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秋田のディープな夜ふかしスポット
陶芸家・田村 一の美味しい秋田案内【後編】

2024.5.31
秋田のディープな夜ふかしスポット<br>陶芸家・田村 一の美味しい秋田案内【後編】

陶芸家・田村一さんが愛する秋田。今回はそんな秋田の深く長い夜を楽しめる田村さん選りすぐりの名店3か所を訪ねた。

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店主の語りがBGM?秋田一のディープスポット
草階のみせ

4人組バンド「halos」のボーカル・ギタリストでもある店主・草階さん。店内にはDJブースもあり、時折ライブも開催。「ここも、バンドサークルの部室かな」と田村さん

学生時代、雑誌『ベース・マガジン』の編集のバイトを経験した田村さんは音楽も大好き(ちなみに田村さんがろくろを回す際の椅子はドラムチェア)。そこからつながったのがギターロックバンド「halos」の草階さん。「草階のみせ」店主だ。山に入り山菜も採れば狩猟も行う。長いときは4〜5日入っているという。それらを調理して酒とともに提供する。「Ichi」の簑原さんも一緒に山に入る仲だ。

春に収穫した山菜やキノコの塩蔵を塩抜きして下準備。鶏ダンゴ、すりつぶした粒納豆にヤマドリの出汁、ネギ味噌を加えて草階風納豆汁が完成。ウド サワモダシ ワラビ 納豆汁/600円

草階亮一さんは秋田市出身。子どもの頃から釣りや山菜採りなど、山へ入る暮らしがあった。大人になってもそれは変わらない。「そんな秋田の日常がなくならないように」という思いから山菜やジビエを提供する店をはじめた。

草階のみせ
住所|秋田県秋田市中通6-12-13 民謡会館1F
Tel|070-8555-8410
営業時間|18:00〜翌2:00
定休日|木曜
Instagram|@kusakai_nomise

秋田の人間模様を知り尽くした、
魅惑の女性店主に会いに
壺中(こちゅう)

アートや建築などに興味がある伊吹さん。店内には絵画や掛け軸なども飾られていてギャラリーのよう。壁面の龍は日本画家・福井安紀さん作『流れとあそび出会う』

「壺中」には常連客が多く、秋田の酒蔵の蔵人たちも通っているとか。伊吹さんの学生時代のバイト先がロックバー「ベアフット」と聞くと「当時絶対に会ってる!」と田村さん。おもろの山下明子さんについては「私が高校時代、カリスマ店員だったんだよ」と伊吹さんが教えてくれた。

店ではフランスワインがメインだが、地元秋田の山ブドウを使ったものなど日本ワインも揃う。知人のワインバーを手伝っていた経験も。小坂七滝ワイナリー「小公子2022」

さっそうとしていて気持ちいい、ほどよい距離感で話を聞いてくれる店主・伊吹あずささん。10代から秋田市内でホステスとして働き、以来この土地で接客業に携わるプロ。「バー=場」だという伊吹さんの醸し出す空気に誰もが魅了される。

壺中(こちゅう)
住所|秋田県秋田市大町5-1-23 2BOXビル2F
Tel|018-863-1787
営業時間|19:00〜翌1:00
定休日|不定休

秋田の銘酒からワインと満汁サワーまで
“満さま”に癒される!
サイドバック

田村さんがまだ帰りたくないというとき、ふらりと訪れるバー「サイドバック」。「満さま(店主・満獣院マグナム子さん)との会話も楽しく、部室のような存在です」

田村さんの帰巣本能をたどると「サイドバック」に行き着く。東京、京都、札幌、仙台など定期的にイベントに参加する店主には県外のファンも多い。「秋田は米、水、空気、酒すべてが美味しい。こんな贅沢な場所はない。適度な湿度も、お肌にいいのよ」

昼はグラフィックデザイナー、夜はサイドバックの店主としての顔をもつ。満さま開発のオリジナルサワーをはじめ日本酒やナチュラルワインなど、自分が語れない酒は置かない主義だ

秋田の歓楽街、急勾配の階段を上った先の扉を開けると現れるのが煌々と輝く、女装家の満獣院マグナム子さん。「容姿で偏見をもってほしくないの。お酒やレコードのジャケットも同じよね。ウソのない関係を築きたいだけ」

サイドバック
住所|秋田県秋田市大町4-2-4 2F
Tel|090-5184-5182
営業時間|20:00〜24:00
定休日|日・木曜
Instagram|@sideback.akita

秋田の夜は深く長い。田村さんも飲みはじめればあっという間に2軒目3軒目とハシゴ酒は当たり前。会いたい人がいる店へと自ら吸い込まれていく。

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田村一さんのうつわが購入できる!
 
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text: Wakana Nakano photo: Norihito Suzuki
Discover Japan 2024年3月号「口福なニッポン」

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