土曜14:00〜翌10:00、日曜、祝日13:00〜翌10:00 
定休日|火曜(祝日の場合は翌日休)
 
《銭湯Data》
泉質|メタケイ酸泉 
泉温|20.0℃ 
湯の色|透明 
加温|あり 
加水|あり 
かけ流し|×
適応症|関節痛、冷え性、皮膚病など 
風呂の種類|露天風呂、水風呂、寝風呂、ジェットバス(座風呂・ボディマッサージ・スーパージェット)、歩行湯、高濃度人工炭酸泉、遠赤外線サウナ、スチーム塩サウナ 
※男湯と女湯は日替わり
備品|レンタルバスタオル40円、レンタルフェイスタオル20円、シャンプー40円、リンス40円  
※リンスインシャンプー、ボディソープは備え付け。ドライヤーは無料

東京都・大田区
蒲田温泉

浴室には黒湯のほか電気風呂、水風呂、サウナがある。ステージのある大広間では、ビールを片手にカラオケを楽しむ利用客の姿も。塩谷さんのお気に入りメニューは、釜飯と汐焼きそば。黒湯の泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物鉱泉。神経痛や筋肉痛に効能があり

黒湯や宴会場など昭和風情たっぷり
 
都内屈指の黒湯の温泉地である蒲田エリア。中でも蒲田温泉の黒湯は特に「色が濃い」とされ、1937年の創業以来、街の湯治場としても親しまれてきた。黒湯は、低温湯と高温湯の浴槽があり、後者の温度は約45℃。この熱さにハマる常連も多いとか。「食事やカラオケができる2階の大広間も魅力のひとつ。昭和風情漂う空間です」。
 
《施設Data》
住所|東京都大田区蒲田本町2-23-2
Tel|03-3732-1126
料金|500円 
営業時間|10:00〜24:00
定休日|なし
 
《銭湯Data》
泉質|ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物鉱泉 
泉温|20.0℃ 
湯の色|黒色 
加温|あり 
加水|なし 
適応症|×
風呂の種類|神経痛、リウマチ、疲労回復など  あつ湯、ぬる湯、電気風呂、水風呂、ジェットバス、ミクロバス、サウナ 
備品|レンタルバスタオル200円、レンタルフェイスタオル50円、ドライヤー3分20円
※シャンプー、ボディソープは備え付け

東京都・北区
滝野川 稲荷湯

天窓から差し込む光が富士山のペンキ絵を美しく照らす浴室には、高温、中温、ぬる湯の3つの浴槽がある。店主のこだわりで現在も木桶を採用し、毎年新年に新しい桶へと交換される。富士山の絵は、銭湯絵師・中島盛夫さんが描いたもの。定期的に塗り替えも実施している

国の登録有形文化財に登録された宮造りの意匠
 
創業は大正初期。堂々たる宮造り建築で、その情緒あふれる趣から、映画『テルマエ・ロマエ』にも登場。2022年には、稲荷湯の隣にある二軒長屋を再生して湯上がり処「稲荷湯長屋」もオープンし、週末を中心にカフェメニューも楽しめる。「昔ながらの番台、富士山の絵、格天井の脱衣所、池のある庭園など、古きよき日本の銭湯を象徴する銭湯です」。
 
《施設Data》
住所|東京都北区滝野川6-27-14
Tel|03-3916-0523 
料金|500円
営業時間|15:00〜24:30 
定休日|水曜、ほか不定休
 
《銭湯Data》
風呂の種類| シルク風呂、あつ湯、普通の湯
備品| 手ぶらセット(タオル、シャンプー、ボディソープ)150円、小シャンプー40円
※ミニタオル、ボディソープは無料貸出
 
※イラスト内のマッサージチェアは現在なし

東京都・渋谷区
改良湯

渋谷駅と恵比寿駅のほぼ中間に位置する好立地。脱衣所も広く、使い勝手がよい。2022年には男湯のサウナを、対流式ロウリュサウナにリニューアル。外気浴スペースも新設した。改良湯の軟水は、ナトリウム温泉にも近い湯の質で、髪や肌をしっとりと洗い上げる

新しいカルチャーを発信する洗練されたデザイナーズ銭湯
 
1916年創業の老舗であるが、2018年に建築家・今井健太郎さんの手により、モダンな銭湯へとリニューアル。「渋谷CROSSING」をコンセプトとし、さまざまなイベントやワークショップを開催するなど、人と文化が交差する新しい銭湯の在り方を提案している。軟水利用の湯、炭酸泉、水風呂、サウナと設備も充実。「空間の光の設計がとてもきれいなんです」。
 
《施設Data》
住所|東京都渋谷区東2-19-9
Tel|03-3400-5782
料金|大人500円、中学生400円、小学生200円、未就学児80円、サウナ(バスタオル付)+450円 
営業時間|月〜金曜13:00〜24:00、日曜12:00〜23:00 
定休日|土曜
 
《銭湯Data》
風呂の種類|炭酸泉風呂、水風呂、サウナ
備品|レンタルタオル150円、シャンプー50円、リンス50円、ボディソープ160円、ドライヤー3分20円
 
※イラストは現在のつくりと一部異なる

東京都・町田市
大蔵湯

脱衣所の床にはい草の心地よい香りが漂うゴザが敷かれ、松本民芸家具のラッシスツールが配されている。木を多用した和モダンな空間で、心と身体を解きほぐす温浴体験を演出する。浴室で出迎えてくれる、モザイクタイルで描かれた、雲海の合間にそびえる黄金富士は圧巻

幕の内弁当のように満足度の高い銭湯
 
浴室にはあつ湯、ぬる湯、水風呂と温度が異なる3つの浴槽とサウナというシンプルな構成だが、大蔵湯はすべてのレベルが極めて高い。湯はナトリウム温泉に近いイオンバランスの軟水、ぬる湯は総檜風呂で、床は玉砂利。そして見事な黄金富士のタイル絵が浴室を彩っている。「設計は建築家・今井健太郎さん。日本的で落ち着く空間もすてきです」。
 
《施設Data》
住所|東京都町田市木曽町522
Tel|042-723-5664 
料金|大人500円、小学生200円、未就学児100円、サウナ(入浴料込。バスタオル、フェイスタオル、フレッサー付)760円
営業時間|14:00〜23:00 
定休日|金曜
 
《銭湯Data》
風呂の種類|あつ湯、ぬる湯、水風呂、サウナ
備品|レンタルバスタオル+フェイスタオル100円、レンタルフェイスタオル30円、ドライヤー3分20円
※シャンプー、ボディソープは備え付け

東京都・国立市
鳩の湯

銭湯絵師・丸山清人さんの絵を、岐阜県多治見市のタイルメーカーがモザイクタイルで再現した富士山のタイル絵が壁一面を彩る。ロビーも明るく清潔で、湯上がりに寛ぎたい。庭園には岩や灯籠が配されており、「ここでの外気浴の時間が大好きなんです」と塩谷さん

鳩のマークが目印の、アットホームで居心地のよい空間
 
2020年にリニューアルした鳩の湯は、国立市に唯一残る銭湯。湯には新陳代謝を活発にするといわれる軟水を使用し、高濃度炭酸泉や外気浴スペースも備える。女湯にはシルキーバスとジェットバス、男湯にはサウナを併設。「普段使いの銭湯として非の打ちどころがありません。温かい雰囲気で、地域の方に愛されている銭湯だなと感じます」。
 
《施設Data》
住所|東京都国立市東2-8-19
Tel|042-572-0918 
料金|大人500円、小学生200円、未就学児100円(大人1名につき2名まで無料) 
営業時間|13:00〜23:00 
定休日|月曜
 
《銭湯Data》
風呂の種類|シルキー風呂、ジェットバス、高濃度炭酸泉、水風呂
備品|レンタルバスタオル100円、レンタルフェイスタオル50円、ドライヤー3分10円
※リンスインシャンプー、ボディソープは備え付け

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人間から動物に還れる自然派サウナ
 
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text: Nao Ohmori illustration: Honami Enya
出典:中央公論新社『銭湯図解』(押上温泉 大黒湯、蒲田温泉、大蔵湯)、交通新聞社『旅の手帖』2019年3月号(滝野川 稲荷湯)・2019年5月号(改良湯)
Discover Japan 2023年2月号「癒しの旅と温泉。」

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