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地域の魅力を再編集した取り組み②
|愛されるまちづくり事例(居住編)

2025.11.19
地域の魅力を再編集した取り組み②<br>|愛されるまちづくり事例(居住編)

日本各地で進む、その土地ならではの自然や文化資本を生かしたまちづくり。アートや食、デジタル技術の活用といった幅広い事例を、「観光編」と「居住編」に分けて紐解いていく。今回は、地域資源をニューカルチャーにする、岡山県西粟倉村/山形県鶴岡市の事例をご紹介!

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〈岡山県西粟倉村〉
人口1318人の村が
復活したカギは森林にあり!?

村の面積の大部分が、先人たちが約50年前に植えた人工林。村の財産として次の50年につなげるため、「百年の森林構想」の下、整備している

かつては深刻な過疎化により、「消滅可能性自治体」として位置づけられた西粟倉村。2004年に隣接する美作市との市町村合併をしない選択をし、生き残るための戦略として村の9割を占める森林を活用すると決め、「百年の森林構想」を軸にまちづくりに挑んできた。同村には先人たちが植林した50年ものの森があり、それを次の50年につなげるため、森林資源を活用したエネルギー事業などに力を入れている。

また、「地域に移住を促そうにも仕事がない」という状況を脱するため、ローカルベンチャーの立ち上げに注力。村の思いやビジョンに共感する移住者が増加し、起業数は60以上、村に生まれた事業の総売上は21億円以上になっている。産業や移住者が定着した結果、2024年には消滅可能性自治体を脱却した。人口2000人に満たない小さな村の再生ストーリーは、地方創生の先進事例として注目だ。

百年の森林構想
問|西粟倉村総務企画課
Tel|0868-79-2111

西粟倉村を支える
多彩なローカルベンチャー

村の自然から再生可能エネルギーをつくり、安定した電力供給と環境保全に取り組む「西粟倉村百年の森林でんき」。

教育ベンチャー「Nest」は、村全体を学びのフィールドととらえ、子どもたちの「やってみたい!」をサポートする。

「西粟倉むらまるごと研究所」は、データの活用や、ロボットやAIの利用など、テクノロジーを通して地域に貢献。

地域資源の活用に取り組む「西粟倉森の学校」のオフィスとなった旧影石小学校。現在はローカルベンチャーが入居。

〈山形県鶴岡市〉
観光・農業・成長支援の領域を
庄内地方から盛り上げ中!

庄内地方の象徴とも言える水田から着想を得たホテル「スイデンテラス」

庄内地方を象徴する田園風景。そこに付加価値を見出して革新的なまちづくりを行い、いまや全国の地方都市にその事業を広げているのが「SHONAI」だ。田んぼに浮かぶホテル「スイデンテラス」に代表される「観光」、農業ロボットの開発などで生産者を支える「農業」、そして企業の劇的な成長や100億円企業の輩出を後押しする「成長支援」といった各領域で、地域の可能性を広げている。

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水田に浮かべる自動抑草ロボット「アイガモロボ」
地方企業と専門性の高い人材をつなぐマッチングサービス「チイキズカン」で、地方企業の経営改革と成長を支援

SHONAI
問|SHONAI
Tel|0235-26-9107
https://shonai.inc

愛されるまちづくり事例
01|地域資源を活かして新たな観光(観光編)
02|食からはじめる観光地づくり(観光編)
03|地域の魅力を再編集した取り組み①(居住編)
04|地域の魅力を再編集した取り組み②(居住編)

text: Miki Yagi, Tomoko Homma
2025年10月号「行きたいまち、住みたいまち。/九州」

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