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食からはじめる観光地づくり
|愛されるまちづくり事例(観光編)

2025.11.18
食からはじめる観光地づくり<br>|愛されるまちづくり事例(観光編)

日本各地で進む、その土地ならではの自然や文化資本を生かしたまちづくり。アートや食、デジタル技術の活用といった幅広い事例を、「観光編」と「居住編」に分けて紐解いていく。今回は、観光編の食からはじめる観光地づくりを行う、奈良県御所ごせ市/北海道余市町/愛知県日進市の事例をご紹介!

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奈良県御所ごせ
日本酒が地域と観光客をつなぐ!
酒蔵の里山づくり

吉野杉でつくられた葛城山麓醸造所

秋津穂米で醸した日本酒「S風の森」を展開する油長酒造。2024年に棚田の真ん中に「葛城山麓醸造所」をオープンし、この地の里山を守るため、酒造りにとどまらず、農家や消費者と共生する「風の森里山コミュニティ」を創設してまちづくりに取り組んでいる。

独特の透明感を表現できる秋津穂米で醸した日本酒「S風の森」

御所市内の宿泊施設「GOSE SENTO HOTEL」の体験コンテンツに酒蔵見学プランが組み込まれたり、「風の森」に惚れ込んだショコラティエによるチョコレートが誕生したりと、魅力的なコンテンツも生まれている。

分散型ホテル「RITA御所まち」の客室。近くにある「洋食屋ケムリ」では、御所まち限定酒とのペアリングも愉しめる

GOSE SENTO HOTEL RITA御所まち
住所|奈良県御所市西町1069
Tel|0745-49-0854
料金|1泊2食付3万1700円〜(税・サ込)
www.gosemachi.com

油長酒造
住所|奈良県御所市1160
Tel|0745-62-2047
https://yucho-sake.jp

〈北海道余市町〉
ワインの世界的産地で
風土に酔いしれる旅

ワインの名産地であるフランスのジュヴレ・シャンベルタン村と親善都市協定を結ぶ余市町には、ダイナミックなブドウ畑の風景が広がる

海外のワイン愛好家からも絶賛される「ドメーヌタカヒコ」を筆頭に、20軒のワイナリーと50軒を超えるワイン用ブドウ農家のある北海道余市町。ワインを中心としたまちづくりに取り組み、地元産ワインを提供する飲食店が次々にオープンしている。その中のひとつである「ワイン、ときどき豚」では、ワインを飲ませて育てる地元産豚肉の料理とワインなどのペアリングが楽しめる。店の2階にはゲストハウスとして6部屋を併設し観光客にも人気。ワイナリーだけでなく、飲食店をワインホッピングする旅も広がりつつある。

余市町を代表する赤ワイン「ドメーヌ タカヒコ ナナツモリ ピノ・ノワール」
地元食材と余市町産ワインなどを提供する飲食店は急増中

ドメーヌタカヒコ
住所|北海道余市郡余市町登町1395
Tel|0135-22-6752
https://takahiko.co.jp

ワイン、ときどき豚
住所|北海道余市郡余市町黒川7-60-23
Tel|0135-25-4368
営業時間|12:00〜15:00(L.O.14:30)、18:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日|水曜
Instagram|@wine.and.pig

〈愛知県日進市〉
主役はコーヒー!?
産官学で挑む一大プロジェクト

市内のものづくり企業「中央可鍛(かたん)工業」と、老舗コーヒー器具メーカー「カリタ」が協業したコーヒーミル

個性的な喫茶店やカフェ、焙煎所が多くあり、「コーヒー文化」の根づく日進市では、これを新たなまちの観光資源として生かす取り組みが進んでいる。2025年8月に開業した「道の駅マチテラス日進」を拠点に、「にっしん観光まちづくり協会」が中心となって、コーヒー器具・豆の販売、アップサイクル商品の開発などを行う。今後も、市内のカフェをめぐるツアーをはじめ、独自ブレンドの開発、コーヒー向けのスイーツ開発などを通して地域内回遊を促し、持続可能な地域経済の仕組みをつくっていく。

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コーヒーの街にっしんプロジェクト
問|にっしん観光まちづくり協会/日進市 都市産業部 産業観光課
住所|愛知県日進市本郷町前田33 道の駅マチテラス日進内
Tel|0561-73-2196

text: Miki Yagi, Tomoko Homma
2025年10月号「行きたいまち、住みたいまち。/九州」

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