人びとの暮らしを豊かにしてきた、
常世の国「茨城県」
「47都道府県の魅力を再発見!」をテーマに、これまで編集部が取材してきた各地のモノ・コトを永久保存版として紹介する《Discover Japan的、日本再発見の旅》。今回は茨城県を取り上げます。新たな魅力を知るきっかけや、旅の計画を立てるのにもお役立てください。
高品質を誇るブランド食材が多彩!
奈良時代に編纂された『常陸国風土記』に「土地広く、土が肥え、海山の産物もよくとれ、人びとと豊かに暮らし、常世の国(極楽)のようだ」と記されている茨城県。常陸国の名の由来は複数あるが、“常世の国”は当時の繁栄ぶりをよく表していたと考えられる。
江戸時代には徳川御三家として水戸藩が置かれ、江戸に近い水陸交通の要所として発展。2代目藩主の水戸光圀以後、『大日本史』の編纂を通じて形成された水戸学が幕末の思想に大きな影響を与えたほか、日本画家の横山大観など、文化的風土に恵まれる。
茨城のブランド豚「常陸の輝き」や、奥久慈しゃもをはじめ、生産量や漁獲量などで日本一に輝く食材に恵まれており、農業集団が手掛けた茨城県初のマイクロブルワリーが登場するなど、農業の発展によりさまざまなジャンルで新しい取り組みが増えている。
名所・観光
大洗磯前神社 神磯の鳥居
856(斉衡3)年創建。神降臨の地に立つ「神磯の鳥居」は海と空を背景にした荘厳な姿。水戸藩2代藩主徳川光圀もたたえた絶景。
住所|茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6890
Tel|029-267-2637
その他
袋田の滝
鹿島神宮
竜神大吊橋
年中行事
鹿島神宮祭頭祭
鮮やかな衣装を身にまとった囃人(はやしびと)が、樫棒を組んでは解きを繰り返して練り歩き、鹿島地方に春の訪れを告げる。
会期|毎年3月上旬
会場|茨城県鹿嶋市宮中2360-1 鹿島神宮境内とその周辺
その他
水戸黄門まつり
石岡のおまつり
土浦全国花火競技大会
美術館・建築
水戸芸術館
コンサートホール、劇場、現代美術ギャラリーの専用空間をもつ、磯崎新設計の複合文化施設。高さ100mのシンボルタワーは圧巻。
住所|茨城県水戸市五軒町1-6-8
Tel|029-227-8111
http://www.arttowermito.or.jp
その他
日立駅(建築家 妹島和代デザイン)
近世日本の教育遺産群(偕楽園・弘道館)
牛久シャトー
郷土料理
あんこう鍋
“東のアンコウ、西のフグ”と並び称される県を代表する冬の味覚。ほとんど捨てる部位がなく、一匹まるごと味わい尽くせる。
その他
常陸秋蕎麦
そぼろ納豆
なめがた丼
食
蔵+蕎麦 な嘉屋
江戸時代から続く老舗蔵元「木内酒造」本店に併設された蔵造りの食事処。香り豊かな常陸秋蕎麦や常陸野の旬の食材を、自慢の地酒とともに味わえる。
住所|茨城県那珂市鴻巣1257
Tel|029-270-7955
営業時間|11:30〜14:30、
土・日曜、祝日11:30〜14:30、17:30〜20:00(L.O.19:30)
定休日|木曜
http://nakaya.cc
クラフト
枡儀団扇店の雪村うちわ
室町時代の画僧・雪村がうちわに墨絵を描き檀家に配ったのがはじまりとされる。伝統をいまも守り、すべて手づくりで製作。
Tel|0294-72-7159
http://www.e-consul.info/iba/hot/mu
名産・土産
小美玉ふるさと食品公社のでせ〜るふらん
茨城県産鶏卵と小美玉市産生乳のプリン。
Tel|0299-56-6991
http://www.omitamayogurt.jp
木内酒造の常陸野ネストビール
老舗蔵元が醸造した、世界的にも人気がある茨城県の地ビール。
Tel|029-212-5111
http://kodawari.cc
旅館・ホテル
星野リゾート BEB5土浦
2020年に星野リゾート初の自転車を楽しむホテルとしてオープン。もちろん一般のホテル利用も可能で、レンタサイクルも充実している。
住所|茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦3F
Tel|0570-073-022
客室数|90室
料金|1泊1室6000円〜(税別・食事別)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/beb5tsuchiura
方言
いや、こぉりゃうまいね(すごく、美味しいですね)
その他
こじゃっぺなごとばっかぬかしてんじゃねーよ(いい加減なことばかり言ってるんじゃないよ)
レポートあげたげ?(レポート提出しましたか?)
なんでもランキング!
メロンの生産量→全国1位
ビール生産量→全国1位
牛久大仏 大仏の大きさ→全国1位
ご当地Q&A
建築家・妹島和世が監修したガラス建築の駅は?
JR常磐線の日立駅。2011(平成23)年に日立市出身で世界的な評価も高い建築家・妹島和世氏デザイン監修の新駅舎が完成。全面ガラス張りの駅舎から太平洋が一望できる。
別名「四度の滝」と呼ばれる滝は?
袋田の滝。西行法師がこの地を訪れた際に、「四季に一度ずつ来てみなければ真の風趣は味わえない」と絶賛したことから「四度の滝」とも呼ばれている。日本三名瀑のひとつ。
茨城県・基本データ
DATA
県庁所在地|水戸市
市町村数|32市・10町・2村
面積|6097㎢
人口|288万人
人口密度|471.8人/㎢
訪問観光客数(年間)|4041万人
県の木|ウメ
県の花|バラ
県の鳥|ヒバリ
気候
年平均気温|15.3℃
最高気温|31.9℃
最低気温|−2.4℃
降水量|1283㎜
快晴日数|44日
降水日数|106日
雪日数|10日
観光
温泉数|35
宿泊施設数|941(ホテル+旅館)
美術館数|17
博物館数|7
道の駅数|9
国宝|直刀 黒漆平文太刀拵(附刀唐櫃1合)ほか
重要文化財数|77(内国宝は2)
史跡数|33
名勝数|4
天然記念物数|8
国立公園・国定公園|水郷筑波
出身有名人
三浦春馬/渡辺直美/永作博美/梅宮辰夫/羽田美智子/栗山千明ほか
天然記念物
ヒヌマイトトンボ/桜川のサクラ/安良川の爺スギ/片庭ヒメハルゼミ発生地/いぶき山イブキ樹叢ほか
edit & text=Keditorial,Miho Hasegawa,Minori Fujikawa
2020年7・8月号 特集「この夏、どこ行く?ニッポンの旅計画108」
【SDGs視点で読み解く】
茨城県の経済成長と働きがい
人間、地球及び繁栄のための行動計画として、持続可能な開発目標として国際的に採択されたSDGs。17の目標のうちゴール8の「働きがいも経済成長も」に注目すると、茨城県は「人口1人当たりの県内総生産」が全国3位!さらに「平均超過労働時間」は全国で5番目に少ない県なんです。
2021年1月に公表された2018年度の茨城県の県内総生産(名目)は、14兆355億円と5年連続の増加。経済成長率は名目、実質ともに5年連続のプラスと好調です。とくに製造業が盛んで、経済産業省発表の2020年の工場立地動向調査によると、茨城県は前年3位だった工場立地件数が前年比1件減の65件で、5年ぶりに全国1位になっています。
県民1人当たり所得も5年連続の増加となっており、4年連続で国の水準(1人当たり国民所得)を上回っています。これらのデータを見てわかる通り、茨城県は経済成長と働きがいを達成している県のひとつなんですね。
古くから「常世の国」と呼ばれ、長い歴史の中で人々の暮らしを豊かにしてきた茨城県。21世紀も経済成長と働きがいの達成を通じて持続可能な暮らしの実現を支えてくれるでしょう。