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陶芸家〈松本かおる〉
焼締め×漆が織りなす気品にあふれたうつわ

2024.1.23
陶芸家〈松本かおる〉<br>焼締め×漆が織りなす気品にあふれたうつわ

焼締めと漆を施した陶器・陶胎漆器が人気のうつわ作家・松本かおるさん。薄さと軽さにこだわったうつわは、土のもつ自然の風合いを醸しながらも洗練されたモダンな印象だ。
2024年2月3日(土)〜2月18日(日)にかけて、東京・渋谷パルコ Discover Japan Lab.にて「松本かおる 個展」を開催する、松本さんのうつわづくりの背景と作品をご紹介。

Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を2/6(火) 20時から順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)

松本かおる(まつもと かおる)
東京都出身。2008年に備前陶芸センターで陶芸技術を習得し、備前焼作家・星正幸さんに師事。’09年より都内で焼締め陶芸教室を開始し、その後、長野へ移住。現在は、石川県金沢市でうつわづくりに取り組む。

使うほどにつやが増す
経年変化も愉しみたい

焼締めのうつわは、もみ殻や炭を使うことで唯一無二の表情を出す

好みのうつわほど毎日使いたい。そうなると、デザインだけでなく機能面も重要になってくる。その点、松本かおるさんの作品は、使い勝手のよさも考慮された、まさに日常使いしやすいうつわだ。

「うつわ作家を志す前から、プリミティブな焼締めのうつわが好きでした。しかし、日々の生活で使うには、重厚感のあるうつわが私には重たくて。食器棚に出し入れしたりと、何げない日常の動作をスムーズに行うには、軽いうつわのほうが手に馴染み、気軽に使える。そう考えて、土の質感はそのままに、片手でも持ちやすい作風にたどり着きました」

確かに松本さんの作品は、一般的な焼締めのうつわに比べると、洗練された印象を受ける。大皿のプレートも高さのある片口も、大小問わずどれも薄く軽やかだ。
「ろくろで成形後、かきべら(粘土を削るための道具)を使って全体を削り、厚みを調整していきます」と松本さん。

さらに、焼成前後に丹念にやすりをかけ、納得がいくまで何度も手触りを確認。こうした地道な作業を繰り返すことで、薄いだけでなく、手に吸い付くような、なめらかな質感を表現している。

陶胎漆器は、焼き締めたうつわに漆を何度も塗って仕上げていく。右のように布で拭き取るように塗る場合と、左のように刷毛で塗る場合で質感が異なる

土そのものの味わいが魅力の焼締めと並行して、松本さんは陶胎漆器づくりにも励む。焼き締めたうつわの上に漆を施す技法で、もともと漆にも興味があったことから、数年前から漆芸家とともに制作に取り組んでいる。

「漆器と聞くとハレの日のイメージがありますが、陶胎漆器なら陶器と同じ感覚で気軽に使えます。漆器を生活に取り入れたい人の、入門編としてもおすすめです」

焼締めも陶胎漆器も、使い込むほどにしっとり馴染み、つやも増していく。ぜひ日々愛用して、自分色に育ててほしい。

読了ライン

用途によって厚みを調整。カップの場合、熱いお茶を入れても持てるように胴体の部分は厚みをつけ、縁の部分は薄く仕上げる
かきべらで削った後、手で表面をなでてなめらかな質感に仕上げる。このひと手間が吸い付くような手触りを生む
実際に口を当てて飲み心地を確認したり、使うときのことを想像しながら削っていく。縁を薄くすることで口当たりがよくなり、酒の味を繊細に感じられるようになる。未使用の状態でもなめらかだが、使い込むほどに手に馴染んでいく

 


〈松本かおる 個展〉作品ラインアップ
 
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text: Misa Hasebe photo: Norihito Suzuki
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」

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