《星のや軽井沢》の“谷”で、山川の恵みを味わう。
美食に夢中になれる滞在
星野リゾートのはじまりの地に広がる谷の集落に連泊し、信州の妙味を日本料理とフランス料理で堪能する旅へ——。
原風景の中で過ごす。
食の時間が待ち遠しい。
日本における別荘地の草分けであり、独自の洗練されたカルチャーがいまも根づく長野・軽井沢。各施設が独創的なテーマの下、圧倒的非日常を提供する「星のや」は、1914年にこの地で創業した「星野温泉旅館」がルーツであり、2005年に「星のや軽井沢」は産声を上げた。
コンセプトは「谷の集落に滞在する」。足を踏み入れると、眼前に広がるのは浅間山麓の自然に囲まれた日本の原風景だ。棚田には豊潤な水があふれ、木々は鮮やかに色づき、水浴びに訪れた野鳥がさえずりを届ける。「西洋の暮らしに迎合しすぎない日本」を思い描きつくられた美しい情景は、やさしく心を解きほぐしてくれる
この豊かな生態系は、本質的な〝自然との共生〟によって成し得るものだ。星野リゾートでは、前身の星野温泉旅館の開業当初から水力発電を行うなど自然エネルギーの活用を実践。さらに、ゴミの資源化100%を目指した「ゼロエミッション」、生態系の掛け替えのなさを体感するネイチャーツアーの開催など、SDGsにつながる先進的な取り組みで、持続可能なエコツーリズムを推進している。
ゆるやかにほおをなでる風や水のせせらぎを感じながら森の声に耳を傾ける散策、全室離れの客室のテラスから水辺に浮かぶ鴨の親子を眺めるひととき。そして、この谷から湧出する源泉かけ流しの温泉での湯浴み。日々の喧騒を忘れ、思い思いに過ごす滞在で心からの休息に浸った後、日が暮れるとともにあんどんが水面を幻想的に照らしはじめた。いよいよ口福の時間が幕を開ける――。
フレンチ?懐石?
素材の多様さを味わう、ふたつのディナー
メインダイニング「日本料理 嘉助」で楽しめるのは、山菜やジビエ、川魚といった信州の食文化と季節感を表現した懐石コースだ。先附のトウモロコシ豆腐は塩だけで自然な甘みを引き出し、向附の鯉のお造りは酢橘と合わせた醤油の酸味で涼やかに。そしてくり抜いたトマトをうつわに見立て、丸ナスと献上品のきじ肉をいただく強肴が続いた後、八寸の「涼風奏」に目を奪われた。ハモとキャビアを合わせた鱧珠〆、丸ごとさばくところから仕立てた鰻笹寿司に麹で旨みを増した夏鴨……。竹筒で表現された初夏の情景の中に、素材本来の味と発見に満ちた組み合わせがちりばめられている。さらに、野菜や漬物を刻んで合わせた信州の郷土料理「やたら」でいただくハモの御飯など、地域の文化を感じられる料理もふんだんに。季節の妙味と稀少な日本酒のペアリングとともに満喫した。
日本料理 嘉助
季節の夕食「山の懐石」
時間|17:30~20:30
料金|1万5730円(税・サ込)
2日目のディナーは、星野エリアの森の中に佇むフレンチレストラン「ブレンストンコート ユカワタン」へ。非日常へと誘う軽井沢の大自然を望みながらいただくアミューズから美食の物語ははじまる。信州の伝統食材を鮮やかに食べ比べる「鯉のコントラスト ビーツのベール」など5皿続く前菜のハイライトは、「雛鶏のヴェッシー包み」だ。風船のようなヴェッシーを目の前で開くプレゼンテーションに心が弾み、雛鶏の豊かな旨みに思わず顔がほころぶ。さらに、肥育にもこだわった鴨のロティなど全11皿の料理は、ワインラヴァーも驚くバリュー感に意外性のアクセントを忍ばせたペアリングでより煌めいていた。
ブレストンコート ユカワタン
yukawatan ディナー
時間|17:30~
料金|2万4200円(税・サ込)
自然に回帰できる、客室とアクティビティ
趣の異なる多彩な美食を連泊の滞在で堪能する。その掛け替えのない口福をぜひ体感してほしい。
星のや軽井沢
住所|長野県軽井沢町星野
Tel|0570-073-066
客室数|77室
料金|1室11万2000円~(税・サ込、食事別)
カード|AMEX、DINERS、DC、JCB、UC、VISAなど
IN|15:00
OUT|12:00
朝食|和食(レストラン)
夕食|和食、フランス料理(レストラン)
アクセス|車/上信越自動車道碓氷軽井沢 ICから約25分 電車/JR軽井沢駅から車で約15分(無料送迎バスあり)
施設|レストラン(日本料理 嘉助、ブレストンコート ユカワタン)、カフェ(村民食堂)、ハルニレテラス、星野温泉トンボの湯、ピッキオビジターセンターなど
text: Ryosuke Fujitani photo: Yasuhiko Roppongi
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